迷子の果てに何を見る
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第十二話
前書き
久々にキレた
byレイト
第十二話 理解−−−黒の始祖−−−
side レイト
襲って来た奴らを滅ぼした後、オレを召還した男と色々と話し情報を整理した結果、オレはブリミルたちと別れることにした。
理由は簡単。オレの虐殺を他の奴らが気に食わなかったからだ。
別に良いんだがな。
なんせ召還された時に刻まれたルーン『リーヴスラシル』の効果の一つが人を殺すことへの罪悪感の消去。
どうやら完全にはレジストできていなかったようだ。別に今更人を殺すことへの躊躇いなんかは無いけど虐殺はちょっとな。
そのことを説明したがオレと同じく召還された、ガンダールヴ、ヴィンダールヴ、ミョズニトニルンの三人はそのことを否定した。
たぶん自分でも分からない位の深層意識に刷り込みが行われているのだろう。
おそらくブリミルはそのことを知っているのだろう。
この男、自分を偽って生きていやがる。
しかも自分が有利になる様に分かってやっている。
かなり手強い政治家になれただろう。
とりえずオレはオレを召還したサモン・サーヴァントを見せてもらい理解した。
代わりにオレのルーンは完全に解呪した。そしてついでにドアの魔法も見せてもらったので敵の殲滅も請け負った。
数年の間オレは東へ、東へとブリミルたちの敵になり得るものを殺し続けていた。
そして、ふと思う。
オレはこんなにも好戦的だったか?
疑問が頭から離れない。
すぐにオレは自分を『理解』し直す。
そして気付いた。
ルーンはフェイクであったことに。
いや、正確には違う。
確かに「リーヴスラシル」の効果もあったがこちらの世界に来るときの鏡を通り抜ける途中、情報を叩き付けられた。
その時、オレの中に召還主に対しての忠誠心の様なものを刷り込まれた。
オレはサモン・サーヴァントを唱える。
鏡を抜けて来たのは一匹の竜だった。
体は大きくなく全長4メートル程度だがそんなことは気にしない。
まずは目の前の竜を『理解』する。
まず、ルーンは刻まれてはいない。
これは目で見て確認もした。
次に刷り込みはあるかどうかは調べる。
残念ながらこれは存在していた。
それも結構強力だ。
詳細としては
1、絶対に召還主を傷つけることが出来ない。
2、本来の凶暴性を和らげる。
3、ある程度の知能(3〜6歳児程度)の取得
4、召還主への好意(ほぼ呪い)
5、拒否は不可
3はまだ良いよ。というより必須だな。交渉できないし。
1と2、これもまだかわいい方だ。
4と5、巫山戯てんのかブリミル。
この魔法、要約したら強制奴隷魔法じゃねえか。
あいつ分かっててやりやがったな。
OK
殺しにいこう。
あいつは生かしておけねえ。
さ〜て、やってきましたブリミルたちの住んでいる街です。
えっ?テンションがおかしい?
そりゃあ人生初ですよ。ここまで人を殺したいと思ったなんて。
現在、精霊とオレが知る限りの隠密用の魔法、魔具をフル装備で持って来ています。
ぶっちゃけこの日の為にダイオラマ魔法球で二十年程かけて来ましたからね。
既にあいつが使う魔法の対策も万全です。
それどころか絶望を味合わせてやるよ。
現在、オレはブリミルとその使い魔たちが暮らしている家に忍び込んでいる。
ここでも元の世界で習得した忍びのスキルで完全に気付かれていない。
ここ数日の調べによるとブリミルは嫁さんを貰い三人の子供がいるそうだが関係ないな。
オレの性で不幸になるのは戴けないがよくよく観察するとこの嫁さん記憶や感情を弄られている。
......我慢だ、我慢しろオレ。
オレは直接手にかけない。ちょっとしたきっかけを作るだけだ。
とっととサーシャを探さねば。
寝室から声がするな。気配からするとブリミルと......サーシャ......
............我慢しろ、我慢だ。
たとえ今目の前にいる嫁さんが今寝室で起こっていることを意図的に認識から外されていてもオレには関係ない。
たとえ昼間からだったとしてもそれは人それぞれだし、オレも人のことを言えないからな。
子供たちが嫁さんに駆け寄っていく。
そのうち一人から変な魔力を感じる。
その子を『理解』する。
........................もう、殺しても良いよね。
この子、ハーフエルフだよ。母親?そんなのサーシャしかいないじゃん。
もう嫌だ、ストレスで胃が大変なことになって来た。
オレまだここに来て数分しか経ってないんだぞ。
これは新しい呪いの一種なのか?
はぁ、もういいや。切っ掛け作って早く帰ろう。
ガンダールヴの能力を残したまま洗脳部分に穴をあけまくる。
これを数日間ちょっとずつ密かに行う。
ついでに嫁さんの方にも少し細工を施す。
別に悪いことはしてませんよ。
ちょっと勘が鋭くなった位です。
さあ、結果が楽しみだな。
一年後
結果だけ言おう。
ブリミルは殺された。
サーシャによって。
原因?
察してやってください。
ものすごいドロドロの愛憎劇でした。
あいつ節操なかったみたいで、もう妾がどんどん出て来て。
サーシャの本心も好意を抱きかけてたんだろうけど、ぶちぎれちゃいました。
自分はこんな男の為に戦って抱かれていたのかと悔し涙を浮かべながら。
なんかもの凄く謝りたくなって来ました。サーシャさんに。
エヴァの所に帰ろう。ここでは何も手に入れることは出来ないだろう。
この世界の『扉』の魔法と影のゲートを組み合わせた『世界への扉』を使用しこの世界からはなれた。
この世界にもう一度来ることがあれば、ブリミルの作った魔法が蔓延していないことを願うよ。
side out
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