迷子の果てに何を見る
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第三十一話
前書き
いい加減に現実を見て欲しい。
byレイト
暗躍
side レイト
麻帆良に来てからそこそこ経つが、あのくそジジイはオレたちを利用するのをまだ諦めていなかったようだな。オレが春から新しく受け持つ少女達の名簿を見てオレはそう思った。
「天流先生、どうしたんですか?」
瀬流彦、こいつは所謂隠れオタでオレと仲の良く、良識を持った信用できる魔法先生の一人だ。少し話したい事が在るので認識阻害の結界とそれを隠す隠蔽用の結界を張り名簿を瀬流彦に渡す。
「瀬流彦先生、こいつを見てどう思う」
「......何ですかこのクラスは」
「ついでにこれがオレがかき集めた一人一人の能力だ」
「......」
「さらにオレが研究してた『仮契約の際に手に入るアーティファクトの法則論』から算出した各人のアーティファクト表だ」
「......これはどれ位当たるんです」
「7割。系統だけならほぼ10割」
「明らかに作為、または悪意を感じます。学園長はなんと言ってるんですか」
「問題のある生徒は一カ所にまとめて優秀な先生に担任になってもらうのが一番、だそうだ。確かにほとんどの生徒が癖が強いと報告が来ている」
「確かに表側の体裁は取れてますね」
「まあ、オレも問題児達を持つのは好きだから良いがな。自分の娘達の担任はどうかと思う」
「普通じゃ考えられないですね。何か原因が?」
「これはオレが集めた情報から割り出した予想だが、ナギの子供達が居るだろう」
「ナギって、あのナギさんですか」
「そう、あのナギだ」
「ナギさんの子供って生きてたんですか!?」
「6年前の事件のときの数少ない生き残りだ。公表されていないのは再び狙われるのを防ぐ為だろう」
6年前、フェイトに忠告されていたナギの住んでいる村の襲撃が実際に行なわれていた。
結果、村は壊滅。実行犯は不明。ナギ・スプリングフィールド及びアリカ・スプリングフィールドは行方不明。他の村人は大半が永久石化。生存者は無し、というのが公式発表だ。実際の所生存者は3名だった。一人はネカネ・スプリングフィールド、もう一人はネギ・スプリングフィールド、そして最後の一人は超の言う歴史には存在しないアリス・スプリングフィールド。これが上位神が言っていた転生者だろう。
「その情報のソースは?」
「残念だが教えられん。が、ある程度の地位についている奴らは知っている。学園長は知っている。タカミチは直接会っているっぽい。あいつ一回だけ不自然な出張に出てやがったからな」
「それで、ナギさんの子供とこのクラスがどう関係するんですか」
「今年で2人とも8歳なんだが、魔法学校を2回飛び級してやがるんだよ。上からの圧力で。つまりオレの生徒達が中2の時に卒業だ。たぶん、こっちに送られてくる」
「魔法の秘匿に関しては」
「妹のアリスは大丈夫だ。どうやらタカミチと同じ病気らしくてな詠唱ができないらしい。代わりに詠唱を必要としない魔法とか魔法薬学とかは兄より優れている。兄のネギの方だがこのままだと首席卒業するみたいだが、こりゃだめだ。未だに魔力が安定してなくてふとした時に魔力が放出されるんだが、なぜか放出された魔力が武装解除になるんだよ。しかもくしゃみでだぞ。秘匿に関しても普通に魔法が使われている場所でしか暮らしてない上に頭でっかち、しかも魔法の怖さを知らずに魔法使いは全員“立派な魔法使い”になるのが当たり前だと思ってやがる」
「見事に洗脳されちゃってますね」
「しかもかなり歪に育っちまったみたいだ。ナギもアリカもようやく出来た子供のせいか、かなり甘やかして育ててたらしい。魔法詠唱が出来ないアリスはともかくネギの方はほとんど怒られた事がないらしい」
「......英雄の息子だからですか」
「ああ、あの事件の前はまだ怒る人が居たようだがその人も今は石化している。両親の才能を受け継いでるから周りからチヤホヤされて、妹がどんな状況であるのかも知らずに天狗になってやがる」
正直に言おう。オレはネギを見捨てる。家族を大事にしない奴が何かを成せるはずが無い。それをオレは何人も見てきた。
「平和になったというのにまだ英雄が居るんですか」
「政治家達にはいるんだよ。自分の欲を肥やす為に」
「......自分たちが情けなくなりますよ」
「組織に所属する以上は耐えるしか無いな」
オレは荷物を纏め、自分の席から立ち上がった。
「この事は内密にしておけ。明石教授達には伝えても良いが結界は忘れるな。オレも保険を用意しておく。こんな汚い世界に子供達は巻き込ません」
結界を解除してオレは自宅に引き上げた。
「という状況になった」
自宅に戻ったオレはすぐに家族全員と、千雨ちゃん、超、葉加瀬を収集してこれからの事を話し合う事にした。
「超、葉加瀬、今すぐ完成している兵器をアレの所に送りつけなさい」
「「えっ!?」」
「昔思い知らせたはずなのにもう忘れているみたいだから思い出させてあげるのよ」
「エヴァさん、さすがにそれは」
「千雨ちゃんはいいの?あんな茄子に利用されて」
「それは確かにむかつくけどその為の計画をこんな所でやめるのは」
「それにお母様、中学校ではクラス替えがないのでこれはこれで良いと思うの」
「そやね、これでせっちゃんともずっと一緒に居れるし」
「うん。でも利用されたままなのもちょっと」
「あの茄子、ぬらりひょんに似てて前から腹が立ってたんだ」
「ならあの茄子にちょっとした呪いをかけよう」
『賛成』
「マスター達がそうおっしゃるのなら私も賛成です」
紹介が遅れたが一年前から我が家に新しい家族が増えている。
名前は天流・M・茶々丸。
超と葉加瀬とオレとキティで作り上げたガイノイドだ。
超の予定ではキティをマスターにするつもりだったのだが
マスターをリーネに、
動力もゼンマイと魔力から疑似S2機関(オレが開発した永久機関。A.T.フィールドは展開できないが魔法障壁は展開できる)に、
予算もオレのポケットマネーで数倍に膨れ上がり使われる部品や装甲は最高級品に、
キティがせっかく女性型で作るのだからおしゃれとかが出来る様にしてあげた方が良いというので廃熱処理の向上や人工スキンを使用しヘッドセットを着脱可能に変更、
接近戦のモーションをオレとキティを参考に構築、
武装を葉加瀬とキティが真面目に、
オレと超がネタに走り、
元の予定から変わっていないのはデザインとAIだけという状況だ。
量産も既にされ別荘の管理を行なってもらっている。しかもデザインは一体一体異なり名前も個体ごとに命名してある。戦闘能力は3体居ればタカミチ位倒せるんじゃねえ?という位だ。
一応、茶々丸は上位機体として他の姉妹より10%程性能は上である。
「ですが一体どのような呪いをかけるのですか?あからさまなのをかけますと疑われますが」
「そうだな、呪いと分からない位些細なものだが地味に効く状況に陥るのがベストだな」
「地味か、花粉症なんてどうです?季節的にもちょうど良いですし」
「腹痛とか軽い頭痛が延々と続くのも良いわね」
「ジジイなんだ、腰痛の方が効くだろう」
「髪がもう少しあれば抜け毛が増えるのも良いネ」
「足の小指をぶつけ易くなるとか」
「お金をよう使わなあかんようになるとかええんとちゃう?」
「愛用しているものを無くしてしまうとか」
「そもそもそんな呪いあるんですか?」
「大抵はあるな。無いのは作れば良いし」
「お父様、面倒だから全部かけてしまいましょう」
『賛成』
「う〜ん、一度にかけると怪しまれるから花粉症と抜け毛を今から1ヶ月間、頭痛と腹痛を3日後から2日間、足の小指をぶつけ易くなるのを今から1年間、腰痛は永続的に徐々に酷くなるように、金が飛ぶのは2ヶ月間、愛用品がなくなるのは、壊れ易くなるにしとこう」
「かなり酷い事になってるネ」
オレたちを巻き込もうとしてるんだこれ位当たり前だ。
「と言う事でオレは早速儀式にはいる。入学式の時に効果は見れるはずだから期待してると良いよ」
後日、最近学園長が色々と苦労しているという噂が流れてきた。ザマアミロ。
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