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久遠の神話

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第八十八話 強くなる水その四

「いいわね、それで」
「はい、是非」
 上城もそれでいいと答えた、そうしてだった。
 スフィンクスはここまで告げるとだった、その姿を消した。そのうえで声だけになって上城にあらためて告げた。
「では強くなるのよ」
「これからもですね」
「私なりの助け方でやらせてもらうわ」
 その協力をだというのだ、そう話してだった。
 スフィンクスは声も消した、上城はまた怪物を倒しそれだけ強くなった。そうしていって彼は強くなっていた。
 彼がそうして強くなっていくのを見てだ、樹里は共に昼食を食べている時に自分の向かい側に座る彼にこう言った。
「最近凄く闘ってるわよね」
「うん、スフィンクスさんの出す怪物とね」
「かなり強くなってると思うけれど」
「この前はオルトロスを倒したよ」
 上城は樹里にこのことを話した。
「かなり強かったけれどね」
「それでもなのね」
「うん、倒したよ」
 その怪物をだというのだ。
「それでその分だけ強くなったよ」
「そうなのね。それじゃあ」
「他の剣士の人達ともね」
 例え闘おうともだというのだ。
「負けないだけの力はね」
「備わってきたの?」
「そう思いたいけれど」
 上城は自分の昼食、カキフライ定食を食べつつエビフライ定食を食べる樹里に言った。
「どうかな」
「何か中田さんがね」
「あの人もかなり闘ってるんだね」
「相当ね。もう一日に何体も怪物を倒してるそうよ」
「何体もなんだ」
「そう、何体もね」
「じゃあ若し。出来ればそうなって欲しくはないけれど」
 上城は願い、中田に好意を持っているが故にこう前置きしてから言った。
「中田さんと闘うことになってもいいように」
「もっと闘うのね」
「怪物とね」
 剣士ではないが、というのだ。
「闘ってね」
「力をつけるのね」
「それでどんな剣士の人にも勝って」
 そうしてだというのだ。
「戦いから降りてもらえれば」
「それに越したことはないわよね」
「ええ、本当にね」
 こう言うのだった。
「僕としてもね」
「力は必要なのね」
「そのことが今よく実感出来てるよ」
 上城は噛み締める様にして述べた。
「本当にね」
「戦いを止めるにはそれだけの力が必要だっていうことを」
「何もしないと終わらないんだ」
 それこそ誰か一人になるまで、というのだ。
「戦いを終わらせる為にはね」
「戦いもまた力だから」
「その戦いを終わらせる為にはそれ以上の力が必要なんだ」
 それでだというのだ。
「だから僕も」
「今どんどん強くなって」
「戦いを終わらせるよ」
「あと三人よね」
 樹里は人数もその話に出した。 
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