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ドリトル先生と京都の狐

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第一幕その五

「そっちは」
「うん、ちゃんと練習してきたよ」
「だったら大丈夫だね」
「ただ。お箸はね」  
 どうかとです、トミーは日本の食器については困った感じの顔になって言います。そのお顔にどうかというものが見えます。
「あまりね」
「嫌いとか?」
「そうなの?」
「ううん、使い方が難しいね」
 トミーが言うのはこのことでした。お箸の使い方はというのです。
「フォークやナイフよりもね」
「僕も慣れるまで時間がかかったよ」
 先生もお箸についてはこうトミーに答えます。
「そして他の日本の文化や習慣にもね」
「慣れるまではですか」
「時間がかかったよ」
 そうだったというのです、先生も。
「随分とね」
「そうだったんですか、先生も」
「うん、例えば日本ではお家に入る時に玄関で靴を脱ぐし」
「それでお家の中では和風のお家では椅子がないんですよね」
「テーブルもね。ちゃぶ台というもので」
「その周りに座布団を敷いて座るんですよね」
「おトイレとお風呂場は別々になっていて」
 このこともお話する先生でした。
「シャワーで済ませずに湯船の中のお湯に身体を入れることが多いんだ」
「物凄く暑い時以外には」
「そう、それで身体を温めて疲れを癒すんだ」
「日本のお風呂ですね」
「そう、あと身体を洗っても」
「シャワーや桶に汲んだお茹で泡を石鹸の泡を洗い落とすんですよね」
「そうだよ、そのまま拭かないんだ」 
 イギリスでは泡は洗い落とさずにタオルで拭くだけです、けれど日本ではそうすることも違うというのです。
「あと食器もね」
「泡をですね」
「洗い落とすからね」
「そこも違いますね」
「そう、そして寝る時も」
「ベッドではなくて」
「お布団だよ」
 それで寝るというのです。
「毎日敷いて畳んで。時々は干して」
「色々本当に違いますね」
「日本とイギリスはね。お料理だけじゃないよ」
「そうですか」
「そう、そして細かいところはね」
「おいおいですね」
「わかってくるから」 
 こうしたお話をしながらでした、先生はトミーと一緒に日本のお家に向かうのでした。そしてそのお家でトミーを歓迎する河豚鍋を皆でお腹一杯食べることになりました。
 その河豚を食べてです、トミーは目を丸くさせてこう言いました。
「あっ、本当に」
「美味しいでしょ、河豚は」
 チーチーが言ってきました、彼もやっぱり河豚を食べています。
「イギリスにはないよね」
「イギリスはお魚の種類が少ないからね」
 トミーはイギリスの魚料理を思い出しました、フィッシュアンドチップスはありますがそれでもだというのです。
「鮭と鱈位しかないから」
「けれど日本ではね」
「河豚があるんだ」
「他にも一杯あるから」
「それでその他のお魚も」
「どれも美味しいよ」
 チーチーはにこりと笑いながらトミーにお話します。
 そしてです、お鍋の中の白菜やお葱、お豆腐に糸蒟蒻や茸についてもです、チーチーはトミーにお話します。
「このお野菜とかもね」
「そうだね、僕もそういうのを食べてるけれど」
 トミーのお椀に既に入っています。 
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