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久遠の神話

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第七十八話 選挙の結果その九

「彼等も考えているのは」
「自分のことだけです」
「それが国士ですか」
「彼等はそう思っています」
 自分達はそう自己を認識してそのうえで自己陶酔に陥っているのだ、これが日本のネット右翼の正体である。
「そこに教養はありません」
「他のものは」
「何もありません、あるのは偏見です」 
 それだけしかないというのだ。
「本当に」
「アメリカにもそうした輩はいますがね」
「どの国にもいますね」
「そして日本にもです」
「しかしそうした人は少数派ですね」
「はい、そうです」
 日本でもだというのだ、ネット右翼は所詮少数派だというのだ。
「何も学ばず自分のことしか考えず偏見しかない人物なぞそうはいません」
「そうした人間が増えると大変ですね」
「ネットの世界に出て来た害草です」
 徒花ですらない、そうした存在だというのだ。
「ですからやがては」
「消えますか」
「そうなります、僅かでも残るにしても」
 消え去っていくというのだ、その殆どは。
「やがてそうなりますので」
「日本のネット右翼とやらは気にしなくていいのですね」
「そうです、全く」
 こう話すのだった。
「所詮はそうした下らない連中なので」
「ですね、我が国でもクークラックスクランはすぐに衰えました」
 その全盛期は結成当初と一九二〇年代だ、しかしそのどちらの時期も短い全盛期だった。そして今は僅かな勢力になっている。
「だからですね」
「人種差別しか言わない連中は何でもありません」
 何でもないというのだ。
「ですから」
「そうですか、では」
「はい、そうした連中が支持する様では」
 選挙の話に戻る、また一つの州で共和党が敗北していた。
「今の共和党は」
「どうにもなりませんね」
「そうですね、これでは」
「ううん、それにしても凄い勢いで負けていますね」
 少尉はその州での敗北の速報を見て言った。
「知事選も上下両院も」
「どれもですね」
「ここまで凄い負けはそうはないですね」
「一度民主党が中間選挙で負けましたが」
 クリントン政権の第一期だ、この時はクリントンの再選危ぶまれたが共和党の候補者が今一つ地味だったことと共和党の議会運営の失敗と政策での民主党への敗北、下院議長の失言等で敗れてしまった。
 そして今はだ、どうかというと。
「その時より遥かに」
「負けていますよね」
「まさに歴史的です」
 共和党にとっても民主党にとってもだというのだ、敗北と勝利の違いがあっても。
「共和党は十年は立ち直れないかも知れません」
「十年ですか」
「少なくともネオコンがどうにかならない限りは」
 共和党の再生はないというのだ。
「そしてこの記者の様なスポークスマンがいなくなれば」
「まだ出ていますね」
 テレビの画面で頑張っている、今も共和党を持ち上げているがその顔は引き攣り汗さえ見えだしている。
「しぶといですね」
「あの記者はアメリカを好きではないですね」
「共和党のネオコンが好きというか」
「ただ好きではないかも知れません」
 その異様な擁護ぶりからだ、スペンサーは洞察して言った。 
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