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MS Operative Theory

作者:ユリス
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フルアーマー・オペレーション①

——防御力の向上だけにとどまらない「フルアーマー化」の実態——

 出現時点では十分に強固な装甲や防弾性能を持っていた兵器でも、より強力な火砲や砲弾の登場によってその防御力を発揮できなくなる場合がある。こうしたケースは兵器だけでなく、日進月歩する技術の世界では当然のこととされる。

防御力の低下だけでなく、乗員の安全に直結するため、軍や開発陣も敏感にならざるを得ない。これに対する抜本的な解決策は、より高い総合防御力を持つ新型機の投入であるが、政治的・経済的問題、あるいは時間的節約などにより、新型機の配備は間に合わないことが多い。

この場合は既存機の改修で対応しなければならないが、安易な改修は機体のバランスの悪化を招くばかりか、長期的に見れば新型機を開発するよりもコストがかかる場合がある。このため、宇宙世紀の正規軍においては改修だけでなく、新型機の開発が優先される傾向にある。

しかし、代替えが効かない試作機や実験機、新型機の補充が困難なゲリラ系組織などでは機体改修と同時に、増加装甲システムが開発されることもある。これが「フルアーマー・オペレーション(FAO)」に代表される複合型装甲システムである。

 FAOはMS用の鎧と言えるもので(必ずしも前進ではなく、コックピットなどのバイタルエリアだけに装備される場合もある)、旧世紀末期のロシアや、東欧諸国、イスラエルなどの戦車に装備された、外付け式の増加装甲を発展させた装備と考えられる。

FAOと旧世紀の戦車用増加装甲との決定的違いは、装甲だけでなく推進器や武装も内蔵した、複合システムとなっていることである。FAOを装備した場合、重量の増加による運動性の低下と言うデメリットはあるが、攻撃力と防御力の向上は著しく、このシステムは第1次ネオ・ジオン戦争に最盛期を迎えた。

MSの防御力向上用装備としてはシールドが一般的であるが、シールドは片手に大質量機器を装備するために、左右のバランスが悪化しAMBACシステムを制御するコンピュータへの負担が大きくなるほか、大気圏内では空気抵抗などの問題点も指摘されていた。

これに対してFAOは機体の中心線に重量が集中するため、機体バランスや姿勢制御能力に秀でるという福次効果も期待できる。コスト面ではシールドに軍配が上がるが、上述のようにFAOが少数の試作機や実験機のみに装備された試験的なシステムであったため、コストは問題視されなかった。

 一年戦争期のRX-78(ガンダム)系MSに端を発するFAOは、ガンダム系MSを中心に引き継がれた。更に、Gアーマーに代表されるサポートマシンとしても実現し、「選ばれし者の装備」として認知されるに至っている。





補足事項

——FAOの例:MSN-010(ZZガンダム) ——


■腕部、肩部装甲

 スラスターの内蔵により強度が低下した腕部や、腕部の駆動性を司る肩部を保護する。肩はフローティング・アーマーとなっているため、動作が阻害されない。また、多数のミサイルも装備している。


■胸部、腰部装甲

 バイタルエリアである胸部とコックピット、構造上の弱点である腹部を守るほか、合計20発のミサイルとハイ・メガ・キャノンを1基を装備する。


■脚部装甲

 変形機構を有するため、可動部分が多くなった脛を保護する曲部装甲。脚部スラスターを活用するため、前部にのみ装甲を装備する。側面には増加スラスターが搭載されている。

 
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