パンデミック
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第二十八話「第三勢力と報告」
ーーー【旧ロシア・レッドゾーン指定外区域 とある街】
この世界には、安全地帯と危険地帯の二種類しかなくなってしまった。
しかし、危険地帯と言っても、全域に感染者がうろついているわけではない。
レッドゾーンに指定された区域は、真っ先に防壁で封鎖される。
そして、防壁の近くの街では、一斉に住民達の避難が始まる。
要するに、危険地帯は"レッドゾーン"か、人間が住んでいない場所か、に分かれている。
その"人間の住んでいない場所"の、とある街。
既に人の管理を受けられなくなった街は、ゴーストタウンと化していた。
感染者の襲撃を受けたわけではないため、建物などの損壊はない。
しかし、雑草が無尽蔵に生え、電気が通らず薄暗い街中は、人の気配をまるで感じられない。
そんな街の廃れたバーで、酒を飲む男が一人。
「……………………」
酒を飲む男は、しきりに時計を気にしていた。
「遅いな…………アイツら………」
すると、廃れたバーの沈黙を破るように、扉が開かれた。
「あぁ、やっと来たか、スコーピオ、レオ」
「……………………あぁ」
「あ~あ~、また飲んでるよ、おっさん」
「………………酒は止めろ、サジタリウス」
「フンッ…………酒は俺にとって薬に等しいね、手放すなんて…………」
「仕事に支障がなければ、好きなだけ飲め」
「おいおい、スコーピオ、おっさんに酒止めさせろよ」
「別にいい。"我々"は禁酒を推してはいない」
「今酒は止めろッつったじゃん!」
「"酒は薬"と言ってる奴に酒を止めさせることができると思うか?」
「あ~…………無理だな」
「ところで………スコーピオ、マンティコアは?」
「………殺られた。だがおかげで、良い実戦データが取れた」
「……………そうかい」
「……おかげで、次の生物兵器のアイデアが出てきた」
「次の戦いは近いってわけか………」
ーーー「レッド・イーグル作戦」から3日後………
作戦は成功した。
感染者及び突然変異種の全滅により、エリア48のレッドゾーン指定は解除された。
今現在、防壁の解体作業が進められている。
作戦に参加した兵士546名の内、105名が亡くなった。
生き残った兵士の数は441名。
覚醒兵部隊8名の内、6名が亡くなった。
生き残った2名は、腕部パーツと脚部パーツの点検作業。
そして、今回の作業での功績が認められ、覚醒兵は正式に実用化が決定した。
一部の反対意見が上がったが………
この作戦中に、3体の突然変異種を捕獲。
近々、アリア・ロクスウェル博士の元で生体実験が行われる予定だ。
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