チートな転生者の奏でる『俺の転生物語』原作どこいった!?
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『夜の出来事』
前書き
なんとか次話投稿
もっと早く投稿できるようにがんばります。
その日の夜の食卓にて、
「あの~なのはさん……」
「なぁに?」
彼女は俺の問いに可愛く小首を傾げながら反応する。
「さすがに少し恥ずかしいのですが……」
両腕が上手く動かないとはいえこれは流石に……。
「わがまま言っちゃダメなの!」
「そうだよ零」
今夜の晩御飯であるハンバーグを食べさせようとするなのはとフェイト。
いや……そのね……美少女達に食べさせてもらうのは嬉しいんだけどさ……流石にコレは恥ずかしいぞ!
「あ~う~」
渋々ながらも大人しく食べさせられる俺。
その間、何故かみんなから生暖かい目で見られながら夕食を終える。
そんな目で見ないで!
そしてしばらくしてから零の部屋に来客が現れ、
突如ドアがノックされる。
「どうぞ」
外の人物を招きいれる。
「入るわよ」
入って来たのはプレシアだった。
「どったの?」
「アナタにお礼をと思ってね……」
「別にいいのに……」
「ねぇ……アナタは……何故……自分の身体をそんなにしてまで私達を助けてくれたの?」
救われた身とはいえ見ず知らずの他人である自分はおろか自分の身体を傷つけてなお、娘達を助けてくれた零には疑問を抱かずにはいれないのだろう。
感謝と疑問がせめぎ合い複雑な表情で彼女は零を見つめる。
「強いて言うなら俺が悲しい結末が嫌いだからかな?」
「悲しい結末……どういう事?」
「俺の本質はただの我が儘なガキでね……本来なら起こり得た結末は俺にとって気に入らない結末でね……俺はソレが気に入らないからだな……」
子供の癇癪と変わりないな……気に入らないから本来あるべきものを変える……まさに我が儘なガキそのものだ。
俺の言葉に、
「アナタは……本当に何者なの? あの異常なまでの能力といい、まるで未来を知っているかのような行動といい……」
何かに勘づくプレシア、
彼女になら話してもいいかな?
「もし……俺がこの世界の人間ではなく並行世界の人間だとしたらどうする?」
「次元世界じゃなくて並行世界ですって!?」
「あぁ……俺はもと居た世界で事故に遇い死んだはずだったが……どうやら俺の死はイレギュラーだったらしくな……」
俺自身に関する事を一部の設定を変えてプレシアに話す。
流石に自分の死因とかはぼかしてだけどね。
「…………」
「神と呼ばれる者達にイレギュラーであった俺の死の因果律を正すため……転生させられ……この世界で生きるために俺はこの身体と力をもらった」
後になって知った事だが人一人の因果律が狂ったところで世界の修正力で初めから無かった事にされるか都合の良いように改竄される事が多い事がわかったが、
稀に俺のようにやり直しの機会が与えられる事があるらしい。
「…………」
「そして……この世界で起こるとされる未来の出来事の一部を知る事ができたんだ」
この世界は基は創作物の世界とはいえ今は完全に独立した並行世界となっているので実際に存在する。
「普通なら信じられない話だけど……アナタのあの力を見た以上信じない訳にはいかないわね」
本来この世界には無いはずの力を見たせいもあり納得してくれるプレシアであった。
「信じてくれるならいいさ」
「でも……いくつか聞かせて……アナタは何故フェイトや私達を助けてくれるの? 正直な話メリットよりもデメリットの方が多いハズよ?」
まぁ 確かに色々と厄介な事になる可能性はあったが、それでも俺はこの道を選んだ。
「俺にとって損得なんてどうでも良い 俺は俺の心のままに動くだけだ……俺はフェイト達と出会い、短い時間とはいえ俺はあの子達を気に入っている……」
「…………」
「俺はあの子達を身内として認識している……そして俺は身内が困っているなら助けてやりたい……ただそれだけだ」
正直な話俺は身内にはとことん甘いのだが……敵には一切容赦はせず徹底的に倒すタイプだ。
「…………」
「これが理由じゃダメか?」
「いいえ……十分よ……」
「そうか……」
「アナタが優しいのと非常識なのがよくわかったわ」
「確かに非常識だが直に言うのはちょっと酷いな……」
自覚はあるけど……もっとこうオブラートに包んで欲しいな。
「あと俺は優しくなんかないよ……むしろ最低な人間だよ」
なんせ俺は自分の大切な1を生かすためなら9を捨てる事もい問わないんだから。
「それでも……私達にとってアナタは私達を助けてくれた恩人よ」
「ありがとう……その言葉をありがたく受け取っておくよ」
正直……その言葉一つで救われた気持ちになるよ。
「ところでアナタの前の記憶は残っているの?」
優秀な学者である彼女としてはやはり異なる世界の事が気になるのか少し表情を崩しながら問う。
「いや……いくつか断片的なものや大きな事件とかの記憶は残ってはいるが時間が経つ度に少しずつ消えていっている」
これは本当……生まれ変わる事の対価なのかそれとも何かの副作用なのかはわからないが、
かつての俺 ■■■■であった時の記憶はこの数年でほとんど消えた。
能力を使う上で必要な漫画やアニメやゲームなどといった記憶は残っているが、
俺自身に関する記憶はいまだに微かに残っている程度であり、俺の家族の記憶や俺の友達の記憶などはもうあまり残ってはいない……。
その事で時折悩んだり、よくわからない感情が沸き上がってくる事があるがそれは俺が背負うべき重荷だと思う。
一応この後に起きる大きな事件はいくつか覚えていたので忘れないうちに記録してはいるが……、
俺自身の■■■■であった時の記憶はあと数年もしないうちに全部消えてしまうだろう。
「そう……なら私の話はこれで終わりよ……まだ身体が治ってないのに無理をさせてごめんなさいね」
記憶に関する事を聞いたせいか少しばつの悪そうな表情で彼女は謝る。
「大丈夫 俺の身体はかなり頑丈だから」
「そう……でも無茶はしないでね……お休みなさい」
そう言ってプレシアは部屋から出ていく。
「俺も寝るか……」
俺が寝ようとしたその時、
再びドアがノックされる。
「どうぞ」
誰だろ?
「零……入るよ」
部屋に入って来たのはフェイトだった。
「どうした?」
「零……あのね……少し聞きたい事があるの……」
顔を伏せながらぎこちなく話すフェイト。
「なに?」
「零は……その……私の身体の事知ってるん……だよね?」
「あぁ……」
ここで下手に嘘をつけば彼女を傷つけるだけなので俺は正直に言う。
「零は……その……なんで……私が人間じゃなくても優しくしてくれるの?」
消えそうな小さな声を絞り出すかのように己の身体の秘密を話すフェイト。
俺はそんなフェイトに、
「チェリオー!!」
右手でチョップをかます。
「アイタッ!?」
ちょっとだけ痛がるフェイト、
むしろチョップした俺の手の方が痛いよ!
「まったく……何を言うかと思えばそんなつまらない事か」
「つまらないって酷いよ!?」
なけなしの勇気を振り絞った行動を一蹴された事に声を荒げて抗議する。
「あのなぁ……確かにお前の生まれは特殊だけどさぁ……俺からすればそれがどうした? そんな事ぐらいで俺がお前を見る目が変わるとでも思っているのか?」
というかある意味俺も似たようなもんなんだけど……。
今の俺の身体って新しく創られたものだしな。
「そんな事って……」
「どんな産まれ方でも結局お前はお前だ……アリシアとして造られたとしても心があり、考え、行動するならお前はただの人形なんかではなく『フェイト・テスタロッサ』という一人の人間だ」
「…………」
「たとえ誰かが否定したとしても俺が……俺達がお前を人間だと認める、だからな一人で考え込むな、助けてほしい時は呼べ!」
「零……私は……アナタに甘えてもいいの? 頼ってもいいの? 縋ってもいいの?」
「当たり前だ!」
俺がそう言った次の瞬間、
「う……うわあぁぁぁんっ!!」
彼女は突如泣きながら俺に突撃してくる。
「グフッ!?」
普段ならば防げるハズなのだが怪我をしている俺は耐えきれず、
「グボァーッ!!」
変な奇声をあげながら床に倒れ込む。
「うあぁぁぁんっ!!」
そんな零に気づかないのかただ泣き続けるフェイト。
「ぐっ!(傷が開く~! つか泣いてて抱きついている腕の力が強い事に気付いてない!?)」
そんな俺をよそに……、
「私……母さんに私の身体の事を聞いた時……怖かった……私の記憶も身体も造られたものだなんて!」
泣きながら話し続けるフェイト。
彼女は恐らく『他人』とは違う生まれ方をしたために自分の存在を否定される事を極端に恐怖したのだろう。
「私に……優しくしてくれた零が……私の身体の事を知って私の事を嫌わないか不安だった! 捨てられないか不安だった!」
「フェイト………」
俺には想像もつかないほど彼女は悩み恐怖したのだろう。
俺はフェイトの頭を撫で、
「大丈夫……さっきも言っただろ? お前はお前だって……俺はアリシアとしてではなくちゃんとフェイトとして見ているから」
俺はフェイトをあやしながら言う。
「零………」
次第に涙声から普通の声色になっていくフェイト。
「落ち着いたか?」
「うん」
まるで憑き物が落ちたかのように顔を赤らめながら笑顔を見せる。
「そうか……なら頼みがある……」
「えっ!? な、なに!?」
「悪いけど……千歳……呼んで来て」
気が緩んだせいか身体の傷が開き巻かれた包帯が赤く染まっていく。
「俺……もう……無理」
俺は意識を手離す。
「キャーッ!? 零ーッ!?」
突然の事にフェイトが叫ぶ。
すると、
「零様ーー!!」
異変を察したのか慌てた千歳が部屋のドアを開けて入って来る。
「千歳! って! なにその格好!?」
突如現れた千歳のその姿に驚くフェイト。
「えっ? ただのパジャマですよ?」
千歳の格好はというと、
まるでレースのカーテンのような薄く透き通る素材でできたネグリジェに、
その下は黒のフリルがあしらわれた下着とガーターベルトだった。
元々の容姿と相まってこの姿を見た者が男ならば必ず魅了されるだろう。
「それパジャマ!?」
「えぇ、本当は私は寝る時は何も着ない派なのですが零様が何か着てほしいとおっしゃられたのでこの服をパジャマ代わりにしています」
何事もなく普通に答える千歳。
「ところでフェイトさん……」
「はい……」
「契約ラインを通じて零様の生命力に異常が生じたので慌てて来ましたが一体何があったのですか?」
てきぱきと手際よく零の治療をしながら彼女は尋ねる。
「え~と……その……」
フェイトは千歳に事情を話す。
「なるほど……」
「うぅ……零怒るかな?」
故意ではないとはいえ自分のせいで再び傷が開き気絶させるまで至ったので流石に怒られるかもしれないと思いフェイトは落ち込む。
「それはおそらく大丈夫でしょう?」
「そうなの?」
「えぇ……零様はお優しい方ですし、身体の方も傷が開いて血がでただけですので」
「うん……」
「後は私がお世話いたしますのでフェイトさんはもう寝てください、夜更かしは乙女の敵ですよ」
「うん……わかった」
そう言われて渋々零の部屋から出ていくフェイト。
「おやすみなさい 千歳」
「はい おやすみなさい」
フェイトを見送る千歳、
「ふぅ……今回は許しますが次からはあまり無茶をしないでくださいね」
ベッドで眠る零の頭を優しく撫でながら千歳は呟く。
「私の主は貴方様だけなのですから」
妖狐特有の妖艶な笑みではなく慈愛に満ちた笑みでそっと呟く千歳だった。
後書き
次の話も速く投稿できるようにがんばります。
これからも応援よろしくお願いいたします!!
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