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久遠の神話

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第九十話 家族の絆その十二

「僕の両親と弟や妹達、それに祖父母に」
「ああ、コズイレフのご家族ってモスクワだったよな」
「そこにいるんだよな」
「はい、その家族にです」
 是非にというのだ。
「贈りたいのです」
「親孝行だな、また」
「家族思いだな」
 友人達は今度は感心する声で言った。
「家族に贈りものなんてな」
「普通はしないからな」
「いや、コズイレフは凄いよ」
「出来た人だな」
「そうでしょうか、家族は」
 彼等はどうかとだ、コズイレフが言うには。
「絶対のものですから」
「自分を育ててくれてか」
「ずっと一緒にいるからだよな」
「はい、ですから」
 それ故にというのだ。
「家族への贈りものは」
「絶対なんだ」
「何があっても贈るつもりなんだな」
「お金もありますし」
 剣士の戦いで得た金だ、それはもう相当なものになっている。
「それで」
「そっちの心配もない」
「だからか」
「はい、しかしお金がないのなら」
 それはそれでだというのだ。
「その手で稼げばいいですし」
「アルバイトな」
「それもあるからな」
「肉体労働は得意です」
 コズイレフはにこりと笑ってこうも言った。
「昔から」
「まあその体格だったらな」
「しかもコズイレフって動きも速いしな」
 だからこそ剣士としても戦えているのだ、もっと言えば剣士として戦う中で力も敏捷性もこれまで以上に鍛えられている。
「身体も柔軟だし」
「怪我もしにくいか」
「柔軟には気をつけています」
 身体のそれにだというのだ。
「トレーニングと共に欠かしていません」
「ストレッチもだよな」
「そっちも」
「はい、身体が柔らかいとその分怪我をしにくいです」
 スポーツ選手と同じだ、身体が硬いことはそれだけ危うく柔らかくさせた方がいいのだ。だからストレッチがあるのだ。
「ですから」
「いつもだよな」
「身体をほぐしてるんだな」
「そうです、ですから」 
 肉体労働はというのだ。
「得意ですから」
「というか明らかに肉体労働をする為にある様な身体だな」
「本当にな」
「ですからこれからは」
 ここでこれからも、と言わなかったのは剣士のことがあるからだが友人達はそのことに全く気付かなかった。
「肉体労働をより増やします」
「そしてか」
「お金を稼いでか」
「これまで通り贈りものをしていきます」
 愛する家族にだというのだ。
「僕を日本に送り出してくれた家族に」
「いや、本当に凄いな」
「その家族思いには脱帽するよ」
「普通そうはいかないからな」
「だよな、とてもな」
「コズイレフ位にはな」 
 友人達はそんなコズイレフの言葉を聞いて強く頷いて言った、彼の家族への愛情の深さに心を打たれたのだ。 
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