【IS】例えばこんな生活は。
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例えばこんな結果になるのも必ずしも悪い事じゃない
前書き
一先ずここで打ち止め。そのうちまとまった量のストック溜まったらまた投稿します。
9月16日 ウツホのメモリーデータ断章
そんなつもりじゃ無かったのに。
だってヴァイスお姉ちゃんはとっても苦しそうで、そんな声が聞こえるのに黙って待ってることなんて出来なくて。だからあの時、私を止めようとするラウラが邪魔だった。
そんなつもりじゃ無かったのに。
だって、生身の人間が私を止めることなんて出来ないって分かってたし、焦っててちゃんとラウラが見えて無くて。だからあの時私は無駄な抵抗をするラウラをどけようとして。
そんなつもりじゃ無かったのに。
だって、お姉ちゃんと一夏を襲ってるのはあの嫌なおばさんで、きっと2人を壊しちゃうことに躊躇いなんてないだろうって感じてたから。
ニンゲンはそんなに脆いって、本当の意味で分かってなかったんだ。
「あ・・・ラウラ、大丈夫?」
咄嗟に振るってしまった私の腕はラウラの小柄な体をいともたやすく振りほどいた。ううん、吹き飛ばしたんだ。引き飛んだラウラは後頭部を背後の壁に強打して、そのまま倒れ伏した。
あの時、ちゃんとラウラの事を見てたら、気付けたんだと思う。でも、その時の私はちょっと吹き飛んだだけだ、それ位で体が壊れるはずないって・・・本気でそう思ってたんだ。
「・・・邪魔したラウラが悪いんだから、私知らないっ!」
だから、ごめんなさい。
「退いた退いた!急患だよ!!」
「ボーデヴィッヒさん!ボーデヴィッヒさん!!・・・駄目です、意識ありません!!」
「裂傷が大きいな・・・思ったより出血も酷い。輸血の準備を!!」
ごめんなさい。
「あ、ウツホちゃん!大丈夫!?怪我は!?御免なさいね・・・生徒会長命令で敢えて人を置いてなかったんだけど、貴方には伝えるべきだったわよね。まったくあの人は・・・それにしても、まさかボーデヴィッヒさんが不覚を取るなんて・・・ウツホちゃん?どうしたの、ウツホちゃん?」
ごめんなさい。
「私が・・・・・・」
「え?」
「私が、付き飛ばしたんだ・・・虚お姉ちゃん・・・・・・どうしよう、私そんなつもりじゃ無かったのに・・・ちょっと邪魔だから押しのけたくらいのつもりだったのに・・・!!どうしよう!!このままラウラが死んだら、私が殺したみたいだよっ・・・!!」
謝っても許してもらえないかもしれないけど、ごめんなさい。
9月18日 リューガの無差別ファイル
学園の生活に慣れてきた俺の下にIS関連の依頼が来た。依頼主はデュノア社社長。大物だった。
カメラを通した通信で交渉してみたが、口では自社の命運がどうこう言っていながら内心でシャルロットの手助けをしたいという本音が見え見えだ。あれで芝居なら大した役者だと思う。立場上故個人のために社の金を注ぎ込むという事は出来ないのだろうが・・・なんとまぁ不器用な人だ。その不器用さに免じて受けることにした。
《ガーデン・カーテン》の完成、及びその他ISフレームの強化によるラファールタイプ完全第3世代ISの完成。ラファールを超えるラファールの作成依頼。名付けて『エクシード・プラン』を。
それにしてもクラスの空気が悪い。イベントの中止、ウツホの退学、シャルロット・ラウラの入院、ムードメーカーだったゴエモンの不在。止めとばかりにあれ以来露骨に元気のない一夏と箒。
これで空気が悪くならない訳が無いというものだ。ラウラは明日にも復帰するそうだが、ゴエモンの謹慎(専用機持ち以外の人間には別の所に出頭している事にしてある)もシャルロットの復帰もいつになるか分かっていないのが現状だ。
今はラファールの改修に集中させてもらうが、出来ればゴエモン達には早く帰ってきてもらいたいものである。
9月19日 誇り高きドイツ軍人日記
ウツホ―――あの大馬鹿者。
私を吹き飛ばしたことを苦に学園を辞退したと聞いて割と本気でショックを受けたというのにこの馬鹿は。
あろうことか、IS学園の食堂で働き始めていた。
意味が分からない。エプロン着たままカウンター越しに謝ってるんじゃない、状況を説明しろこの馬鹿者!阿呆!頭脳が間抜け!私の今までのショックと喪失感を返せ!クラスの皆も呆然としているではないか!!
あの後、篠ノ之博士に頼み込んでここの斡旋とパワーリミッターの設定をしてもらったそうだ。現在はウツホの世話をよく焼いている虚という3年生の定期チェックを受け、OKサインが出たら学園に復帰する事になっているらしい。
「ごめんねラウラ・・・私、人間の事をちゃんと理解できてなかった。だからあんな・・・あ、はい。Aセット小盛りお待ち!サービスでみかんゼリーつけるよ!」
「お前と言う奴は・・・はぁ、もういい!私が2年生になる前に帰ってきたら許してやる」
「ホント!?ラウラ大好きっ!!・・・・・・あ、はい。肉うどん1枚入りましたー!!」
「あいよ!!」
おい、織斑のうどんだけ肉の量を一割増しにするんじゃない!お前実は織斑に惚れてるんじゃないのか!?
嗚呼、弟よ。早く帰ってきて通訳してくれ。私にはもう何が何だか分からんよ・・・
9月19日 セシリア・オルコットの日記
サイレント・ゼフィルス。あれのパイロットは何者なんでしょうか。
唯のテロリストにしてはISの挙動が洗練され過ぎているように感じました。BT兵器の適性に至っては恐らく私と互角・・・フレキシブルも完全にものにしていたため随分苦戦を強いられました。性能の底上げが為されているとはいえ相手は新型。結局決定打は与えられませんでした。口惜しい・・・
しかし不謹慎ながら、ちょっと燃えてしまいました。相手の10手20手先を読みながらBTを動かし、自身も相手のBTと相手自身を見ながら立ち回る。まるでフェンシングをしながらチェスの駒を打つような戦いは・・・恐らくBT使い同士でしか味わえない戦い方でしょうから。
ただ・・・シャルロットさんは負けて重傷を負ってしまいました。・・・相手の技量は確かに高かったですが、あそこまで手ひどくやられたのは・・・性能不足、ですわね。ファリンのカタログスペックではそもそも対抗し辛いものがあったのでしょう。自分の事の様な悔しさが胸を渦巻きます。
しかし、そのファリンは現在リューガさん指揮の下改造を施されています。デュノア社の方から強化依頼を受けたそうで、彼と数人の生徒で大至急フレームを組み立てていました。
一夏さんも、その中にいました。ピンチの時に助けると前に約束していたらしく、「助けてやれなかったからせめてこれくらいはしない時が済まない」んだそうですわ。
・・・そんな告白紛いの事を言っておいて普段はあの鈍感さですか。
いえ、何でもありませんけど・・・たまには鈴音さんをお茶にでも誘ってあげると良いと思います。
9月20日 篠ノ之箒の日記
今日も、真田の席は空席だ。
皆お喋りなんかはしているし、ウツホが学園を出て行ったわけではないと知って活気が戻りつつあるが・・・皆、時々真田の空席を横目で見て溜息をついている。教室内の空気が重くて布仏の空気清浄機能が追い付いていないというか・・・かくいう私もあまり元気とは言い難い。いなくなって初めてわかる。あいつはこのクラスに欠かせない人間だったんだと。
知らない内にテロリストの襲撃を受けて、知らないうちに4人もの友達が(ラウラとウツホは帰ってきているが)教室から姿を消した。今でこそこうやって日記を書く余裕があるが、ラウラが帰って来るまでのクラスの沈み具合ときたらあの織斑先生でさえちょっと戸惑っている位だった。
ジェーンもかなり挙動不審だった。彼女の場合はオウカを預かっていたというのもあるんだろうが、時々真田の姿を探そうとしてハッとする、みたいな行動を見かけた。
ん?私か?・・・・・・恥ずかしながら、靴下の裏表を間違える程度には動揺していたようだ。ここ数日何だかボーっとしていて実感は湧かないがツバキがそう言っていた。人間の感情に疎いあいつが言うくらいだから酷かったんだろうなぁ・・・
・・・真田にこんな情けない顔を見せる訳にはいかない。笑われないように明日はしっかりやろう。
後書き
最終話までの流れは大体だけど頭の中にあるので、始めた以上は完結へ。
ま、いつ書き終わるか分からんけどね。
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