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久遠の神話

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第八十九話 六人目への介入その一

                   久遠の神話
                第八十九話  六人目への介入
 上城が樹里の協力を得つつ剣士として強くなっていく中でだ、聡美は今も智子そして豊香と笑顔で話していた。
「今は五人、次はですね」
「ええ、次の剣士はね」
「誰に声をかけるかですね」
「既に炎の剣士には声をかけています」
 聡美は中田にはそうしていると話した。
「ですから残りは」
「魔の剣士は無理ね」
 智子は加藤については最初に対象から外した。
「彼は」
「そうですね、あの人はとても」
 豊香も智子のその言葉に難しい顔で答えた。
「戦いを止めることとは考えられませんので」
「ええ、私もどうするべきかまだね」
「策が出ないですか」
「純粋に何かをしたいだけの者は」 
 それが神であろうと人間であろうと、というのだ。
「それを変えることは難しいわ」
「それも極めてですね」
「そうよ、彼にしてもね」
「善意も悪意も野心もなくですね」
「戦いたいだけだから」
 そうした考えでいるとなるとだというのだ。
「彼は」
「では必然的にです」
 聡美は智子の言葉を聞いて言った。
「一人しかいませんね」
「そうね、この場合はね」
「熱の剣士ですね」
 聡美は彼のことをここで言った、コズイレフのことを。
「あの人ですね」
「ロシアから来た剣士だったわね」
「はい」
 その通りだとだ、聡美は智子に答える。
「今もまだ戦う考えです」
「家族のことを思ってとのことだけれど」 
「そうです、家族とそれぞれが死ぬまで永遠に仲良く生きていたい」
 コズイレフの願いもここで語られる。
「そう願いが故にです」
「戦っているわね」
「それをどうするかですね」
「それならね」
 ならばだとだ、智子の目が光った。鋭利なまさに智の女神の輝きである。
「やり方があるわ」
「あの剣士にはですね」
「ええ、これでまた一人ね」
「剣士が減りますね」
「そうなるわ」
 確実にだというのだ。
「私の考えでいけばね。むしろね」
「むしろとは」
「彼の願いは適えられているかも知れないわ」
 それはもう既にだというのだ。
「私が思う通りなら」
「と、いいますと」
「それはどういうことでしょうか」
「彼のことを調べてみましょう」
 こう言うのだった。
「まずはね」
「熱の剣士のことをですか」
「あの人のことを」
「相手を知ってこそよ」
 智子の目の輝きはそのままだった、その鋭い目の鋭利な輝きのまま智子に二人の妹達に語るのである。
「まずはね」
「そうですね、それでは」
「まずはですね」
 聡美と豊香も智子の言葉に頷いて応えた。 
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