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チートだと思ったら・・・・・・

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番外編

 
前書き
チートのIF番外編です。パートAとパートBとパートCの構成になります。 

 
パートA ”ネギまじゃなくてリリカルだったら”

「ここ、は……」

目に映るは青い空、何となく俺はあの夢が本当は夢でなかったと悟った。





「時空、管理局?」

俺はその単語を聞いて頭が真っ白になった。ここ、リリカルな世界だと。そういえば、今俺の正面に座っている女性が着ている軍服みたいなのにも見覚えが……

「その様子、次元漂流者ってのは間違いないみたいね。管理局のことも知らないみたいだし……ようこそ、迷子さん。魔法の世界へ」

(リリカルって非殺傷とかいうのあったよな? エミヤの魔術意味無しオワタ)

殺傷の攻撃しかできないものを戦わせることなどしないだろう。目前で意地の悪そうな笑みを浮かべる女性をよそに、俺は一人落ち込んだ……





「デバイスですか?」

「ええ、貴方にも少量とはいえ魔力があったしね」

検査してもらったところ、俺にも魔力が多少はあった。最も、ランクにしてE+程度だが。しかし、この世界にきていらい世話になっている彼女は魔導士ではなくデバイスを所持していなかったため本格的な訓練が出来なかったのだ。なのでくれると言うのならありがたい。

「ただし、ちょっと特殊なデバイスの試作品でね。なにが起きても文句ありませんってこの書類にサインしてくれる?」

「そんなオチか!?」

ちなみに、魔術回路が生み出す魔力は管理局の機器では計測されなかった。




「術者感応型デバイス?」

「ええ、ユニゾン・デバイスって言うのを開発しようとする過程で出来たデバイスなの。今のところ見込める利点は二つ。一個目はデバイスがサーチした情報を数値的情報ではなく映像的情報として得られること」

驚いた……そんなことが出来るならエミヤの弓術を存分に生かせるに違いない。まぁ、この世界では使い道がないのだが……

「そして二つ目、これは一般の魔導士には殆ど意味が無い。ただし貴方を除けばね」

「!? まさか……」

「そう、術者の用いる全てを非殺傷に出来る。勿論、貴方の魔術も例外ではないわ」

俺はこうして、戦う術を手に入れた。





「エミヤ、セットアップ」

[セットアップ]

俺の呼びかけに答え、胸にぶら下げた十字を模した剣のアクセサリから女性の声が発せられる。その声は非常にあのイリヤスフィールの声にそっくりだ。最初はイリヤと名づけようと思ったが、なんだか恥ずかしいのでエミヤに変えた。まぁ、イリヤは切嗣の娘だし問題は無い。

「3km先のスフィアを破壊する。サーチ開始だ」

[任せてください]

敬語に少し違和感があるな……まぁ、AIにそこまで要求は出来ない。と、言うかしたらいろいろな意味で負けな気がする。そんなくだらない事を考えていたら頭に目標地点の映像が浮かび上がってきた。仕事の速い相棒に関心しながらも弓矢を投影し、狙撃を開始した。……この時考えていたことがエミヤにつつぬけだったことは、のちにAIの性格が急変した時に知った。制作者にも予想外のことだったらしい。ちくせう……





「機動六課、ねぇ」

「貴方にはそこに言って、もらうわ」

彼女預かりとなってもうすぐ1年程になる。俺は既に16になっており、ここ最近は修行中心の生活を送り、たまに彼女が持ってくる武装隊関係の仕事をこなしていた。俺は一応フリーランスの魔導士で、試作デバイス(エミヤ)の実践データ取得の依頼を受けているという扱いになっている。

「何故そこに俺が?」

「機動六課の隊長陣はエリート魔導士揃い。そんな彼女達を魔力ランクDの貴方が倒す……面白そうでしょ?」

「倒すって……同じ部隊なのにか?」

「模擬戦でもなんでも、チャンスはあるでしょう」

これはダメだ、絶対に受けざるを得ないだろう。ただでさえ、彼女の世話になってる俺は立場が低いってのに……断れるはずがない。

[フフ、面白くなりそうね、お兄ちゃん!]

「イリヤ、彼をよろしくたのむわね」

[大丈夫よ、私がついてるんだもの]

コイツらテンションたけー、と。一人寂しくそう思った。





そして、俺が機動六課に行く日がやってきた。

「宮内健二、入ります」

測らずともやってきた原作への干渉。別に気負う必要はない。俺は俺のしたいようにするだけだ。この部隊の長、八神はやての返事の声を聞き、俺は部屋(げんさく)へと足を踏み入れた。




パートB ”ネギまのあとにリリカルだったら”
をお送りしようとしたが前半部分のデータがなぜか見つからなかったので少しダイジェストをお送り。
夏休みを利用し、魔法世界にやって来たネギ一行。しかし、フェイト一味の襲撃にあい、メンバーがそれぞれ転移魔法によって飛ばされてしまう。だが、健二は魔法が発動する直前、明日菜を釘剣でで引き寄せる。そしたらあら不思議。二つの転移魔法が干渉しあい、二人はリリカル世界に飛ばされてしまうのであった。
二人が飛ばされた時間軸はstsのファースト・アラートの真っ只中。そんなこんなで二人は六課に保護されることに。そして幾日かの時がたち、二人がかつてより希望していたリリカル世界の魔法を見てみたいという要望が通り、スターズ対なのはの模擬戦を見ることに。
そして”少し頭冷やそうか”発生。明日菜激怒。そして以下の本文につながります。




「教えてあげる、なのはさんの教導の意味を」

ヘリポートから退散する暇もなく再び原作のシーンに会合してしまった。明日菜はティアナを殴ったシグナムを睨みつけている。また、面倒なことになりそうだ。





「だから、なのはさんは自分みたいになって欲しくなくて、ああ言った教導をしているの」

モニターに映されていた高町なのはの過去。フォワード陣は皆一様にうつむいてしまい、明日菜もまた怒り一辺倒という状態ではなくなったようだ。

「何で……」

「え?」

「何で、何で言わないのよ! 皆の事を心配してるからだって! 何で言わなかったのよ! 口で言わなきゃ伝わらないでしょ!」

訂正、どうやら怒りの矛先が少し変わっただけのようだ。この説明で納得してくれると思っていたのか、映像を映した本人、シャリオと黙して座っていたシグナムは眼を見開いている。

「明日菜、落ち着け」

「健二! アンタも何か言ってやりなさいよ!」

明日菜の周りには何かと伝えないで行動するものが多い。ネギや刹那、そして俺。前者二人はともかく俺は皆で黙って行動した結果、一度死んでいる。アレからと言うもの、明日菜は黙っている事で起きる悲劇というものに人一倍反応してしまうのだ。もっぱら俺の責任であるため、放っておくなんて出来ようはずもない。

「管理局や皆のことを良く知らない個人的な意見でいいなら、話すとしよう」

「構わん」

シグナムの了承を得、俺は原作を見た頃から思っていた事を口にする。

「まず、ティアナとスバルにだが……お前達は自覚と言うものが足りないんじゃないか?」

「……自覚?」

「そうだ。管理局は治安維持組織なんだろう? そして、お前達はそこで給料をもらって働く武装局員だ。なら、お前達が最も優先すべきは一般市民の安全じゃないのか? だと言うのに、お前達はろくに休みもせずに疲労をため込むばかり。自主練が悪いとは言わん、だがお前達が果たさなければいけない責務を良く考えろ。少なくとも、生活に支障がでるほどに訓練することではないはずだ」

最も、まだ学生の俺が言った所で説得力はないかもしれんがな。と、付け足しておいたがそれでも感じる所はあった様だ。それにしても、慣れないな……全て私的な意見だし、先も言ったようにただの学生でしかない俺の言葉だ。あまり重みのあるものだとは思えない。だが、この先にもう一つ大きな山があるのだ。弱音は吐いてはいられない。俺は一度大きく息をつき、気を引き締めた。





「続いて高町さんについてだが……今回の件は彼女の責任も大きいと私は思っている」

たったこれだけの言葉でシグナムから向けられる視線が剣呑なものとなる。二次創作なんかでも言われるが、本当に隊長陣は仲良し子好しだな。

「まず一つ目は、ティアナ達の疲労を察知してやれなかったことだ。今日ヴィータさんが言っていたが、ティアナの魔法にはキレがなかった。疲労からくるものだろうが、それも今日になって突然現れたというわけではあるまい。毎日教導をしているのなら、それに気付いてやるべきだった。
二つ目は今まさにここで起きたことだ。教導の意味? そんなものは本人が伝えてしかるべきものだ。意味の分からない教え程信用できないものはないからな」

此処まで言えば、俺が言いたいことは分かったのだろう。シグナムからは殺気すら漏れている。

「簡潔に言えば、高町さんは教えるものとして未熟……やり方が悪かったのではないかと言うことだ。これが、俺の考えだ。ついでだが、今回シャリオさんが取った行動は失敗した高町さんを庇っている様にしか見えない」

「貴様ッ!!」

「わっ!? シグナムさんダメー!!」

今にも飛びかからんとするシグナムをシャリオが必死に止める。フォワード陣は皆茫然としているな。不屈のエース・オブ・エースを批判するとは思っていなかった、と言わんばかりだ。そう言えば、原作でも自分達はいけなかったのか、と言う反論をしていてなのは自体に反論をしていたわけではなかったような? まぁどうでもいいことか。

「考えて行動しろ。貴女のその行動、今の話をした後では図星をつかれて激昂してるととれるぞ」

「ッ!?」

飛びかかってくるような姿勢は無くなったが、殺気は消えない。まぁ、彼女は友人を侮辱したと思っての行動だったのだろうから当然か。……ついでだ、ちょっとこの状況を利用しようか。

「俺の考えは以上です。あくまでこれは俺の私的なものであるとお忘れなきように。それとシグナムさん、明日俺と模擬戦をしませんか?」

「何?」

怪訝そうな顔をしているな。まぁ、当然か。こんな険悪なムードだと言うのになんでも無かったかの様に模擬戦を申し込むのだから。

「深い意味はありません。最近明日菜としか剣を交えていないので、たまにはということですよ」

「……いいだろう」

少しの間考えたようだが、了承してくれた。今日悪印象を与えたことで明日は手加減無しで来てくれるだろう。非殺傷なんてものもあるしな。久々に容赦無い相手と戦える。明日が楽しみだ。





パートC ”もらった力がFateじゃなくてムシウタだったら”


「で、お前はどんな力が欲しい?」

「…………」

何故、こんな状況になっているのか……それは分からない。だが、コイツは力とやらをくれるらしい。それで、俺の夢をかなえろと言った。

「……力があれば、俺の夢がかなうとでも言うのか?」

「さぁ? でもあって困るものでもないだろ?」

「漫画なんかでは力は力を引き寄せる、なんて言うけどな」

正直、あまり興味がない。学校の奴らはこんな状況になったら喜んで色々なアニメやらゲームやらの能力を言うのかもしれないが、俺には無意味だ。何の魅力も感じられない。

「興味無いって顔してるな。だが、俺は知っているぞ。お前がただ一つ、興味を持っている力をな」

お前の事なんてお見通し……と言われている様で何だか気に食わないが、もう一度よく思い出してみる。俺が、興味を……

――俺の夢は……
――私の夢は……

「なるほど、コレか」

「見つけたな、では力をやろう」

俺の体を光が包み込む。そして、それと同時に俺の中で何かが失われていくのを感じた。

「コレが……」

「そうだ、お前が得た力だ」

右肩に乗るのは長い触角が特徴の緑色のかっこう虫、左肩に乗るのは雪の様な真白い蛍。そう、これはムシウタと言う小説の主人公とヒロインの虫だ。その小説において、虫とは簡単に説明すれば寄生者の夢を食う代わりに強大な力を寄生者に与える存在だ。

「確認したな、他にもいくつかおまけをつけといてやる。それじゃ行って来い」

思わず目を瞑ってしまう程の光に包まれ、俺の意識はそこで途切れた。

右に従えるは緑に輝く破壊のかっこう虫(けしん)。傷つけ、傷つけられ、一人になりながらも前へと進む悪魔(しょうねん)の虫。

左に従えるは白く佇む崩壊の蛍(ごんげ)。一度は夢を失いながらも、再び立ち上がり前へと進み始めた強者(しょうじょ)の虫。

二匹の虫を従えて、宮内健二の”制限時間”付きの夢をかなえる(けわしい)旅が、始まった。





「まずい!!」

目の前にそびえる鬼神、その口に強大な力が収束していく。既に満身創痍のネギ先生に、アレを防ぐ力があるとは思えない。かと言って、自分も防げはしないし迎撃も不可能だろう。お嬢様をようやく救いだせたと言うのに!

「お嬢様を助けたからっていい気になるんやない! 短時間ぐらいなら、ウチの力でも制御できるわ!!」

「エヴァちゃんはまだなの!?」

明日菜さんが何か言っているが、そんなことは耳に入らない。今、自分にあるのは眼を反らしたくなるような絶望だけ。

「あ、ぐうぅ……明日菜、さん。刹那、さん……にげ、て」

「そんなこと出来るわけないでしょ!!」

そして、絶望が放たれた。

「チッ、人が寝てる所でドンパチしやがって……」

迫りくる絶望を、希望の炎が迎え撃った。

「「なっ!?」」

「げっ!」

私とネギ先生が声を上げたのは突如として現れ、スクナの一撃をいとも簡単に迎撃して見せたことに対して。明日菜さんが声を上げたのは、多分目の前の人物の容姿からだろう。所々に太いベルトが付けられた漆黒のロングコートに顔の半分を覆い隠す機械的なゴーグル、手に持つ自動拳銃。そしてなにより、皮下で明滅する深緑の輝き。

「まぁいい。原因はあれだな?」

銃口がスクナへと向けられる。最初は拳銃程度に何ができるのか……そう思った。しかし、その考えはすぐに改めねばならなかった。拳銃に皮下の輝きと同じ緑の触手が絡みつき、浸透していく。すると、拳銃の銃口は、化け物の顎へと早変わりしていた。化け物の口の中でに、力が収束していく。魔力とも気とも違うそれだが、スクナにダメージを与えられるだろうことぐらいは分かる。

「いけ、かっこう」

それが銃、そして少年と同化している化け物の名前なのか……それに呼応するように炎の弾丸を吐き出した。

「何やてぇ!?」

放たれた弾丸はスクナの右側の腕二本を吹き飛ばした。

「乱入者のおかげでどうにか無事だったようだな、ぼーや」

「エヴァンジェリンさん!?」

何時の間にか、横にエヴァンジェリンさんが立っていた。先ほど明日菜さんが言っていたのはこのことかもしれない。

「……誰だお前」

「闇の福音……と言えば分かるか?」

「知っているわけないだろう。だから聞いているんだ」

「ほう……私を知らんか。その力と言い、どうやら貴様は大層変わり者の様だ。事が終わった後残っていろ、少し興味がわいた」

「構わん、俺もいくつか聞きたいことがる」

「では、早々に終わらせるか」

エヴァンジェリンさんの力は圧倒的で、スクナは直ぐに倒された。お嬢様の力によりネギ先生も助かり、何とか事件は無事解決した。だが、私は突如現れた彼の事がさいごまで心に残っていた。 
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