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虹の軌跡

作者:フゥマ
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第一部 ~一年目 春~
第2章 ~勧誘~
  第二十一話

啓一
「プレイボール」

オープンスタンス気味に構えた虹太郎を見て、啓一が声を出した

あおいはボールを握りしめ、しなやかなフォームから白球を投じた


ストレート 115km/h

啓一
「ストライク」

球は外角低めに決まりワンストライク


虹太郎は微動だにせずボールの収まったミットを見つめていた

矢部からボールを受け取ると、あおいはすぐさま次の投球に入った

2球目も外角

しかし

ククッ

虹太郎
「!?」

打ちにいこうとしていた虹太郎の動きが止まる

ボールが僅かに変化したのだ

カーブ 103km/h


あおい
「どうしたの?振りに来ないけど、打つ気無いの?」

虹太郎
「いやいや、目が慣れてないんだ。アンダースローって打ったこと無いから」

確かにアンダースローの投手はプロでも滅多に使わない

それほど身体に負担が掛かるからだ

あおい
「別にそれが理由で負けても約束は約束だから。これで終わらせるよ」

そう言って3球目を放った

今度は真ん中より高めのコースだ

あおい
「(この球はまだ見せてない。これで三振に…)」

キィン

あおいが勝ちを確信した刹那、金属バットの乾いた音が響いた 
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