万華鏡
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第五十六話 クライマックスその八
「後片付けも皆でするから」
「けれど文化祭自体はですか」
「キャンプファイアーで終わりですね」
「そうよ、だからね」
それでだというのだ。
「今言うわね、お疲れ様ってね」
「有り難うございます、それじゃあ」
「今からですね」
「打ち上げやるから」
明日の後片付けがあるにしてもというのだ。
「キャンプファイアーの場所で飲むわよ」
「やっぱり飲むんですね」
「それは欠かせないんですね」
「当たり前でしょ、打ち上げの時にも飲まないと」
ここで『にも』となるのが八条学園だ。『こそ』とはならないのだ。
「八条町は飲む町だからね」
「十五歳以上は飲んでよし」
「そして飲めるならですね」
「酒は飲め飲め飲むならばよ」
黒田武士の有名な一節だ。
「盛大にね」
「飲むならですね」
「それこそ」
「打ち上げは特に飲むのがデフォよ」
この場合の常識だというのだ。
「だからいいわね、皆明日は二日酔いで起きるのよ」
「頭を痛くさせてですか」
「そうして」
「そう、死にそうな顔で起きるのよ」
高校生とは思えない過酷な指令だが部長はあえてその指令を出した。
「後はお風呂かシャワーで抜くのよ」
「そしてそれからですか」
「後片付けですね」
「そうするわよ、じゃあ皆今からね」
今の話もするのだった、今すぐすることについて。
「シャワーかお風呂をさっと浴びてね」
「キャンプファイアーの場所に行くんですね」
「グラウンドですよね」
学校の文化祭の場所はもう決まっている、そこしかない。
「そこに皆で出て、ですね」
「飲むんですね」
「残っているお酒とおつまみは全部持っていくわよ」
最後の大動員も命じられた。
「そのうえで徹底的に飲んでそうしてね」
「そうして、ですか」
「二日酔いですね」
「グラウンドでは寝ない様にね」
例え酔い潰れてもそれだけはというのだ。
「そこはちゃんとしてね」
「部室かそれぞれのクラスの場所で、ですか」
「寝ないと駄目ですね」
「外で寝てると見回りの先生達に寝袋に包まれてグラウンドの端にゴミみたいに置かれるわよ」
「えっ、そうされるんですか?」
「ゴミ扱いですか」
「そうよ、あんまりにも酷かったら用意されているトラ箱に入れられて起きた後で地獄の説教部屋行きになるから」
そうした過酷な処置を受けるというのだ。
「だから絶対にグラウンドでは寝ないでね、廊下とかでもね」
「わかりました、それじゃあ」
「絶対にこっちに戻ってきます」
「そうして寝ます」
「そうしなさいね。後ね」
部長は部員達にさらに話した。
「キャンプファイアーで一緒に踊ると」
「あの話するの?」
「一年の娘達に」
二年の部員達は部長の今の言葉に笑ってこう返した。
「あの話を」
「そうするのね」
「ええ、ここでお話しておかないとね」
どうかとだ、部長は二年の娘達に笑顔で応えて言う。
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