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久遠の神話

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第八十六話 運という実力その十二

 しかしだ、教師の世界はというと。
「内部をチェックする部署もなくだ」
「腐ればな」
「腐るだけ腐っていく」
 そうなっていくというのだ。
「果てしなくな」
「そうした世界だからそうした教師がいるんだよ」
「酷い世界だ」
「体罰と暴力は違うからな」
 このことが重要なのだ、当然ながら厳しい教育と虐待も違う、履き違えている愚かな教師が多いのも日本であるが。
「それも全くな」
「そうだな、しかしだ」
「それがわかっていない教師も多くてな」
「そのうちの一人を倒したか」
「ああ、そうしたこともあったよ」
「しかし君は基本としてはだな」
「戦いは好きじゃないんだよ」
 戦いを選んでいる、しかしだというのだ。
「実際な」
「では戦いからか」
「早く降りたいね」
 シニカルな笑みでの言葉だ。
「そして幸せに暮らしたいよ」
「戦いを好んで選ぶ剣士は少ないな」
「あいつだけだな」
 加藤のことを思い浮かべてだった、中田は遠い目になって述べた。
「そういう奴は」
「彼はまた特別だな」
「戦闘快楽者ってやつだな」
 中田は加藤をこう評した。
「そういう奴も本当にいるんだな」
「世の中にはな」
「そんな奴いるかって思ってたけれどな」
「いることはいる」
 実際に加藤の様な者はというのだ。
「暴力に快楽を感じる者がいる様にな」
「世の中本当にな」
「色々な人間がいるな」
「わかってるつもりだったけれどな」
「剣士になってからか」
「余計にわかったよ」
 そのことがだというのだ。
「本当にな」
「そうか、君もな」
「それはあんたもなんだな」
「これまで色々な人間を見てきた」
「やっぱり会社を経営してると会うよな」
「実際にな」
 そうだと話す権藤だった、中田に対して。
「いい人間もいれば悪人ともな」
「会うんだな」
「そうだ、しかしだ」
「剣士になるとか」
「君とも会ったしな」
「俺はそんなに変わってるかね」
「少なくとも個性は強い」
 権藤が見てもだというのだ。
「剣士はそれぞれ強い個性を持っている」
「それはあんたも含めてだな」
「自覚している」
 自分のこともだというのだ。
「私にしてもな」
「そうなんだな」
 中田も権藤の言葉を聞いて納得した、そうして。
 今飲んでいる紅茶を見つつだ、彼に言った。
「俺もあと少しだな」
「戦いから降りるか」
「ああ、そうなるよ」
 微笑みながらの言葉である。
「有り難いことにな」
「君は戦いは好きではなかったな」
「だから嬉しいよ、本当にな」
「戦いを好まなくともな」
 それでもだというのだ。 
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