| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

パンデミック

作者:マチェテ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十六話「ブリューナク」

ーーー【エクスカリバー本部・第2装甲壁上】


第2装甲壁上には、ヴェールマンが立っていた。
しばらくして彼のもとに、彼の精鋭部隊"カラドボルグ"のメンバーが2人やって来た。

「今現在の状況を報告してくれ」

「第1装甲壁が破られ、現在第1装甲壁内で応戦しています。第2装甲壁は未だ破られていません。
"クラウソラス"のメンバーは各所で交戦を開始。覚醒兵部隊も第2装甲壁の防衛に当たっています」

「そうか……このまま守り切れればいいが……」

落ち着いた様子のヴェールマンのもとに、一人の兵士が焦った様子で走ってきた。

「緊急の報告です!第2装甲壁のゲートが破損!感染者共が第2装甲壁内に!」



「なんということだ……」

流石のヴェールマンも動揺を隠せなかった。
防衛にも限界があることは計算済みだったが、2時間もしないうちに第2装甲壁も破られるのは
計算外だった。

「司令、どうします?」

「……………………」

報告に来た兵士も、カラドボルグのメンバーも、ヴェールマンの次の指示を待っている。














「……………出し惜しみをしている場合ではないな」

「?………………まさか、司令」



「"ブリューナク"の使用を許可する。なんとしてでも感染者共を食い止める」

ヴェールマンの言葉に、その場にいた兵士達は驚きを隠せなかった。
"ブリューナク"とは、エクスカリバー本部が新たに開発を進めている新型兵器の名称だ。

「し、しかし司令。それはあまりにも無謀です!ブリューナクはまだ試作段階の兵器です!
まだデータも不十分ですし、試運転もまだ………」

「これが試運転だと思えばいい!データを取る機会など、これからいくらでもある!」

「しかし……!」

「分かりました」

カラドボルグのメンバーが、ヴェールマンの意見に賛同した。

「このまま何もしないよりずっとマシだ。それにブリューナクは、この戦局を大きく覆す兵器だ。
こんな状況に必要だからこそ、開発した兵器だろう?」

「…………」

反論を言っていられるほどの余裕がないのは、誰の目から見ても明白だ。
人手はどこでも不足している。この状況がいつまでも続くと、本部が危うい。

「…………分かりました。ブリューナクを使いましょう」

「すまないな。全責任は私が持つ」


新型兵器・ブリューナクの使用が、ヴェールマンによって許可された。










新型兵器「ブリューナク」

名称"携行型・閃光放射型レールガン"

強力な電磁石と、高電圧バッテリーを使用した、技術開発班の最高傑作。
形状は白色のロケットランチャーに近い。
直径5㎝の鉄球を装填し、凄まじい電気と速度を伴って発射する。
詳しい弾速や、発射時の負荷は、データを取っていないために不明。
"シルバー・レイン作戦"で試験運用が予定されていた。








「まさか、こんなに早く使うことになるとは………」

正直なところ、ヴェールマンにも不安があった。
追い込まれているとはいえ、試験運用もしていない新型兵器を使うことに抵抗がないわけではない。

「仕方ないな………」
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧