鬼と龍の兄弟は
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
鬼と龍の兄弟は Ⅲ
前書き
ほのぼのとしたのが書きたいなー・・・。
書けないけどね・・・。
「だから、寒いからって俺のベッドに入ってくるのはやめろ!」
「あり、ばれてらぁ」
「そりゃばれるわ」
朝。鬼炎が悪戯に舌を出すと、それを見た龍炎は溜息をついて眼の下の隈をこすった。
「――で、鬼炎。俺は宝石の鑑定で寝ていなかった。そしてやっと終わり寝ようとしていたところに、バッチリ9時間は寝ているお前がやってきて俺は安眠を妨げられたわけだ」
「おお、寝てないのに饒舌だな、龍炎」
「話を逸らすなよ? 俺は眠い。今すぐにでも安眠カプセルに入って寝てしまいたいところだが・・・用事は何だ」
寝不足により少し充血した眼を細めて、龍炎。
「あ、そうだった。ニュース見なよ」
そう言ってTVのスイッチを入れると、龍炎の視界いっぱいに"『鬼龍』現る!"という文字が浮かんだ。
「おかしいな」
「だろ? 俺らはあの男たちを殺してはないし、あんなに派手に盗んだことはないぜ?」
確かに、鬼龍兄弟は窓ガラスを割ったりしない。人も殺さない。最低限の区分はわきまえているのだ。
「――とすると、俺ら以外の誰かか」
「だな」
2人のやることは決まった。
「犯人捜して、ぶっ殺す」
「同感だ。大方、模倣犯でも装ったか偶然俺らを目撃したかだろうがな。まあ、殺すのはナシで」
眼をギラギラさせる鬼炎に苦笑し、ガラスを割られた『ジェラーノ』と搬送されていく男たちの死体を見つめる龍炎。
「拷問までなら・・・オッケー?」
「キャラじゃねぇだろ、龍炎は」
鬼炎は、ハハ、と笑ってTVを消す。
「あ、宝石はどうだった? 俺はあんまり興味ないんだけど、売るのか?」
「売るに決まってる! ゼルノさんの所に持っていってくれ。俺は寝る」
瞳をギンッと見開いて金への執着を露にする龍炎だが、すぐに閉じていく重い瞼が彼の格好良さを半減させていた。
「あー、もうダメだ。眠い」
フラフラとソファに向かい、前のめりに倒れる。そのまま寝てしまった龍炎を見た鬼炎は少し笑い、彼の体に毛布をかけて家を出た。
ゼルノと呼ばれた宝石商のところへ向かう鬼炎の前に、警組織の電動ポリスが出てくる。
「え? マジかよ」
と後ろを振り向くと、警官だけに与えられるらしいコート『バニスリー』を着た警官たちが銃を構え、無言で佇んでいた。
「バニスリーね・・・気配消すとか反則だし、挟み討ちとかけっこう古りぃと思うぜ?」
でも、あんま死角がないんだよなぁ・・・と呟いた鬼炎は
「じゃあ、上で!」
飛び上がる。それと同時に、銃を構えた警官たちは容赦なく鬼炎を撃った。
「面倒臭ぇなもう! 火炎か、捕獲か、それとも鉛か!?」
そう言って財布を取り出し、中にある紙を握って「消えうせろ、ハタニ!」と叫んで鉛弾に手をかざすと、10発以上はあった弾の殆どが、それまでの勢いを失って重力に従う。
「うお、マジ? 普通の弾とか久しぶりに見たわ」
左腕に2発の弾丸を受けながらも、鬼炎は笑う。そのままビルの屋上を走りぬけ、飛び移りながら移動する。
「今捕まったら、龍に殺されるからなぁ・・・てか、その前に俺の脳細胞が危ないし」
鬼炎は、特有の速さで走りながらある人物を見つけた。茶髪の男と、真紅の髪で一房だけの赤を束ねている男。
はっきり言って、普通の人間には高速で走る鬼炎は残像のようにしか映らないだろう。
しかし、彼らは見ていた。鬼炎の姿を、はっきりと。
茶髪男は糸目の目尻を下げ、赤髪の青年は口の端を歪ませて笑っている。
「アイツ・・・いや、アイツらか」
鬼炎は止まって戦おうかと考えたが、自分が宝石を持っていることと警察に追われていることを思い出して、そのまま走った。
後書き
いったん切ります!
ページ上へ戻る