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久遠の神話

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第八十四話 運が持つものその三

「この戦いは一人の女神で終わるものではなかったわ」
「アルテミス女神の力だけでは」
「ええ、だからね」
 それでだというのだ。
「これまで続いたのよ」
「そういうことか」
「神話の頃から。数え切れないだけの戦いが行われ」
「俺達は何度も死んでいるか」
「死ぬこともあれば降りることもあったわ」
「そして生き残ることもか」
「色々とあったわ」
 智子も戦いことは見ていた、それで言うのだ。
「貴方達にしても」
「そうだったのか」
「ええ、そうよ」
「成程な、そしてその戦いをか」
「今度こそ」
 智子は強い声で答えた、工藤だけでなく高橋にも。
「終わらせるわ」
「そうか、ならだ」
「俺達も」
 ここで高橋も再び口を開いた、そしてだった。
 二人でだ、こう智子に言った。
「俺達もな」
「剣士としてこの戦いを終わらせていくよ」
「貴女達とも協力して」
「そのうえで」
「お願いするわ」
 智子は二人に答えた、そしてだった。
 そのうえでだ、ここで彼女は二人にこのことを話した。そのこととは。
「一人、一人ずつね」
「剣士を一人ずつか」
「戦いから降りてもらっていくんだね」
「そうよ、焦らずに」
 そしてだというのだ。
「進めていくわ」
「将棋だな」
「それかチェスだね」
 今の神々のやり取りをだ、二人はこう評した。
「この戦いを終わらせることは」
「そうなっているね」
「そうよ、こう言っては悪いけれど貴方達は駒になるわ」
 智子は二人にこうも言った。
「そうなるわ」
「駒か」
「ええ」
 智子は工藤に対して答える。
「私達が動かすね」
「そうなるか」
「ただ、その駒は普通の駒ではないわ」
「将棋でもチェスも駒は動かされるだけだ」
 工藤が言った、このことを。
「しかし俺達は自分の意志がある」
「そう、そして駒が戦いを終わらせると願えば」
「その時にだな」
「戦いを終えられるわ」
 それが可能だというのだ。
「そうした意味で私達が貴方達を動かしているけれど」
「俺達も自分の意志で動いている」
「そうなるんだね」
 ここで高橋はまた話に入って来た。
「そういうことだよね」
「そうよ、だからね」
「俺達は戦いを終わらせる」
「その為に戦っていればいいね」
「貴方達には自分の欲はないのかしら」
 ここでだ、こう問うた智子だった。
「戦いに生き残り適えたいまでの」
「そうした夢か」
「俺達にあるかどうか」
「人も神も心があるから」
 それが故にというのだ。 
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