ハイスクールD×D~進化する勇気~
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第四話
前書き
四話でございます。
そして翌日……リアス先輩達に今回の簡単な経緯を説明[コカビエルが云々は言っていない]して、放課後に話し合いが行われる事になった。
そして俺は放課後の学校の校門で二人が来るのを待っている。
そして少し待った後……
「やあ、イッセー。話し合いは取り付けてくれたかな?」
「ああ、なんとかな。俺についてきてくれ」
俺はイリナとゼノヴィアを引き連れてリアス先輩達がいる旧校舎のオカルト研究部に向かう。
あ、ゼノヴィアが俺の事をイッセーって言ってるけどさすがに兵藤っていうのは慣れなかったからイッセーって呼んでくれって言ったんだ。
俺は部室前に着くと、先にノックを済ましてリアス先輩の許可を得てから部室に入った。
部室には、リアス先輩がソファーに座っていて、窓側に朱乃さん、神名、小猫ちゃんが立っていて、そして木場は皆から離れたところに腕を組みながら立っていた。
俺は二人をソファーに座らせ、そして二人が座っているソファの後ろに立つ。
部室の空気は、どこか重いな。
まあ、本来なら敵である二つの勢力が一つの部屋に集まればこうなるわな。
にしても……
「………………」
木場の奴、何でイリナ達が持ってきた大きな布に入った何かを睨んでるんだ?
まあ、布の中に入っているのは聖剣なんだろうけどな。どんな聖剣かは知らんが。
「この度、会談に了承してもらって感謝する。私はゼノヴィアだ」
「紫藤イリナです」
「それで、今まで悪魔を嫌煙してきた教会側が一体、私達に何の用かしら?私達と交渉するくらいだもの。相当のことがあったのでしょう?」
「簡潔に言おう。我々が所有しているエクスカリバーが、堕天使によって少し前に奪われた」
「「「「「っ!!」」」」」
俺は事前に説明を受けていたから驚かなかったが俺から教会が会談を申し込んでいるとしか聞いていない部室のメンバーは驚きを隠せないらしい。
「そりゃ、確かにこうなるとは思ってたさ……ゼノヴィアとイリナも俺のハーレムに加えてやるか…… (ボソッ)」
おい、神名。聞こえてるぞ。まあ、他のメンバーは驚きや説明なんかで聞こえちゃいないみたいだけどな。
そして昨日俺にしてくれた説明を皆にまたするゼノヴィア。
その間、俺はゼノヴィア達の後ろで静かに立っているだけだ。
「こんな所だ。それで?何か質問はあるか?」
「それじゃいくつか……あなた達は私たちを信用していないの?」
「ああ、正直言って信用していないというのが本音だ。悪魔にとっては聖剣とは身を滅ぼす兵器だ。堕天使と結託して聖剣を壊すと言うのならば、利害は一致していると思う……それが本部が示した可能性の一つだ」
「私を魔王の妹と知っているということは、言わせてもらうわ。私はグレモリ―の名に掛けて、魔王の顔に泥を塗ることはしない」
「それが聞けただけでいい。今のは上の考えだからな、本意ではないさ」
こいつ、この状況楽しんでないか?まあ、そんなのはないか。
「それで私たちが今回のことに介入しなければ、貴方達は私たちに関わろうとはしないのかしら?」
「ああ、神に誓って約束しよう」
「了解したわ……それじゃ最後に一つ、なぜ兵藤君はそちらに立っているの?」
おそらく一番聞きたい事だったんだろうな。
「簡単な事だ。彼には私たちと一緒に今回の任務に協力してもらう事になった。ミカエル様にも協力を仰ぐならイッセー君にしなさいと言われているからな」
「っ……兵藤君、あなたは一体何者なの?魔王様と既知の間柄、そして天使長、熾天使のミカエルとも既知の間柄だなんて……」
まあ、こんな経歴持ってる人間なんていないだろうな。俺自身も聞いたことないし。
「そろそろ帰らせてもらおう。お茶などの気遣いは無用だ」
その言葉と共にゼノヴィアとイリナは部屋を出ていこうとする。すると
「ちょっと待ってくれないかな」
木場が声をあげた。
「……誰だ、貴様は」
「ふん……君たちの先輩だよ――――――失敗作のね」
木場はそう言うと、一本のどす黒い魔剣を創りだす。
「どれだけ待ったことか……これで僕はエクスカリバーを壊す」
その瞳には……どす黒い復讐の炎が現れていた。
ゼノヴィアとイリナ、そして木場とそれに賛同した神名は旧校舎前にある芝生の空間で対峙している。
ここら一体に結界を張っていて、辺りには騒動はいかないはずだ。
「イリナ。本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、私だって戦えるわ!」
「そっか……でも危険を感じたらすぐに助けに入るからな」
「うん、ありがとうね、イッセー君」
そう言ってイリナはゼノヴィアに並ぶ。
「では、はじめよう!!」
そう言って二人は着ていたローブを脱ぎ去った。
ゼノヴィアは剣から布を解放し、バカでかい聖剣を掴む……あれがエクスカリバー。
いや、それよりも俺が気になるのは……あいつらの姿だ!
「おい、お前らの教会はどうなってやがる!何で歳もまだ言っていない女の子にそんな戦闘服を着せてんだよ!!」
そう、あいつらの服装……それはピッチリとしたボンテ―ジっぽい体のラインが見えるくらいぴっちぴちの戦闘服だった!
「おい、イリナ!可愛くなったと思ったら、そんな服着てんじゃねえ!」
「な、イッセー君!?か、可愛いとかそんなのは今は無し!集中してるんだから!」
後ろからそんな事を言ったらイリナが顔を真っ赤にしながらこちらを向きそう言ってきた。
するとイリナの腕の紐が日本刀の形に変化する。
なるほど、あれが聖剣……擬態のエクスカリバーか。
「すごいな……擬態って……」
『相棒はそんな事しなくても俺を使用すれば戦いの幅は広がるだろ?』
「ま、そうだけどな」
あの力を使えばドライグの力を使えるし。
そしてドライグと話していたらどうやら戦闘が始まっていた。
イリナ対神名、木場対ゼノヴィアのようだ。
イリナは擬態の聖剣を上手く使って戦っており、神名は白と黒の同じ感じの剣を二刀使って戦っている。その左手には赤龍帝の籠手がある。
『あいつに使われなくて本当によかったと思うぞ……』
ドライグが俺の中でそう言っている。
まあ、あいつの中ってどす黒そうだもんな。
イリナは神名の剣を弾き飛ばすが……既に神名の手には先ほどの剣がまた握られており、イリナにその剣を突き立てようとしていた。
あれはやばいな……。
「構築・展開・発動……マテリアルアクト……」
俺は左手に緑色の盾を、右手に緑色のレイピアを手にする。
「EDELWIND!!」
俺は一瞬でイリナと神名の間に入り、神名が突き立てようとした剣を盾で防ぐ。
「「なっ!?」」
イリナと神名が同時に驚く。
「イリナ、選手交代。俺が相手をする」
「で、でもイッセー君……」
俺は盾を油断なく構えながらイリナにこう言う。
「大丈夫だよ、イリナは十分に強くなってた。後は、任せとけ」
「っ…う、うん……///」
?何をイリナは赤くなってるんだ?
俺はそんな疑問を持ちながら神名と向き直る。
「てめぇ……」
神名はその手に持った剣を構える。
『Boost!!』
そんな音声が聞こえてくる。
『はぁ……赤龍帝の籠手も悲しんでるだろうな……こんな奴が主なんだから……』
なんかドライグが前まで宿っていた神器の事を心配しているんだけど……。
「とりあえずは、幼なじみであるイリナを傷つけようとしたその罪から……だな」
「んだとっ!?てめぇこそイリナを洗脳しやがって!」
……こいつは根拠もない事を言っている。アホだろ、俺が洗脳なんて出来るわけないってのに。
『Boost!!』
二回目の倍加。まあ、予想はついていたが神名はそのまま突っ込んできた。
俺はツウィリンクスストムトを構えて接触する瞬間に神名の二つの剣を盾とレイピアを使って弾き飛ばし、神名が何かをする前にレイピアを神名の首筋に当てる。
「これで、終わり……」
「くそ……!」
神名が赤龍帝の籠手を消したのを確認して俺もツウィリンクスストムトを消す。
「か、神名が手も足も出せないなんて……」
リアス先輩はそんな事を言っているが正直言ってこいつ、自分の才能に胡座をかいて鍛錬を怠ってやがる。
こんなんだったら普通に倒せるわ。
多分素手でも倒せるな。
「す、すごいね、イッセー君……」
俺がイリナの所まで戻ってくるとイリナはそんな事を言ってくる。
「あんなの朝飯前だよ。あ、俺を目指そうなんて思うなよ?意味はないからな」
「う、うん。さすがに私にもあんな芸当は出来ないから」
まあ、出来たらビックリだけどな。
そして俺とイリナが話していると、あちらも決着がついたようだ。
「君の負けだよ、『先輩』……君がもっと冷静であればいい勝負が出来ただろう。だけど君の強みは速度。それを潰すその大きな魔剣を創った時点で、君の敗北は決していた」
ゼノヴィアは聖剣を布で再び包んで。そして話をしていた俺とイリナの元に来る。
「じゃあ、ちょっと説教してくるよ。家にはアーシアが待ってると思うから……イリナ、くれぐれも何か高いものを買おうなんて考えんなよ?」
「イッセー君はもうちょっと私を信じてもいいんじゃないかな!?」
「前科があるからな。信じられん」
俺はそう言って倒れている木場の所に向かう。
「よう、木場。負けた感想がどうだ?」
「……ああ、僕には実力が伴っていないという事がよくわかったよ。だから僕に構わないでくれないかな……」
そう言って木場は俺の隣を通ってどこかに行こうとする。
「待ちなさい、祐斗!!」
リアス先輩の言葉にも耳を傾けようともしない。
「木場」
俺は聞こえてるであろうと信じて木場に言う。
「復讐をするのは構わない。でもな……復讐の中に僅かでも違う感情が混じっていればお前はまだ堕ちはしない。でもなただ復讐がしたいだけなら……今までのこの学校での日常を思い浮かべながら生活するといいと思うぞ」
「…………………」
木場は何も言わないで、頷きもしないでそのまま去っていった。
「おい、イッセー!何で止めなかったんだ!」
神名が俺にそう言ってくる。
「復讐をしたいならさせればいい。でも……もし復讐をしてその後に何か残ればあいつはまだ大丈夫。何も無ければ……あいつはそこまでの奴って事だ」
俺はそう言ってカバンをかついでから家に帰る。
これであいつがわかってないならそれまでだって事だからな。
翌朝……グレモリー眷属っていうか一部が何かしているみたいだけど俺にはどうでもいいので無視していた。
そんな俺は生徒会室にいた。
もちろん、今回の事を説明するためだ。
「なるほど……ありがとうございました、イッセー君」
「ありがとうな、イッセー。教えてくれて」
「いえいえ。それとこれは俺の仮説だけど……コカビエルはこの駒王学園で何かをする可能性が極めて高いと思う」
「?それは、なぜでしょうか?」
「あいつは戦争が大好きで大好きで仕方ない奴だ。今回の出来事も戦争に繋がる何かだとしたら……」
「っ!そうか……聖剣を奪ったのは天界がそれに怒り戦争を仕掛けてくる可能性があったから……そして、なぜこの街に来たのか……」
「あ、俺もわかりましたよ!そいつはこの街に会長とグレモリー先輩がいる事を知っていた!そして会長達に何かあれば魔王様方が黙っていない!」
「そう!そういう事だ、匙。だから警戒はしておいてくださいね」
「ええ、ありがとうね、イッセー君」
「それじゃあ、俺はこれで」
俺はそう言って生徒会室を出て、下駄箱に向かい、家に帰る。
家に……帰って…………
「えぇ~……迷える子羊に恵みの手を~」
「どうか、天にかわって哀れな私達に救いの手をぉぉぉ!!」
俺の目の前では……文字通り募金活動のようなものが行われていた。
「イリナ……」
「あ、イッセー君だ!」
俺は近寄ってきたイリナの頭に拳骨をかます。
「いったぁ!?何するの、イッセー君!」
「お前はバカか!昨日あんなに注意しただろうが!どうせゼノヴィアが止めてもお前が強引に買ったんだろうが!」
「わかってくれるか、イッセー!!」
ゼノヴィアは俺の手を取って涙ぐむ。
「こいつと組んで……こうなった事は多々あるんだ……私が何度言ってもイリナは引かないし……挙句の果てには一瞬の内に会計まで済ませてるしで……」
「大丈夫だ、ゼノヴィア……俺はそれを幼少期の頃に結構見ていた」
「こいつのこれは小さい頃からだったのか……」
呆れるゼノヴィア。まあ、呆れるしかないもんな。
「はぁ……とりあえずこんな所であれだからファミレスに入るぞ」
俺は二人を連れて近くのファミレスに入った。
お金は定期的に財布の中に入ってるから時々こうやって使わないとどんどん貯まってしまうからな。
そして色々注文して20分後……
「んぐ、んぐ……日本の料理は、なんてうまさだ!!」
「うぅ……幼馴染の優しさで涙が……!!ああ、故郷の味はおいしいわ!!」
泣きながら食事をする二人。正直シュールだ。放課後だからなのか普通の生徒とかもいるからな……無駄に目を引かれてる……そして二人共外見は超絶美少女だからな。
「ふぅ……イッセーのおかげで助かったよ……イリナのせいでお金がな……」
「ひどいわ、ゼノヴィア!それじゃ私が悪いみたいに聞こえるじゃない!」
「「みたいじゃなくて事実だからな」」
「イッセー君にまで言われたよ~~!」
泣きながらテーブルに顔を擦り付けるイリナ。
こいつは……まあ、こんな所も可愛いんだけどな。
「それで?具体的にはどうするんだ?」
「どうするもなにも……コカビエルを見つけて叩く。それだけだ」
「二人でか?」
「うっ……」
ゼノヴィア自身も気づいているようだ。
そう、コカビエル相手に聖剣使いが二人掛かりでも勝てる可能性は限りなく0……いや、0%だ。
「とりあえず、俺も協力するとして……二人は聖剣の事だけに集中していてくれ。コカビエルが現れたらすぐに逃げろ。お前らじゃ瞬殺されるのがオチだからな。俺がつくまで何とか耐えるだけでいい」
「わかった」
「うん、イッセー君も気をつけてね!」
「ああ、任せとけって」
こうして、俺の厄介事がまた始まった……。
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