| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十話 家族の絆その八

「それでもです、今は」
「ロシアかの人が来る様になってなのね」
「その飲み方、本来の飲み方も見ましたので」
 だからだというのだ。
「どちらでも」
「そうなのね」
「特にモスクワからの大柄な方が」 
 こう聞いてだ、二人はすぐに察したが今は聞くだけだった。
「その飲み方がお好きなんです」
「そうなのね」
「その人がですね」
 二人は何気ない風を装ってウェイトレスに応えた。
「そうして飲んでいるのね」
「ロシア本来の飲み方で」
「そうなんです、それが一番美味しいと仰って」
 それでだというのだ。
「飲んでいます」
「そう、では私達はね」
「そうですね」
 智子と豊香は二人で顔を見合わせて決めた、そしてだった。
 二人はウェイトレスにだ、こう言った。
「ではロシアンティーを頼むわ」
「ケーキもお願いします」
「わかりました、ではケーキは」
「そうね、苺のケーキを」
「私はチーズケーキをお願いします」
 二人はどちらも西欧のケーキを注文した。
「それをお願いするわ」
「そういうことで」
「わかりました、ロシアのケーキもありますが」
 ウェイトレスは笑顔で二人にこちらのケーキもあると話した。
「そちらのケーキですね」
「はい、ロシアのケーキもいいですが」
 豊香は微笑んで智子に答える。
「今はそちらをお願いします」
「わかりました、じゃあ」
「今から」 
 こう話してだ、そしてだった。
 二人はロシアンティーと西欧のケーキを頼んだ、それで紅茶はロシアの飲み方で飲みながら話をはじめた。
 だが今言うことは少なかった、智子は確かな笑顔で豊香に言う。
「後は見ているだけだから」
「私達がすることはですね」
「若しも。既にチェックはしているけれど」
 こう言ってからの言葉だった。
「梟が働かないならね」
「その時にですね」
「修正するだけよ」
 それだけだというのだ。
「万が一にね」
「別の動く梟を仕込みなおすだけですね」
「そう、それだけよ」
 こう笑顔で話す智子だった。
「今の私達はね」
「だから見ているだけなのですね」
「そう、それだけよ」
「そしてその可能性もですね」
「殆どないわ」
 自信に満ちた返答だった、既に万全の手筈を整えたという。
「零に近いわ」
「ではですね」
「ええ、このままね」
 見ているだけでいいというのだ。
「見ていましょう」
「ことの成り行きを」
「ただ。彼が戦いを降りる時は」
「これまでの剣士達と同じ様に」
「仕掛けて来られるわ、姉様が」
 セレネーがだとだ、智子はその目を輝かせて豊香に述べた。紅茶には手をつけているがケーキの方はまだである。
「その時も見ましょう」
「あの人が無事に戦いから降りられるか」
「それまでね」
 見ようというのだ。
「そうしましょう」
「わかりました、それでは」
 豊香は姉の言葉に頷いた、そして。
 彼女からだった、ケーキにフォークを入れた。チーズケーキの皮の部分であるブラウンのところからフォークを入れた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧