赤城と烈風
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欧州方面
水上偵察機の攪乱
1935年『デュケーヌ』級2隻の航空母艦改造、14機の運用案が検討された。
却下後に極東情勢は急転、潜水艦対策として航空巡洋艦の提案が甦る。
『ダンケルク』級2隻の副火器、1932年型45口径130ミリ両用砲の評価は割れた。
対艦射撃には威力不足、急降下爆撃機には射撃速度不足の声も強かったらしい。
次の『リシュリュー』級戦艦は高角砲、平射砲を載せた。
高速戦艦には『ドイッチュラント』級、通商破壊艦の撃破が期待される。
或る参謀は極東海域の戦訓、実績に鑑み艦載機の雷撃を唱えた。
後部甲板に偵察機を載せれば、遙か彼方まで捜索できる。
『シャルンホルスト』級が優速でも、水上偵察機は振り切れない。
670kg航空魚雷の直撃で艦内浸水、速力低下後330ミリ砲弾で撃破可能と思わないか?
ラテコエール298艦載用B型、主翼折り畳み式42機の有効活用を望む。
航空巡洋艦に準拠、航空戦艦の提案は次第に熱を帯びた。
砲術家も『ラ・ガリソニエール』級2隻の強化、『アルジェリー』準姉妹艦に変更を推す。
1937年『ダンケルク』級2隻と重巡洋艦2隻の備砲変更、後部改造案が審議された。
主砲4基は『デュケーヌ』級2隻から転用、建造費の減額も強調し議員の翻意を誘う。
11月15日『グロワール』、28日『モンカルム』は竣工後『アルジェリー』と戦隊を組んだ。
1938年11月26日『ジョッフル』起工後、水上偵察機と準姉妹艦2隻が運用実績を積む。
英国海軍も通商破壊艦対策に興味を抱き、1939年9月4隻を増援の要望が届いたらしい。
『ダンケルク』級2隻と『デュケーヌ』級2隻は海上補給線の脅威、装甲艦の捜索に動員された。
イタリア海軍の動静を睨み、ツーロン軍港に『グロワール』『モンカルム』が残る。
1940年4月Late298搭載艦4隻が地中海に帰還の後、西部戦線は潰えた。
6月22日独仏休戦条約締結後、7月3日フランス艦隊を英国艦隊が襲う。
英国側名称『カタパルト作戦』、メルセルケビール海戦の勃発直後に異変が生じた。
水上機母艦の射出機4基が動き、緊急発進用加速度を補う。
4機が『コマンダン・テスト』を離れ『ダンケルク』級2隻、『デュケーヌ』級2隻も続く。
ラテコエールLate298第一波12機は意表を突き、上昇せず海面上数m付近を翔けた。
約18km彼方の『フッド』に浮舟装着機が接近、航空雷撃に移る。
英国製両用砲連装8基16門、8連装機銃4基32門、4連装4基16挺の射撃開始は遅れた。
水上偵察機の雷撃に備え、準備を命じる幕僚は無かった為だ。
複数の魚雷が無防備に近い旗艦の横腹、海面下側壁を穿つ。
被雷の衝撃と震動、電気回路の故障で艦対空火器が黙り込む。
『アーク・ロイヤル』搭載フェアリー・フルマー、艦上戦闘機の緊急発進も遅れた。
フランス艦隊上空の弾着観測機は動かず、水柱と敵艦の距離を測り連絡を続ける。
Late298第二波12機は『ヴァリアント』を襲い、魚雷が海面下側壁を破る。
老練の乗組員も弾着修正作業に専念、航空雷撃には備えていない。
先陣を切った戦艦『ブルターニュ』、『プロヴァンス』も痛撃を喰らう。
15インチ砲弾の直撃に耐え切れず、激震で乗組員が倒れる。
旧式艦2隻は盾となり、反撃の時間を稼いだ。
330ミリ砲弾が弧を描き、『レゾリューション』を襲う。
第三波12機の雷撃も重なり、砲撃が途絶える。
巡洋戦艦1隻と戦艦2隻は傾斜、砲身角度の微調整も弾着位置改善に繋がらない。
第四波12機は『アーク・ロイヤル』を襲い、搭載機の緊急発進を妨げる。
英国駆逐艦11隻は雷撃を試みるが、2隻が機雷に触れ急激に速度を落とす。
軽巡『エメラルド』、『エンタープライズ』も踏み込めない。
海岸に沿い突破を図る戦艦2隻、巡洋艦2隻、駆逐艦6隻を追い東方数浬で再攻撃を試みる。
フランス陸軍の援護射撃、240ミリ砲弾も侮れない。
魚雷発射前に駆逐艦2隻が機雷に触れ、僚艦も罠を避け転舵を選ぶ。
英国空母機が降下、『ストラスブール』に魚雷を叩き込んだ。
航空戦艦『ダンケルク』『ストラスブール』(52口径330㍉砲2基8門、50口径90㍉高角砲6基12門、60口径37㍉機関砲12基24門、76口径13.2㍉機銃16基64挺、水偵14機、30㌩)
航空巡洋艦『デュケーヌ』『トゥールヴィル』(55口径152㍉速射砲2基6門、〃4基8門、〃8門、〃6基12挺、魚雷発射管2基6門、水偵10機、33.5㌩)
重巡洋艦『グロワール』『モンカルム』(50口径203㍉砲4基8門、〃、〃4基8門、60口径20㍉機関砲2基4門、〃2基4門、31㌩)
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