| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハイスクールD×D×HERO’s

作者:龍牙
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

1話

??? SIDE


 突然ながらオレは転生者と言う部類に属している。……と思う。まあ、思うって言ったのは、本来この世界に存在して居ない前世の記憶らしきモノの中に存在する正義の味方
ヒーロー
達の力を持っているからだ。
 “らしきモノ”と言ったのには、前世の記憶と言うのには不確かな……力に対する知識程度しかないからだ。両親を事故で失った際に力と共に手に入れたものだが。

 さて、本来《力》と言うのは善でも悪でもない。使う者の心がけ次第でダークライダーと呼ばれた者達の力でさえ善の力となる。ダミースパークでウルトラマンのスパークドールズをライブした時黒い悪の巨人と化して仕舞った様に、だ。

 まあ、具体的に言うと……

「何でこんな物を持ってしまったかなぁ」

 深々と溜息を吐きながら余計な力を持ってしまった己の不幸を悩む。余計な力など持ってしまう事は幸せでは無く、不幸だ。
 また、力を振るう理由を得る事も不幸だと思う。……大き過ぎた力を持ってしまった事に幸運があるとすれば、それは不幸の中の幸福。理不尽な暴力で奪われる命を手の届く範囲で救える、その程度だからだ。

 オレは転校先の学校である駒王学園を眺めながら、何度思ったかは分からない悩みを思う。まあ、訓練こそしているが力を使う度にむけるべき相手の居ないこの世界と言う範囲では大き過ぎる暴力と思う。

 ……等と『そんな事を思っていた時期が有りました』。とでも言いたくなる未来が待っている等、その時のオレには想像も出来なかった。不幸にも力を向けるべき相手を得てしまった己の不幸を思いながら、改めて確信する。

 誰よりもヒーローの存在が必要なくなる事を望んでいるのは他でもない、ヒーロー達自信だと言う事を。


SIDE OUT








「ったく、転校初日からオレも何やってるんだか?」

 放課後、丁度六時を過ぎようと言う時間帯に改めて学園に来る羽目になった己の失敗を思うのは、彼『天城 総麻』。
 どこぞの冬の町を舞台にした名作恋愛ゲームの様に、ノートを取りに行って無口な黒髪の女生徒が魔物退治をやっている所に遭遇する訳も無く、何事も無くノートの回収は成功した。

 態々取りに行かなくても『仮面ライダーウィザード』の力の一端でも使えば簡単に回収できるのだが、流石にそんな事に力を使うのは本当の持ち主に対してこの上なく失礼な真似だと思って使わなかった。


《コネクト、プリーズ》


 まあ、取りに行った帰り道にはしっかりと使っているが。何処かに置き忘れないようにと自分に言い訳をしつつ校舎を出ると、彼の視界の隅に旧校舎の建物が映る。その建物から感じられる違和感……自分の持っている力の事も有り念の為に調べておこうと考える。

(さてと。ウィザードじゃなくて他のヒーローの力を借りるべきかな?)

 ウィザードの魔法が汎用性が高い為に多用しているが、相手に気取られずに行動するのに他に適した者が居る為に一瞬だけそう思うが、直ぐに除外する。相手にもよるがウィザードの力は比較的扱い易い。

 そんな事を考えながらドアに触れる。鍵が掛かっているのか空く様子は無い。

(……仕方ないか)

 修理などの手段は少ないが、どうせ使われていない校舎なのだから多少の破損は大丈夫だろうと考え、


《コネクト、プリーズ》


 真横に現れた魔法陣に手を入れてその中からウィザードの専用武器である『ウィザーソードガン』を取り出す。そして、ソードモードのウィザーソードガンをドアの隙間に挿し込み、そのまま振り下ろす。

「よし。っ!?」

 それによって開いたドアを開けて中に入ろうとしたとき、彼の直感が警鐘を鳴らす。躊躇する事無く直感にしたがいその場を離れると、上空から黒い翼を生やした黒い髪の女生徒と剣を持った男子生徒が現れる。

「黒い羽?」

 一部だけとは言え人間と違う姿。ウィザードを初めとする戦士達の戦った敵の一種かと思ったが、そのどれとも違う。付け加えるなら、二人とも見覚えがある……と言うよりも転校初日の総麻でも覚えてしまう学園の有名人だ。

「あらあら、こんな時間に何の御用でしょうか?」

「いや、ちょっと妙な雰囲気の旧校舎が気になったんでね、先輩」

 目の笑っていない笑顔で問いかけてくる女生徒-記憶が正しければ三年の『姫島 朱乃』と言った名前だった-の言葉に答える。ウィザーソードガンを地面に突き刺し、変身用のウィザードリングをさり気無く指に填める。

「それより、あんた達は何者なんだ?」

『それはこっちの台詞よ』

 そんな言葉と共に旧校舎の扉が開き中から赤い籠手を着けた少年と白い髪の少女と金色の髪の少女が出てくる。

(同じクラスの『兵藤 一誠』と……『アーシア・アルジェント』……西洋系の苗字は覚えにくいな。二人ともクラスメイトだったよな。あの赤い髪の女は……三年の『リアス・グレモリー』。白い髪の女の子はよく分からないけど……見た目通りの年齢じゃ無さそうだな、服装から言って)

 最後に一つ物凄く失礼な事を考えている。

「あなたは何者? ただの人間じゃないのは分かってるわ。答えて、貴方は教会の人間?」

(教会? 言ってる意味は分からないけど……今はこう答えるべきか)

 どう言う意味かは理解できないが、それでも相手の問いに答える言葉は手元にある。

「教会って言うのは分からないけど、オレが何者かって言うのは答えようか」

 そう言って不適な笑みを浮かべながら今名乗るべき名を名乗る。

「ただの魔法使いだ。今はな」

「随分ふざけた答えね。まあ良いわ。貴方をこのまま帰らせる訳には行かない事は理解して頂戴。こっちにもこっちの都合があるので、ねっ!」

「そうです、かっ!」

 リアスの放つ魔力弾をウィザーソードガンで切り払い、その場でドライバーオンリングをベルトに翳すと、『ウィザードライバー』を本来の姿へと戻す。


《ドライバーオン! プリーズ!》


 ウィザードライバーのハンドオーサー操作し、ベルトの手の向きを変える。


《シャバドゥビタッチヘンシーン! シャバドゥビタッチヘンシーン!》


 左手に填めていた『フレイムウィザードリング』の一部を変形させ、顔のような形にするとそれをハンドオーサーへと翳す。

「変身!」


《フレイム! プリーズ! ヒー! ヒー! ヒーヒーヒー!!!》


 ウィザードライバーから音声が流れると同時に総麻の真横に現れた魔法陣が現れ、彼を飲み込むとそこには、彼に与えられた英雄の力の象徴である姿となった『指輪の魔法使い』が居た。

 全体的なカラーは赤で、腰には黒いローブ、顔は宝石を思わせる赤い円形の仮面。

「っ!? あなた、本当に何者なの?」

「それはこっちの台詞でも有るんだけどな。まあいい改めて名乗ろう。貴女の後ろの二人は知ってると思うが、天城総麻。今日その二人のクラスに転校してきた転校生で……」

 その場で腰のローブを翻しながら一回転し、フレイムウィザードリングを見せ付けるようにポーズを取る。

「今のこの姿の名は、指輪の魔法使い、仮面ライダーウィザード」

「指輪の、魔法使い?」

「そっちが何者かはよく分からないが、人間じゃない事は確かな様子だし、手加減する必要も無い上に、そっちがそう言う態度ならこういう態度で答えようか」

 ウィザーソードガンを引き抜き刀身を一撫ですると、

「さあ、ショータイムだ!」


 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧