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少年少女の戦極時代Ⅱ

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オリジナル/未来パラレル編
  第7分節 不変の闘争


 人通りがないセンター街に着くや、紘汰とザックは同時にロックビークルを急停止させた。
 ちなみに咲は紘汰のロックビークルの後部座席に乗せてもらった。紘汰の話によれば、咲自身もロックビークルを乗り回していたらしいが、今の咲はバイクの操縦自体を忘れてしまっている。

 道路に這うヘルヘイムの果実をインベスが貪り食っている。どれも下級種だが、数が多い。

 紘汰とザックが前に出てドライバーを装着した。紘汰はオレンジ、ザックはクルミの錠前をそれぞれ開錠した。

「「変身!」」

《 オレンジアームズ  花道・オン・ステージ 》
《 クルミアームズ Mister Knuckle-man 》

 12歳の咲の記憶と変わらない、オレンジの鎧武者にクルミのファイター。

「紘汰くん、あたしはっ」
『隠れててくれ! すぐ終わらせる』

 彼らは剣を、拳を携え、インベスの群れに突っ込んだ。

 ある程度のダメージを肉弾戦で与えてからのトドメ技。これは咲が知るインベスとの戦いの流れと変わらない。

(なら、今のあたしでもできるんじゃない?)

 ナップサックを漁る。――あった。咲の戦極ドライバー。12歳の頃から変わらないインジケータ。そしてドラゴンフルーツのロックシード。

 咲はためらわずドライバーを引っ張り出して装着し、ドラゴンフルーツの錠前を開錠した。

《 カモン! ドラゴンフルーツ 》

「変身!」

 白いライドウェアが四肢を覆い、炎の形をした果実の鎧が咲を装甲した。

《 ドラゴンフルーツアームズ  Bomb Voyage 》

『できた――』

 アーマードライダー月花。大事なチームメイトたちが考え、つけてくれた名前。その変身をこの自分もできる。戦える。紘汰の力になれる。

 両手のDFバトンを構え、月花は鎧武とナックルのいる戦いの巷へ飛び込んだ。


 まずは鎧武と組み合っていたインベスをドロップキックで遠ざけた。

『咲ちゃん!?』
『足手まといにはならないから!』

 向かってくるインベスをDFバトンの片方でいなし、片方で叩く。予想よりずっと動きやすい。
 体が戦い方を覚えている。手足の長さが、12歳の咲のリーチでは届かなかった攻撃を届ける。

 鎧武が、ナックルが、すでに全体の半分以上を殲滅した。残りは月花が相手にするインベスのみ。

『いち! にの…! ……さぁん!』

 3体のインベスを同時に殴り飛ばして一か所に固めた。さらに向かってくる2体もそちらに蹴り飛ばした。

『ふ――っ』

 大ジャンプし、固まったインベスの頭上を通過しざまにDFボムを投下した。
 月花が着地すると同時、DFボムによってインベスは爆散した。

『はっ、はっ……』

 ドラゴンフルーツの錠前を閉じて変身を解除する。ベルトを残してアームズが粒子と散った。

「咲……お前、戦えるのか」

 呆然と、変身を解いたザックが問うた。

 咲は自分の両手を見下ろした。自覚より大きな掌。何の違和感もなくインベスを撃退した。体が覚えている。21歳の咲がどう戦えばいいかを教えてくれる。

「みたい。今ので思い出した」
「一番に戻った記憶がそれとはな……おみそれしたぜ、相変らずで」
「咲ちゃん、ザック!」

 変身を解いた紘汰が咲たちに合流した。

「朗報だぜ、紘汰。咲、戦い方思い出したって」
「マジで?」
「バッチリ。あたしもちゃんと手伝う……ううん、ちゃんと、仕事するから」

 ――その時の紘汰の表情をどう言えばいいか。甘いと思って噛んだ物が苦かったかのような。
 しかし紘汰はすぐ平静さを取り戻した。

「手分けしてクラックを探そう。見つけたらいつも通りに。――咲ちゃんは俺と一緒に行こうな」

 紘汰が手を自然に差し出したものだから、咲はついその手に手を預けた。  
 

 
後書き
 咲が戦えるようになりました。
 「月花」の名は仲間がつけてくれた大事な名前です。では当の仲間はどこでしょう?
 続きます。
 
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