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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました

作者:風林火山
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優勝者も死神も三人

「A組優勝者、その技と分析力はピカイチ!若菜麗~!」
『ウォォォオオおおおおおおおお!」
「B組優勝者、力と威力で全てを打ち砕く!金剛無双、堀江信之助~!」
『ウオおおおおおおおおおお!』
「C組優勝者、打倒麗に執念を燃やす!連続攻撃で勝利なるか?金希~!」
『ウォッォオオォオオおおおお!』
「以上三名でこれから決勝戦を行いま~す!」
「みなさん、がんばってくださ~い!」
『ウオォオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
「いや、別にお前らはがんばらないだろッツ!」
ついにSP・コロッセオも決勝戦。宏助の司会も熱が入ってきた。相変らず明はテンションが同じだが・・・。
「では、出場者は闘技場に上がってください!」
まず、最初に闘技場に上がるのは、ニコニコしている麗さん。緊張とかそういう様子が全く伺えない。
次に闘技場に上がるのは、堀江信之助。がっちりとした筋肉質の身体で圧迫感が半端ない。バスで絶対に隣に座りたくない奴だ。
最後に闘技場に上がるのは、金希。麗をずっと睨んでいる。なんというかコワイ・・・・・。
「では、試合開始っツ~!」
ー試合開始直後、闘技場
「せいやぁ!せいせいせいせいせいせいせいせい!」
まずは金が二本の棒による連続攻撃を麗に繰り出す。それを麗は高速でさばきながら、
「ほうぃ!」
太く、長い一本の棒で二人まとめて消しにかかってきた信之助の攻撃をギリギリまで引き付けて交わす、
「らぁ!」
「ぐわっツ!」
勿論引き際に金に一発喰らわすのを忘れない。当然今の攻撃などでは敗北申告は出ない・・・・が、
「おらぁ!」
「うわっつ・・・!」
信之助の攻撃が遅れて、金の腹に向かう。金も金で、麗の攻撃を喰らっていたにもかかわらず臨機応変にそれをかわして、
「とりゃあ!とりゃとりゃとりゃとりゃとりゃとりゃ!」
「・・・おっと!せいやぁ!」
逆に信之助の懐に入って連続攻撃を当てる。信之助も当然負けじと攻撃に近いガードで護る。
その隙に・・・・
「二人とも・・・・接近戦だけが戦いじゃありませんよ・・・・・。」
麗は一本の棒を懐に仕舞い、拳銃を取り出す。そして・・・・
「らっらっらっらっらっらっらっらっあああああ!」
全弾発射。流石の金と信之助にも焦りの表情が浮かび・・・・・・
「若菜麗による堀江信之助、金希の敗北申告!よって優勝者若菜麗!」
「は、はや~い!試合開始から五分も経たずに二人を片付けてしまった~!]
「さすが麗さんですね・・・・・、すごいです!」
そんなアナウンスが鳴り響く。麗は安堵の表情を浮かべる。
「くっそっツ~!去年も同じような結果だったわよね!?どうなってんのアイツの強さ?」
「俺は去年、予選でぶち当たって瞬殺だった・・・・・。」
二人も悔しそうなながらも少し、満足気でもある。自分の全てを出し切れたのだろうか?
そうやってハッピーエンドでSP・コロッセオは幕を閉じるはずだった。
しかし・・・・・・・
「麗さん危ないっツ!」
宏助が突如、闘技場に乱入。思い思いの表情を浮かべる三人を突き飛ばし、前方を睨む。
宏助の視線の先には・・・・・・
「ふぅ~。なかなかの気配察知だな・・・・。」
「ちっ、こいつ相変らずムカつくぜ。」
「なるほど・・・コイツが・・・・。」
現れた三人の男は、一人は宏助と明に見覚えが有った。もう一人の男は見覚えが無かった。
そして、三人目の男は、この場にいる人間で、宏助以外の人間全てが見覚えがある・・・・・・
・・・・見覚えが有りすぎる男だ。
「・・・・な、なんで貴方が此処にいるんですっツ!貴方は・・・・死んだはずでしょう!」
麗が声を裏返らせ、震わせながらやっとのことで声を絞り出す。
他のSPはみな、一様に目の前の光景が信じられないといったような顔をしている。
「ああ、死んだよ。」
「・・・・っツ!じゃあ何故!」
そう答えたのは、一人目の男、宏助と明に見覚えのある男・・・つまり宏助が一度壁に縫い付けた有馬、と名乗っていた男ではない。
有馬は、少しチャラついた髪形に、日焼けした黒い肌。悪趣味なピアスや、首飾り、時計などの装飾品をつけていて、半袖ハーフパンツの紺ジャージ、少しロン毛気味に巻いている黒髪。日常にいたら近頃の若者の立体模写だ。
唯一人間じゃないと強調しているのは、太く長い、ドス黒い色をした槍と、これまた真っ黒のマント。
そして、最後に、前までは無かった、黒い肩当。
更に、二人目の男・・・全く見覚えの無いこの男も違う。
有馬よりもかなり長く、最早明くらいまで赤い髪を伸ばしたその男は、もの凄く女性っぽかった。
端正のとれた白い顔。有馬とは対照的な長袖のパーカーにジーンズ。そして、黒いマント。
女性っぽくないのは、筋肉質なその身体。更には、肩に背負ったその刃があまりに大きく、ギラギラしていて、柄もあまりに太い、とてつもなく不気味な一本の斧。
最後に、これが一番死神らしいとも言える、麗の問いに答えた三人目の男。
スーツをバッチリ着こなし、赤いネクタイをつけ、眼鏡をかける。金色の指輪を、両方の中指につけ、様々な方向に逆立った、茶髪。そして、周りの動揺を物ともしない、無表情。この男だけはマントをしていない。
その男が更に呪われた言葉を紡ぐ。
「正確には・・・成仏した・・・だっけな。お前と別れた後、俺は選別された。普通なら成仏し、どこか分からぬ遠いところへ行く予定だったのだがな。」
「貴方が・・・選別された・・・?貴方は・・・・成仏したんですよね?貴方は何故・・・死神と・・・。」
「俺が、死神だからさ、麗。」
「な・・・・・・・!」
周囲に、宏助に、明に、そして麗に、どよめきが走る。
SPはそもそも、霊感を持った人間達だ。そうでないと、明のSPなど出来ない。
程度の差は有るにしろ、明の周りの人間の霊感を高める能力と、霊関係の知識によって、SP達は、死神のことも知っている。
どうやら死神は、現在、前有馬の時に見た、外界に影響を及ぼせるモードになっているらしい。
でなければ、明ほどの霊感を持たない、SPや、ましてや、飛び入りで入った霊感未所持の麗が、死神の声を聞くことなど出来ない。
しかし、正直今は、そんなことはどうでも良かった。
麗の話している会話と周りのどよめきようが、宏助には理解出来ない。
一体コイツは誰だと言うのだ・・・そんな疑問を抱いていた宏助に、
麗による答えがもたらされる。
「・・・・・なんでここにいるんですっツ!真!」
「・・・・・・え?」
宏助は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
この人が・・・あの若菜真・・・?麗の元恋人だったという・・・。しかし、あの人は話では既に成仏したはずじゃ?
様々な疑問が結局倍増した宏助に、全くそんな様子を気にしない、真が話しを続ける。
「なんでここにいるかといわれると・・・・・、」
「・・・・・・神条明と、伊島宏助の・・・・・」
「抹殺のためだ。」
三人の死神が口々にしゃべる。それを宏助達は呆然と聞くしかなかった。
「明様の・・・・宏助君の・・・・抹殺・・・?一体なんで貴方が・・・?」
麗もまた呆然としているが、そこに冷酷な真実がのしかかる。
「俺が死神だからさ、麗。」
「・・・・・!!!」
「驚いたか?無理も無い。しかし、俺は死神だ。今では、単独部隊の幹部。その長だ。」
「実力派揃いの単独部隊の、幹部。その長の《聖拳》真がわざわざ来たのは、伊島宏助、お前を潰すためだ。」
「・・・・・同じく幹部の・・・・・《疾走》有馬であるお前が・・・言うことか・・・?」
「しゃべるのおせぇよ。お前も幹部だろうが。《炎斧》秦賢・・・。」
そんな死神が勝手に会話中の中、やっとしたに降りてきた明がしゃべる。
「・・・・真・・・・あなたの目的は・・・?」
「さっきも言ったろう。貴方・・・そして伊島宏助の抹殺。」
「何故・・・?」
「理由への質問の返答は許可されていない。」
「何故貴方が死神になったと聞いているんです!」
明が珍しく語調を強める。すると真は。
「その理由も答えない。ただ貴方と伊島宏助、そしてそれを邪魔するものを抹殺する。」
虚ろな目でそう言う。
宏助は驚きで、動けない。 
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