中二病が主人公になったら?
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第15話
前書き
みなさん、お久しぶりです。アガセです^ ^
いや~、完成に時間が掛かりました~(汗)
勢いで書いているはずなのにww
えー、一応見直しはしたのですが、
それでも誤字脱字を見落としている場合があります。
なので、それらが見つかった場合は随時報告して下さると非常に助かります。m(_ _)m
卒業試験、当日・・・
「う~ん・・・早くテスト終わらせたいなぁ。」
ナルトは教室にて、少しドキドキしながら試験が始まるのを待っていた。
いくら簡単な試験とはいえ、どんなテストでも緊張はするものである。
しかも、必ずしもテストが分身の術になるとは限らない。
何故なら、この世界においてナルト自体が既にイレギュラーなのだから。
だから、何が起こっても可笑しくはない。
だからナルトは心の中で、自分で自分を叱咤激励して気持ちを落ち着かせようと努める。
そんな最中、ついに担任のイルカが教室に入って来た。
イルカはクラスの皆に丁寧に今回の試験について説明する。
「―――で卒業試験は"分身の術"にする。
呼ばれた者は1人ずつ隣の教室にくるように。」
"マジで!?コレ、キタんじゃね!?"
自分の知っているイベント内容に乱数が働かなかったことに、ナルトは内心歓喜した。
「・・・次っ!うずまきナルト!!」
試験が始まって十数分後、ナルトは試験が行われている別の教室に呼び出された。
「うっし!いっちょ、やってやるってばよ!」
ナルトは胸元で印を組み、
「"分身のじゅちゅっ"!」
若干噛みながらではあるが、しっかりとチャクラを練って術を発動しようとした。
しかし、発動しようとした直前・・・
"なっ・・・!
なんだ?急にチャクラが上手く練り上げられなくなった・・・?"
何故か自分の体が言うことを聞かなくなったのである。
しかし、発動直前であったために、この不安定な状態のまま術を発動してしまった。
「ボッフ~~~ン!」と大きな煙を上げてナルトの傍らに現れたのは、体から魂が抜けてフニャフニャになって倒れているナルトの分身であった。
ナルトはこの予想外な結果に冷や汗をダラダラと流している。
イルカも非常に神妙な顔をして見ており、そして、
「うずまきナルト、失格!!!」
・・・情け容赦のない判決を下した。
イルカの隣にはミズキという別の試験官もおり、彼はナルトの結果を思ってか知らないが、少しだけ彼を弁護をした。
しかし、判決が覆ることはなかった。
校舎の外にて、ナルトは茫然自失の状態でしばらくブランコに座っていた。
決して油断していた訳ではない。
でも、"100%受かる!"と心の何処かで自負していただけあって受けたショックは非常に大きかった。
やがて、合格者とその保護者の喜びの声が聞こえ始める。
「良くやった!流石オレの子だ!!」
「これで一人前だね、オレ達!!」
「卒業おめでとう!!今夜はママ、ごちそう作るね!!」
ナルトにもしっかり聞こえるこれらの声は、余計に彼を落ち込ませた。
自分より実力が下であろう子がこぞって、自分を差し置いて合格しているのである。
なのに自分は受からなかったのだから、それらの言葉は尚更自分を落ち込ませる。
オマケに、自分が受からなかったことを喜ぶ声も聞こえ始める始末である。
ナルトは耐え切れなくなって、何時の間にかブランコから離れて走り出していた。
気がついたらナルトは屋上で黄昏ていた。
"この先どうしたらいいんだろうか?"とか"この先、株主優待だけで食ってイケるだろうか?"等と思慮を巡らせていたのだが、
「ナルト君、ちょっといいかな。」
先程の試験管、ミズキがナルトに声を掛けてきた。
「ミズキ先生・・・オレに何の用ですか。」
「残念だったね、ナルト君。」
「だからって、何でオレが落ちなきゃ・・・。」
"コイツ、オレに嫌味でも言いに来たのか?"とナルトは内心思っていた。
「イルカ先生は真面目な人だから・・・
小さい頃に両親が死んで何でも1人で頑張ってきた人だからね。
ナルト君は自分に似てると思ったんじゃないのかな。
だから君には本当の意味で強くなって欲しいと思っているから敢えて厳しい判決を下したんだと思うよ・・・。」
"いや、別にそんなことを言われても・・・。"とナルトは思う。
「イルカ先生の気持ち少しは分かってあげられないかな。
・・・親のいない君だからこそ・・・・・・。」
「・・・・・・。
でも、卒業したかったなぁ・・・。」
ナルトがそう呟くのを「待ってました!」と言わんばかりの顔でミズキはナルトに語り掛けた。
「仕方がない。君にとっておきの秘密を教えよう。」
「・・・え?」
・・・里が静まり返り、天高く上がった月が夜道を明るく照らしている頃、ナルトは某伝説の傭兵が着ているような格好をして火影邸に侵入していた。
侵入した理由は、とある巻物を取ってくるようミズキに唆されたからである。
しかし、唆された時点でやっとナルトは重要なことを思い出していた。
"このイベントがあるなら、オレは絶対卒業出来るじゃん"・・・と。
昔住んでいた頃の記憶を頼りに目的の部屋を捜すこと2分、ついにその部屋を見つけた。
その部屋とは、"大量の巻物が保管されている部屋"である。
ナルトは、周りに誰もいないことを確認してからその部屋に入った。
部屋中に積まれた巻物の山々・・・
その中からミズキに頼まれた物を探し出し、それを持って部屋を出た。
すると、丁度出たところで火影にバッタリ出くわしてしまった。
「夜中にワシの家で何をやっとるのじゃお前は・・・!?」
運悪く見つかってしまったことに一瞬焦りを覚えるが、
「・・・ホントはオレ1人で片付けるつもりだったが、仕方がない。
爺ちゃん、オレのことを水晶を通して見ていたんでしょ?
だから事情は知っているはずだよね?
という訳で、オレが囮になるからミズキ先生を頼む。」
「あっ、オイっ・・・!」
火影が静止するのも聞かずに、ナルトは火影邸を飛び出し、ミズキに指定された場所へと向かった。
・・・木の葉のとある森にて
「おっとぉ!?"多重影分身"の次は"五行封印"とか載ってるぞ!
スゲェな、この巻物は!」
ナルトが目を爛々と輝かせて読んでいる巻物は"初代火影が封印した巻物"である。
初代火影が封印しただけあって、その妻"うずまきミト"が使用していたと推定される封印術なんかも少々載っていた。
「おっ?コレ何か、父ちゃんが映画で使っていた"記憶を封印する術"っぽくね?」
ナルトはもうウハウハ状態である。
興味を持った術は自分が所持している別の巻物にとことん書き写していく。
そして写し終えた後は、取りあえず写したての術を一つひとつ猛練習する。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
結構ハードな練習になったため、木に寄りかかってしばらく休憩していると、
「・・・・・・見つけたぞ、コラ!!」
引きつった笑みを浮かべながらイルカがナルトの元にやって来た。
「あー!!オカマ見っけー!!」
「バカ者!!それはお前がやったことだろうが!!
全く・・・何してたんだ?」
イルカの目に入ったのは全身がドロドロと汚れまみれになっているナルトであった。
「へへへ♪・・・あのさ!あのさ!
これからすっげー術見せっから!!
それ出来たら卒業させてくれよな!!」
ナルトは意気揚々としてイルカに話した。
彼の話を聞きながらイルカは彼の全身の様を見て思った。
"・・・じゃあ・・・ここで術の練習をしてたのか・・・?
こんなになるまで・・・・・・"
「ナルト・・・」
「ん?」
「その背中の巻物はどうした?」
「あっ!これ!?
ミズキ先生がこの巻物のこと教えてくれたんだってばよ。
んで・・・この場所も・・・
・・・そして、この巻物の術を見せれば卒業間違いないってよ!!」
"ミズキ―――!?"
巻物を盗んだのは"ナルトのイタズラで"ではなく、"自分の同僚が仕組んだこと"だったことにイルカは戸惑う。
しかし、イルカは何かが飛来してくることに気付き、咄嗟にナルトをその場から突き飛ばした。
ホントに咄嗟のことであったため、イルカは飛んで来たクナイを避け切れず数本受けてしまう。
「よくここが分かったな。」
2枚の風魔手裏剣を背負ったミズキが大木の枝の上に現れた。
「ぐふっ!・・・なるほど・・・そーいうことか!」
イルカは自分に刺さったクナイを抜きながら考え、そしてミズキの目的に気付いた。
「ナルト、巻物を渡せ。」
「ナルト!!巻物は死んでも渡すな!!
それは、禁じての忍術を記して封印した危険なものだ!
ミズキはそれを手に入れるため、お前を利用したんだ!!」
ミズキがナルトを睨んで冷たく言うのに対して、イルカはナルトに必死に呼び掛けた。
当然、ナルトはどうするべきかを知っているため素直にイルカの言うことを聞くのだが、その前に・・・
「ヒソヒソ・・・(イルカ先生!)」
「(なんだ!)」
「(火影の爺ちゃんには予めこのことを言ってあるから、もうすぐ暗部の人とかが来てくれるんじゃないかと思うよ!)」
「(そうなのか!?)」
「(だから、出来るだけ時間を稼ごう!)」
「(・・・分かった!)」
ヒソヒソ声でイルカに話し掛けたナルトはミズキに対して身構え時間を稼ぐことに徹しようとする。
イルカもどうにかしようと必死に頭を回転させていた。
「何ヒソヒソ喋ってんだ!
フン・・・まあいい。ナルト・・・お前がその巻物を持っていても意味がないのだ!
本当のことを教えてやるよ!」
「・・・!?バ、バカ!よせ!」
ミズキが何を言おうとしているかに気付いたイルカは焦る。
そんなイルカの様子などお構い無しにミズキはナルトに語り掛ける。
「12年前・・・バケ狐を封印した事件は知っているな。」
「ああ・・・知ってるってばよ。」
「あの事件以来・・・里では徹底したある掟が作られた。」
「・・・ある掟?」
「しかし・・・ナルト!
お前にだけは決して知らされることのない掟だ。」
「・・・オレだけ・・・!?
・・・何なんだ、その掟ってばよ!?どうして・・・」
ミズキは冷酷に「クククッ」と笑う。
ナルトは知ってはいるが、一応不安そうな顔をしてみる。
「どんな・・・どんな掟なんだよ?」
ナルトの問い掛けにミズキは「ニヤッ」と怪しげな笑みを浮かべてこう言い放った。
「ナルトの正体がバケ狐だと口にしない掟だ。」
「え?」
「あっ、ハイ・・・そうですか~」みたいな感じだが、とりあえず・・・
「どっ・・・どういうことだ!!」
・・・・・・一芝居打っておく。
「やめろ!!」
イルカはミズキにこれ以上話して欲しくないため必死に静止を呼び掛けるも、ミズキはそれを無視した。
「つまりお前がイルカの両親を殺し、里を壊滅させた九尾の妖狐なんだよ!!
お前は憧れの火影に封印された挙げ句―――
里のみんなにずっと騙されていたんだよ!!
可笑しいとは思わなかったか?あんなに毛嫌いされて!
イルカも本当はな!お前が憎いんだよ!!」
ミズキは背中に背負っている風魔手裏剣を1枚掴み取り、そして不意に高らかに笑い始めた。
「それでも、お前なんか誰も認めやしない!!
その巻物でお前を封印してやるんだよ!!」
ミズキはその手に持った手裏剣を、ナルトに向かって全力で投げつけた。
手裏剣はグングンとスピードを上げてナルトに近付いて来る。
ナルトはその手裏剣を掴んで投げ返そうと思っていた。
「ぐっ・・・。」
しかし、いざ掴み取ろうとしたとき、イルカがナルトの上に覆いかぶさって庇い、イルカの背中に大きな手裏剣が深々と刺さってしまった。
手裏剣の刃が内臓まで届いてしまっているせいで、イルカは口から吐血してしまう。
「・・・な、何で・・・・・・?」
「・・・オレなァ・・・両親が死んだからよ・・・・・・
誰もオレを褒めてくれたり認めてくれる人がいなくなった。
・・・寂しくてよォ・・・クラスでよくバカやった・・・人の気を惹きつけたかったから。
優秀な方で人の気が惹けなかったからよ、全く自分っていうものが無いよりはマシだから、ずっとずっとバカやってたんだ。
・・・苦しかった・・・そうだよなぁ・・・ナルト・・・
さみしかったんだよなぁ・・・苦しかったんだよなぁ・・・ごめんなァ・・・ナルト。
オレがもっとしっかりしてりゃこんな思いさせずにすんだのによぉ。」
イルカは滂沱の涙を流しながらナルトに謝る。
ナルトはそんなイルカを見て思う。
"ああ・・・やっぱり、この先生についてきて良かった"・・・と。
「さて、散々罵倒された挙げ句、オレの恩師にまで手ェ出したんだ・・・殺すぞ・・・」
「お、オイ!お前はとにかく逃げろ!」
「いや、やらせて下さい。オレがこんなヤツに負けるはずないんで。」
イルカの静止を振り切り、ナルトは胸元で十字の印を結ぶ。
「ほざくな!!
試験中にまんまとオレの"金縛り"に掛かったガキなんざ一発で殴り殺してやるよ!!」
「「ハッ・・・!?」」
イルカとナルトの声がハモる。
そして、その場が一瞬静まり返る。
「・・・サマ・・・いか・・・」
「あっ?何だ?」
「・・・キサマのせいで落ちたのかオレは!?
もう許さん!千倍にして返してやるから覚悟しろよ!」
「てめェーこそやれるもんならやってみろ!バケ狐ェェ!!!」
「・・・"多重影分身の術"!!!!」
術を発動した途端、千どころかそれ以上の数のナルトが森のそこら中に出現した。
「なっ!なんだとォ!!!」
夥しい数のナルトが周りに出現したことでミズキは酷く動揺する。
「おい、どうしたよ。かかって来いってばよ。
オレを一発で殴りころすんだろ?ホラぁ!」
ナルトは余裕をこいて煽るが、ミズキは腰を抜かして動けなくなってしまっている。
「・・・それじゃあ、こっちからいくぜ!」
ナルトは一斉にミズキに殴りかかった。
―――3分後
ナルトの足元に倒れているミズキは、夥しい程の出血量ではあるものの、なんとか原型は止めているようだ。
当然、全員が重りをつけていたため質量エネルギーは生半可なものではない。
要するに、ナルトはミズキを拳という名の鈍器で殴り続けていたということになるのである。
「へへ・・・ちっとやりすぎちゃった。」
「・・・ナルト、ちょっとこっち来い。
お前に渡したいもんがある!」
イルカに呼ばれたナルトはイルカのケガも心配であったため急いで駆け寄った。
―――呼ばれてから3分後
「先生・・・まだ?」
ナルトは目を瞑るように指示されたため、じっと我慢している。
「よし!もう目を開けていいぞ・・・」
そう言われて目を開けてみれば、目の前には額当てを着けていないイルカの姿があった。
「卒業・・・おめでとう!」
優しく微笑みながらイルカにそう告げられた。
イルカが着けていた額当ては今、ナルトの額に着いている。
「今日は卒業祝いだ!
ラーメンをおごってやる!!」
ナルトは一瞬固まっていた。
そして、自分の頬を抓った。
痛みを感じた・・・これは夢ではないと確信した。
「・・・や、やったぁーーー!!!」
ナルトは思わず満面の笑みを浮かべてイルカの胸に飛び込んだ。
イルカは飛びつかれて少し痛みが走ったが、咄嗟に退くことはせず、しばらくそのままにしてやろうと思っていたのであった。
余談だが、後から来た暗部の人達は、
「あっ、もう間に合ってたか・・・」と少し寂しそうに呟いて帰って行ったそうだ。
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