ハイスクールD×D~進化する勇気~
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第六話
前書き
六話でございます。
俺は飛び上がり、ソルブレイブでコカビエルに斬りかかる。
しかしそれをコカビエルは読んでいたのか右手に持った光の槍で受け止める。
「お前とこうして、戦うのを心待ちにしていた……!今までの人生で負けた事は何度かあった……!しかし、負け越した戦いなどは一つもなかった!貴様は俺のそのプライドをぶち壊したのだ!!」
そう言ってコカビエルは払うように光の槍を振るう。
俺はそれを喰らうまいとコカビエルから離れて地上に着地する。
「あ、あなた……本当に何者なの?」
「リアス先輩……眷属連れて遠い場所まで逃げてください……巻き込んで死んでも俺は知りませんよ!」
そしてもう一度跳び上がり俺はコカビエルと光速で斬り結ぶ。
「はああああああああああああああっ!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
俺とコカビエルの咆哮が辺りに木霊する。
そして鍔迫り合いになり、一度後退する。
「ふん、そろそろお遊びは止めにしないか?貴様は能力をまだ一度も使っていない。能力を駆使しながら戦う貴様に勝たなければ……俺は納得せんぞ!」
「そうかい……だったら、お望みどおり……使ってやるよ!」
俺はその辺に落ちていた手頃なサイズの石をコカビエルに投げつける。
「構築・展開・発動……マテリアルアクト……」
俺はその石に念を込める。これがこのソルブレイブを具現化している時に使える能力……。
「大爆発!!」
ドカァァァァァァァァン!!!!
あの石からは考えられない位の爆発が発生し、コカビエルを包み込む。
「ふぅ……まだだろ?出てこいよ、コカビエルっ!?」
そして後ろに気配を感じたので後ろを斬り払う。
しかし
「残像っ!?」
「ははっ!遅いぞ、兵藤一誠!!」
しまった、今のは陽動か!だったら!
俺は持ち手の部分にあるボタンを押して……一つの剣を二振りの剣にして左手で前方から斬りかかってくるコカビエルの光の槍を止める。
「ほう?さすがだな、兵藤一誠……だが、これは避けきれまい!!」
「っ!!」
すると、影が俺に覆い被さる。上を見上げるとそこにはコカビエルが作ったであろう巨大な光の槍が落ちてきていた。
ちっ!これを悟らせないためか!!
コカビエルは既に安全圏まで退避している。
俺も逃げようと思ったがもう遅かった。だったら!
「大爆発!!」
あの光の槍を爆発させればいいだけだ!!
そして俺の思惑どおり……光の槍は爆発、光となって霧散していった。
「兵藤一誠、やはり俺の渇きを癒す者はお前以外にはいないようだな」
「それは結構……でも、俺としてはお前と二度と戦いたくないんだけどな」
俺は二刀流になったまま、コカビエルと睨み合う。
お前とのこんないけすかない因縁もここで終わりにする!
俺はそう決意を固めて、コカビエルに向かった。
木場SIDE
僕達は少し離れた所から兵藤君の戦いを見ていた。
その戦いはまさに……美しいとさえ言える戦いだった。
一部の隙もない。それでいてわざと隙を作りそこに敵を誘い込み、自らが斬りかかる。
これが……剣士の極みなのかとさえ思える程だった。
しかし……疑問も残る。
それは彼の神器だ。
皆の見ている情報を統合すると、兵藤君は神器を複数所持している事になる。
ハンマーと重力制御……大きな剣と氷を操る能力……レイピアと呼ばれる細身の剣とそれと対になるかのような緑色の盾……そして、あの二刀に爆発能力……
「彼は一体、何者なのだろうか……?」
僕は思わずそんな言葉を呟いていた。
「彼は兵藤一誠……イッセーさんです」
と、僕のその小さな問いに答えを出すかのように答えてくれた人がいた。
「君は……?」
「申し遅れました。私、アーシア・アルジェントって言います。アーシアって呼んでくれていいですから」
「あ、ああ……」
そういえば彼が初めて部室に来た時に彼女を連れていたね。彼女は何か知っているのだろうか?
「イッセーさんは……他人の為に自分が命を張れる……イッセーさんはそう言う人なんです……私の時にも助けてくれましたから」
……兵藤君はこのアーシアさんも救ったのか……しかし、多分彼女は教会の人だ。どうやって、というかなぜ救われるような立場にいたんだろうか?
しかし、僕は聞くのを止めた。
他人の過去を聞くなんて嫌だからね。
そんな事を喋っている間も、兵藤君はコカビエルと斬り結んでいる。
「私たちには祈る事と……見守る事しか出来ません……」
「見守るか……そんなの、私の性分ではないな」
そう言ってゼノヴィアさんは先ほど出していた聖剣デュランダルを構える。
「止めるんだ!兵藤君の戦いを見てわかるだろう!君ではあまりにも実力が不足している!あれは多分……大戦を生き抜いたような実力を持った人がようやく入れる世界だ!」
「分かっているさ……だがあんなものを見せられて、動かずにはいられない!!」
気持ちは痛いほどに分かる!
だって……僕だって、自分の実力を確かめたい!彼と共に戦えるほど強くないりたいって思ってるんだから!
「でも……僕達じゃ、まだ彼の足元にも及ばないんだ……」
「わかっている……それでも、私は行く!!」
ゼノヴィアさんは僕の制止を振り切って兵藤君の所に向かう。
ああ、もう!仕方ない人だね!
僕は聖魔剣を一振り作り出して彼女の元に向かった。
SIDE OUT
「はぁ、はぁ、はぁ……(さすがに、疲れてきた……)」
こいつとの戦いは後の事を考えないでやっちまうからこんなにも疲れるんだよな……だけど考えて力配分を弱めたりしたらこいつには勝てない……。
「さすがは、兵藤一誠というわけか……やはり貴様を倒さなければ俺は先には進めんようだ……」
コカビエルもボロボロになりながらも光の槍を消さない。
さすがは歴戦の猛者って所か……。
『相棒。奴は息が上がっている……それでも倒れないのは……奴の執念のせいだろう』
だろうな、歴戦の猛者であるにはそれに見合った執念が必要となってくるからな。
「喰らえぇ!!」
コカビエルは俺が黙っているのを好機と察したのか俺に光の槍を投げつけてくる。
っ!しまった!考え事をしすぎた!!
俺は慌てて防御体制を取るが……光の槍は当たらなかった。
「邪魔かもしれないが、加勢させて貰う!」
「ごめんね、イッセー君」
ゼノヴィアと木場が光の槍を二人がかりで弾いてくれたのだ。
二人の剣にはそれぞれ自身の剣が握られている。ゼノヴィアはエクスカリバーともう一振りの剣を……こちらが聖のオーラをさらに感じるからこっちの方が有名な聖剣なのかな?
そして木場は先ほどフリードの持っていたエクスカリバーを折った剣を……魔剣は何度も見たがしかし……聖のオーラも放っている……さしずめ聖魔剣と言った所だろうか。
「済まないな……油断してた、ありがとう」
俺は再びソルブレイブを構える。
「それよりも、何で来たんだ?ゼノヴィアはともかく、木場がこんな死地に飛び込むなんざ……」
「それは君も同じことだ、イッセー。君が戦っているのに黙って指をくわえて見ているなんて不可能でね───共に戦わしてもらう」
「と、言うわけで僕は彼女の見張り役みたいな物だよ……まあ、僕自身も戦ってみたいとは思っていたけどね」
ゼノヴィアは二本の聖剣を構える。
「私は神の名において宣言する……堕天使を共に滅ぼそう、兵藤一誠」
「ったく、怪我しても知らねえぞ」
神、か……こいつらがあの事を知ったらどうなるんだろうな……。
「───神?笑わせるな……よく主がいないのに信仰心を持ち続けられる」
っ!まさか、こいつ!!
「やめろ、コカビエル!それをこいつらの前で言うんじゃねぇ!!」
「おおっと、口が滑った……だが良く考えてみれば戦争を起こすのだ……黙っている必要もない……神は既に死んでいるんだよ、当の昔に……戦争の時に魔王どもと共にな!!!」」
こいつは……!ずっと隠してきた秘密を……!
「う、嘘だ!神が死んでいるなど、そんなわけが!」
「いいや、死んでいる……そこの聖魔剣使いが良い証拠だ。本来、聖と魔がまじりあうことはない……そう、神がいればそんなことは起きないはずなのにな……そしてこの事を知っていたのはこの場にもう一人!兵藤一誠!貴様も知っていただろう!なにせ……貴様はグレートレッドとオーフィスからその事実を聞かされていた筈だからな!!!」
「「「「「えっ!!??」」」」」
その場にいる皆を俺を見つめる。
「い、イッセー……嘘だよな?神が……主が死んでいるなんて……」
「…………本当だ、グレートレッドとオーフィスは神が死ぬ瞬間を看取ったって言ってたし……間違いない」
「っ!?そ、それじゃあ……なら、神の愛はいったいどこに……」
ゼノヴィアは呆然としながら膝をつく。
それと同時に二振りの聖剣もゼノヴィアの手からするりと落ちる。
これをイリナが知ったら……どうなるんだろう、あいつの事だから信じられないとか嘆くんだろうか……。
「神の愛なんて存在していない。神がいないのだから当たり前だ。それでもミカエルは良くやっている。神の代わりをして人、天使をまとめ上げているのだからな」
…………止めろ、それ以上真実を言うな。
「誰かが起こそうとしなければ戦争は起きないだろう……だがそんな世界に何の楽しみがある!戦争のない世界など、愚の骨頂!だから言ってやろう!神などいない、お前たちが信じていたものなんてただ偶像だ!!」
「……黙れ」
俺は問答無用でコカビエルの顔を爆発させる。
「があああああああああっ!?か、顔が……!?」
「俺はグレートレッドとオーフィスから真実を聞かされて、「ああ、そうなんだ……」位にしか思わなかった……でもな、それ以上あいつを苦しめんな!!」
そう、俺はゼノヴィアが立ち上がってくれると信じている。
「ゼノヴィア!何を蹲ってんだ!神がいないからなんだ!偶像だからなんだ!神なんざ偶像の産物に過ぎねぇ!アーシアはそれを受け止めた!」
「っ!なん……だっ…て……」
ゼノヴィアは信じられないと言わんばかりの目でアーシアを見つめる。
ここに到着するついさっきアーシアに電話である物を持ってきてほしいと言っておいたのだ。
それはアーシアが持っているバッグの中にあるんだろう。
しかし、今はそれは重要ではない。
アーシアはしっかりとゼノヴィアを見つめる。
「はい、確かに私は知りました、神がいない事を……でも、だから何なんですか?私たちは神を信仰してきた……これまでのその思いは変わりません。だったら変わらずに……私は祈り続けます……いつだって!」
「アー……シア……………」
ゼノヴィアはアーシアを見つめて……袖で涙を拭い、立ち上がる。
「そうだな、私たちは神の姿を見た事は一度もなかった……でも私は信仰し続けた!」
そして再びゼノヴィアは聖剣二振りを構える。
「その信仰に嘘はない!ならば!私は信じつづけるまでだ!」
よく言った、ゼノヴィア……お前はこれからも強くなるだろうな。
その為にも……
「この街を破壊させる訳にはいかねぇ……」
俺はソルブレイブを元の形に戻す。
「?な、なんだ……?」
「アーシア!例の物を!!」
「あ、はい!!」
そう言ってアーシアはバッグの中から銀色に光る籠手を取り出し
「受け取ってください!」
俺に投げ渡す。
俺はそれを受け取り、左手にはめる。
「ゼノヴィア、木場……いや、祐斗って呼ばせてもらうぜ。俺の後ろから前に出るな」
「兵藤君……」
「イッセー……」
俺はコカビエルとあと十歩ほど歩けばコカビエルの攻撃範囲に入る所で一度立ち止まる。
「コカビエル……お前、見たがってたよな?俺の本気……」
「ああ、あの時見せた貴様の力……まさか!?」
「ああ、見せてやるよ、一瞬だけな」
『ドライグ、出番だ。一瞬だけだけどな』
『それでも、十分さ!!』
ふっと俺は笑いながら、右手を頭上に高く掲げる。すると……そこに赤色の何かが集まってくる。
そしてその赤い何かを左手の籠手に押し付ける。
すると……先ほどまで銀色だった筈の籠手が……濃い紅色に染まる。
「ははははははははは!!!まさか、貴様の本気を見ることが出来るとはな!さあ、見せてみろ!貴様の本気をぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そう叫びながら突進してくるコカビエル。
「いくぞ、ドライグ……」
『First・Impuct!!』
そんな機械音が鳴り響き……俺はコカビエルの真正面でコカビエルの腹に左手での一発をぶち込んでいた。
「が……は…………っ…………そ、そう……か…………これ…………が………貴様の……ほん……き……‥‥」
コカビエルは倒れ……そして俺の籠手も紅色をしてはいなかった。
そして、俺がゼノヴィア達の所に戻ろうとすると……
「へぇ?面白そうな事になってるね……」
そんな、透き通るような声が聞こえた。
そして……
パリィィーーーン!!
結界が壊れる音が鳴り響き……上空を見上げると……
───────────そこには、白が、いた。
後書き
いやぁ、コカビエル戦で丸々一話使っちまったぜ!まあ、こんくらいのボリュームで大丈夫だろう。
そして、次回は白龍皇との対面でございます。
そして今回でイッセーに憑依した人物が何を望んだのかが分かったんじゃないかな?って思いますね。
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