Love Song
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2部分:第二章
第二章
「この曲いつも二人で聴いたね」
「あの時はそれだけで幸せだったわね」
「今もだよ」
こう彼女に伝えた。
「今も。こうして二人でね」
「このオルゴールをくれた時は」
「はじめての二人だけのデートで」
西の街でのデートだった。その時のことも覚えている。ずっと二人で夜の街を歩いていた。それだけだったけれどとても楽しいデートだった。
そして別れの時を思い出して。
「泣いてたね、あの時」
「家の前だったわね」
彼女も昔を懐かしむ微笑みだった。
「私の家の」
「あの時何で泣いてたんだっけ」
「寂しかったからよ」
だからだったと言ってきた。
「それで。別れたくなかったから」
「次の日も会えるのに」
「それでもよ」
この言葉が出てその言葉を聞いて笑みになるから。彼女も僕もあの頃のままだってわかった。僕達はずっと子供のままだった。その心は。
「寂しくて悲しかったから」
「だからだったんだ」
「そうよ。けれどこれでもう泣くことはないわ」
「一緒になるからだよね」
「ええ、来月に」
「ずっと信じ合ってね」
次に僕の口から出て来た言葉はこれだった。
「それで」
「そうね。二人で」
「強いね」
不意にこんな言葉も口から出て来た。
「君って」
「私が強いの?」
「そうだよ。僕を信じてくれるんだから」
正直言って誰かに信じてもらえるだけ強いとは思えない。だからこんな言葉が出たんだと思う。自分ではそう思った。
「強いよ」
「そうかしら」
「そう言えるところが強いよ。それじゃあ」
「来月ね」
「うん、来月ね」
またこのことを確かめ合う。
「当然あいつ等も呼ぶから」
「七人全員で祝ってくれるのね」
「あいつ等がいてこそだからね」
また微笑んで言葉をかけた。
「僕はね」
「私もね」
「長い付き合いだよ、あいつ等とも」
その中には僕の弟もいる。あいつ等の顔が頭の中に浮かんだ。
「何だかんだでね」
「集まったのはある程度偶然だったわね」
「そうだったね。あいつ等とも」
その時のことを思い出して。また微笑みになった。
「色々とあって会ってね」
「あの人達ともこれからずっとよね」
「うん、ずっとだよ」
あいつ等ともだった。例えどうなっても心はつながっている自信があった。
「例え喧嘩して別れ別れになってもね」
「一緒よね」
「あいつ等とも君とも」
彼女を見て。
「一緒だよ」
「このままずっとなのね」
「うん、僕達がこの世に別れを告げるまでね」
そんな時が来るかというと。とても想像できなかった。実際のところは。けれどその時が来るのは当然だから。僕は言ったのだった。
「いようよ」
「ええ」
ここでそっと右手を出した。彼女に向けて。
「行こう」
「何処へ?」
「僕達の永遠の世界にね。行こう」
「ええ、わかったわ」
彼女は微笑んで僕の手に自分の手を向けてくれた。そうして握り締めてくれて。それから僕達の世界がはじまるのだった。二人だけの永遠の世界が。
Love Song 完
2009・11・13
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