戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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一章
現状×恋人
俺は寝ているのか、そういえば繭にして落ちたから結構体力を消耗したんだったな。で、今の状態を見ると俺の上に誰か乗っかっているな。起きると黒髪の少女がいた。
「おお。起きた起きた」
「ん?ここは?」
「貴様、一週間眠りっぱなしだったぞ。壮健なのか?まあそれだけ騒げば壮健だろうが、それより聞きたい事がある。貴様はどうやって天から落ちた?いやそもそもどうやって天に昇った?あれか、貴様は死人って奴で所謂幽霊とかいう奴か。いや幽霊は触れないと聞くが貴様はちゃんと触れるな。では違うか。そういえば他にも聞きたい事があるのが、あの光玉はどういう手妻(手品、奇術)を使ったのだ?それに光から姿を現せば金色の翼だったから貴様は神か仏の類なのか?いや今はいいとしてあれほど強い光を見たのは初めてだったぞ。あの光はどういうので輝くんだ?燃料はなんだ?いや燃料使ったとなると、貴様は燃えてしまっているからそれはないか。あの金色の光は灯火のような弱々しいものではなかった。言うなれば、空に輝く日輪が如く、とても強い光を放っていた。という事はあれか?お前は仏教徒共が言う、大日如来とやらの化身とでも言うのか?それにしても鍛えられた体であるがもしかして本当に神の化身なのか?という事で貴様は何者だという話に戻るがどうした?黙ってないで何か言ってみたらどうだ。黙っているだけでは何が何やらで分からんではないか」
「君は誰?」
「お前こそ誰だ?」
さっきのマシンガントークは置いておいて、敵ではなさそうだから俺の名を言った。
「織斑一真・・・・これが俺の名だ。次は君の番だ」
「織斑?聞いた事ないな。お前はどこから来た?」
「そうかい。まあ天から来たとでも言おうか。それより起きて構わんか?」
言って俺は起き上がった。うん、何も没収された跡はないな。内ポケットには拳銃やナイフが入ってたけど、この時代にはまだポケットはなかったかな。
「それより織斑と言ったな、貴様はどこから来たのだ?さっき天から来たというが冗談ではあるまいな」
「本当の事だ、それに俺は君達で言うと神だ。分かりやすく言うと見た目人間で中身は神とでも言おうか」
「な、何ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
俺が神と言ったら何やら固まってしまった。大丈夫かこの子?あ、そういえばこの子の名を聞くのを忘れていたな。
「おーい、固まってないで俺が寝ていた間のこと教えてほしいのだが」
「デアルカ・・・・まあ一週間も眠っていたのだ、では我が教えよう。ここはな、織田が治める尾張清州の城下町であり、この部屋は我の屋敷の一室だ」
デアルカ・・・・織田信長の口癖。「ああ、そう」・「ふーん」・「分かった」など、意味がたくさんある言葉。
「尾張清州ねえ」
「そうだ。一週間前の事だが、我が治めるこの尾張清州に向けて駿府屋形の今川治部大輔が侵攻してきたのだ。我は迎え撃つため、寡勢にて田楽狭間に進出し、奇襲を仕掛けて義元の首級を挙げ勝利を得た。その時、新介が義元の首級を掻き切った、ちょうどその時貴様が天から落ちてきたのだ」
首級・・・・生首の事。頸、しるし、しゅきゅう、など呼び方は様々。
「なるほど、そういえば君の名前は?俺が言ったのだから今度は君の番だ」
「まあそうだな、教えてやるが。聞いて驚け、我が名は織田三郎久遠信長!織田家当主にして夢は日の本の統一なり」
「あー・・・・織田信長かあ」
「諱を呼ぶとは失礼であろう!我の事は織田久遠と呼ぶがいい」
「あーその間にある久遠って言うのは何?(真名だと思うんだけど)」
「真の名と書いて真名と呼ぶ。通称とも言うがまあどちらでも良い。そういえば貴様は織斑一真と言ったが、どこが諱でどこが真名なんだ?」
「俺の名は、そのままの通り織斑が姓で一真が名だ。なので諱も真名もないが、親しい者には一真と呼ばれている」
「ほう諱も真名がないとは、まあ一真と呼ぼう。それより一真が神というのは本当か?」
何やら目をキラキラしてこちらを見る久遠。俺はしょうがないと思いながら翼だけを出した。6対12枚の翼を一瞬で展開したので、久遠はビクッとしながらも俺の翼に触ったが本物の翼だと理解したのか、警戒心を解いた久遠。
「それなら何の神なんだ?日の本の神仏は八百万ともいうが」
「そうだな。創造神とでも言おうか・・・・この世界を創ったと言ったほう方が早いが」
「ふむ一真。我の目を見ろ」
と言って目を久遠に目を合わせた。今は黒目だが、翼だけを出してるからたまに黒から青や緑になる事があるけど。
「・・・・うむ。嘘のない目をしておる。よかろう、貴様の言う事を信じてやる。と、貴様ではなく貴方様と言った方がいいのか?」
「どちらでも構わないさ、今の姿は人間だ。姿が変われば神の姿になるし」
「それならまあいいが、貴様は何しにこの時代に来たのだ?それと行く宛てはあるのか?」
「とある任務でこの時代に降臨した、今は分からないと思うけど時間が経てばだんだん分かるだろう。行く宛てはない」
「ないのか・・・・その割には随分と冷静にいられるな。さすがは神様とでもいうのか」
まあ俺はいくつもの修羅場を超えてきたからなのか、それにこの世界に来たのは俺とトレミーで待機しているクルー達。
「・・・・一真、我の家臣となれ。そうすれば飯も住む所も、着るものも金も、我が何とかしてやろう。いや家臣ではなく、衣食住を提供する代わりに我の夫になれ」
「はい?家臣じゃなくて夫。という事は妻は久遠という事になるのか・・・・それは困った相談だな」
「なぜだ?我が妻になれば衣食住は確保できる出来るというのに」
「俺には既に妻がいるのだよ。つまり妻子持ちだ」
俺がそういうと久遠は固まっていたが、しばらくすると復活した。だが、俺に妻がいるとの事でしばらく考えたが、なら我が恋人でしかも愛妾ならどうだと案が来た。側室も埋まっているというのは言ってある。
「お、いいのか?久遠が恋人でも構わないというのは」
「形式的には我の夫になるが正確には恋人となるが、そちらは既に結婚をした妻がいる。という事は我は恋人になるしかないと思ってな」
意外だな、てっきり妻になりたいと思ったが案外すぐに解決したけど。そういえばさっきから別の気配を感じるからか誰なのだろう?
「そういえば腹減ったな、一週間眠りっぱなしなんだっけ俺?」
「それもそうだろう。今すぐ飯にさせようが、我はまだ公務が残っておる。夜にでも、もう一度話を聞かせろ。絶対だぞ?約束だからな」
そう言って行ってしまった久遠。一応奏に連絡はしておこうが、愛妾で決定したと言うのは早いなと思った。一応何か没収されてないかチェックしとこうか、拳銃二丁にナイフにと。空間に聖剣エクスカリバーは大丈夫だろう、一応空間に手を入れたらあったし。さて、外はどうなっているかなと思いながら障子を開けたらそこはまるで庭園だった。するとさっきから外に気配が感じると思ったら、そこから声がかかった。
「あの・・・・お客様。よろしいでしょうか?」
声がかかったので道具をしまい、一応翼だけは出しておこう。この翼はただの翼ではない、攻撃や防御に使う事が出来るからな。それに神仏の類だという証明にもなるし。
「はいどうぞ」
「ただいま、お食事をお持ちいたしました。給仕を承ります、私、織田三郎が妻、帰蝶と申します。ふつつか者ではございますがよしなに。・・・・その翼は!」
「ん?この翼か。これは本物だが、それにしても腹が減っているのでな。頂こう」
目の前にご飯があったので頂く事にした。ちなみに翼はしまっているけど、この子に敵意が感じなかったからだ。で、食べているけど何か視線を感じる。そう思い口の中にある物を飲み込むと帰蝶と言った人を見たらこちらを見ていた。
「何か用かな?御嬢さん」
「あなたは本当に久遠の夫いや恋人になるのですか?恋人というより愛妾の方ですが」
「まああちらから言ってきた以上断る理由はない、それに君が言いたい事は理解しているつもりだ。俺が久遠の恋人または愛妾にはなれないと思っている・・・・違うか?」
「はい、あと先ほど話を『やはりさっき盗み聞きをしてたのは君か。気配で分かったけど』あ、はい。盗み聞きはよくないと思ってましたが神と言う言葉に思わず聞いてしまいました。申し訳ありません」
「いやいい。それより久遠の夫、正確には恋人にはなるが俺はこの世を見るために降臨してきたのだ。それにあちら側から恋人になれと言ったら断る理由はあるまい。それより旨かった。ごちそうさまでした」
「あ、はい。では久遠が戻り次第またお話をさせてください、私はこれでも久遠の妻なのですから。妻に何の話もなく新たな恋人ができたのは気になりますから」
食器を片づけて行ってしまったが、普通はどこの馬の骨が久遠の夫になるんだ、とか聞かれるんじゃないかと思っていたが俺が神だと言う事を聞いたのかあまり落ち着いていなかったと見えるな。それにしてもこの世界はどうなっているんだ?女性同士が結婚しているというのは、普通は一夫一婦制で一人の男性と一人の女性による組合せのはずだ。この外史での風習なのかな?そう考えるが、俺は一夫多妻制だから考えるのをやめてしまった。とりあえず寝るか、食ったら眠くなってきたしいしな。外を見たら夜になっていたので、俺は起きたが隣の部屋から気配を感じる。数は三いや四か、一応翼を出して聖剣エクスカリバーを出しておこう。
「全く・・・・我らに何の相談も無しにそのような事を決定されるとは」
「別に構わんだろう・・・・壬月達が心配するような男ではないぞ?」
「何を根拠にそのようなことを判断されたのです?」
「うむ。瞳だ。瞳の色、そして瞳の奥に力強い意志が見てとれる。他の者とは全く違う強さなのだ。だから我は奴を信じた」
「・・・い、意味がわかりませんよ。久遠様」
「家老の二人の言う通りよ久遠。私に何の相談せず、あんな不審な者を近づけるなんて!とは思ったけど本当に神様って感じだったわよ」
「ふむぅ結菜はいいとして・・・・なぜ貴様らは分からんのか?奴は人間であり自分の事を神だと言った、不審な者ではないはずだ。それに中々骨のある男だったと見たのだが」
「しかしながら出自も分からず、ましてあの様な不明な現れ方をしたのですから簡単に信用する訳にはいきますまい。自称神とも思いますが」
「織田上総介様の家老として、私も壬月様のご意見に賛成ですわ」
「頑迷な奴らだ。ならば貴様ら自らの目で、とくと検分すればよかろう」
「そうさせて頂きましょう」
「ただし!試した後、少しでも認める所があるならば、今後一切の口出しを禁ずるぞ。良いな?」
「「御意」」
「結菜もそれでよいな」
「ええ・・・・ただ私はもう警戒はしてないわ。あの者は本物の神だと思ったし、少し話をして納得した部分もあるしね」
「そうか。で、奴はどうしている?」
「さっきまで寝ているようだけど?」
「ならば丁度良い。その寝込みを襲う事にしましょう。殿が仰るほどの男ならば、難なく対処出来るでしょう」
何かさっきから話を聞いてると、その家老を信じさせるために俺を試すようだ。俺は起き上がって、翼を出しておこう。あと相手に怪我をさせないように徒手空拳でやるか。今の俺の状態は、天井に張り付いている。いつ来るかは分からんけど、そろそろ来そうだな。
「麦穂、私が合図をしたら襖を開け放ってくれ。抜き打ちをかける」
「了解です・・・・では」
「・・・・三、二、一・・・・今だ!せえぇぇぇぇぇいっ!!!!」
と一気に襖が開いて俺がいるはずの布団に刀を向けるが甘い。
「な、いないっ!?」
「危ないなあ・・・・話聞いてたらいきなり抜き打ちとは・・・・恐れ多いなこの時代は」
「上!な、あれは金色の翼だと!!!」
俺は天井から着地してから素早く赤い服を着た人を素手で武器を落とした後、合気道のようにして投げ落とした。今度は緑色の服を着た人が向かってきたが、速さが違う。同じように武器を落としてから、ナイフを持ち彼女の首に向けたのだった。
「ははは、やるな一真」
「これはどういう事かな?久遠。いきなり抜き打ちとはややこしい時代に来たなとは思ったが」
「どういう事とは・・・・貴様は隣で会話を聞いていたのであろう。それに翼を出してこちらが来た後の対処をしてみせた」
「まあね♪それよりこの人離しても大丈夫?大丈夫なら離していいけど」
「どうだ。壬月と麦穂よ。中々の武者ぶりではないか!我の目に狂いはなかった・・・・ぐうの音もでんか、一真。貴様に危害はさせん。麦穂を離してやってくれ」
俺は麦穂と言った女性を解放する。翼は天井から降りるときにしまったけど、まあ大丈夫だろう。それと赤い服を着た人は起き上がっていたので、恐らく受け身したのだろう。
「で?どうなのよ・・・・俺の実力は」
「・・・・徒手空拳と体捌きに優れ、草の真似事みたいな奴は怪しすぎだと思われます」
「だろうな・・・・だがこの姿を見ても怪しいと思うのか?」
俺は再び翼を出して大天使化になったが、この容姿になると神々さがあるからな。黒髪から金髪になって目の色は黒から青になり、さらに服装も変わっていた。金色に光る衣を着ているから。
「こ、これは!?その御姿は神様そのもの。これが神だというのか!!!」
「き、綺麗。これこそ神様であると私は思います」
「やはり我が連れてきて正解だったわい。一真、その姿は?」
「神の姿というより大天使化だけどね・・・・元に戻るよ」
元の状態へと戻った俺。神々さを見た二人の家老は俺の実力を認めた。壬月と言った者があの柴田勝家で麦穂と言った者は丹羽長秀だったな。その後久遠が家中には明日発表させると言ったが、さっき寝てしまったので夜の散歩に向かったのであった。
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