この世界はヒーローが大勢いる!
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Roma was not built in a day(ローマは一日にしてならず)
ハッハッハッ……!
この世界に転生してから三年後。俺は今、三年前から日課となっているジョギングをしていた。
何故俺が一人でジョギングをしているのかというと、それは自分の「夢」を叶えるためだった。転生した直後は自分の身に起きた出来事を受け入れられなかったが、しばらくして自分がこの世界で生きることを受け入れると、ここでやりたいことが出来たのだ。
この世界は「ワンパンマン」と「TIGER&BUNNY」の設定が混ぜあってできたヒーローが存在する世界。
そう、ヒーローだ。
子供の頃、真剣にヒーローに憧れていた俺は、昔に懐いていた「ヒーローになる」という夢を今再び追いかけていた。
ここではネクスト能力者のヒーローもいれば、ネクストでなくても努力のみでヒーローになった者もいる。
「ワンパンマン」でも「TIGER&BUNNY」でもプロのヒーローとして活動するのは並大抵の苦労ではないのは知っているが、それでも前世のようにただの会社員でいるよりはずっと充実した人生を送れると、自分の中で確信したのだ。だから俺は将来ヒーローになるために体を鍛えるにトレーニングをしている。
ヒーローの基本は体力だ。ネクスト能力は将来現れるかどうか分からないが、体力は今から鍛えていれば将来必ず現れる。
ワンパンマンの主人公サイタマが三年間やっていたトレーニングメニュー(腕立て伏せ百回、上体起こし百回、スクワット百回、ジョギング十キロ)も最近何とか出来るようになった。今からこのメニューを続けていれば十年もしたら結果が出てくるだろう。
……ヒーローに、俺はなる!
俺は走りながら叫ぶと、更に走るスピードを早めた。
だからだろうか。この時俺は、俺を見つめる二人の男の存在に気がつかなかった。
“T”side
「今帰ったぞ」
「お帰りなさい。……あら? 随分と嬉しそうな顔をしているけど、何か良いことでもあったの?」
「いやな、ちょっと用事で隣町まで行ったら、十歳にもなっていない子供が走っているのを見かけたんだが……。その子供、『ヒーローに、俺はなる!』とか言っててさ、それが少し嬉しくてな……」
「あらあら。それじゃあ、将来のあなたの後輩ってこと?」
「それはまだ分かんないけど……。でも俺ももうすぐヒーローとしてデビューするからな。あの子供に恥ずかしくないような立派なヒーローになってみせるさ」
「ええ、頑張ってね。……ワイルドタイガー」
「おう!」
“S”side
「ヒーローになる、か……」
俺はさっきまでそこでジョギングをしていた子供の言葉を呟いた。
あの子供のように俺も昔はヒーローに憧れていた。悪党を一撃でぶっ飛ばすヒーローになりたかった。
でも今はどうなんだろうか?
俺は弱い。二年くらい前だったか? 中学校に入学したばかりの頃だって不良の先輩に負けたし、怪人に二百円取られたし、おまけに先生には怒られるし……。
俺は負けてばかりだ……。こんなに弱くてまともに生きていけるのか? 俺?
ヒーローになると言っていたあの子供はきっと強いのだろう。どうやったら俺もあんな風に強くなれるのだろう?
……とりあえずジョギングでもやってみるか?
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