MS Operative Theory
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サブ・フライト・システム(SFS)①
——MSの機動性を向上させたサポート用航空機——
地球上で活動するMSは、宇宙空間と比較して極端に機動性が低下する。重力下という環境や空気圧抵抗などの負荷が原因であるが、重力下で最大の機動性を発揮する「飛行」という移動方法に、MSの機構や形状が適していないこともその理由と考えられる。
推力対重量の比率で推力の方が勝る第五世代MSであれば、ミノフスキー・クラフトやミノフスキー・フライトに頼らずにスラスターのみで飛行できるが、スラスター推力が低い初期のMSは推進剤の量が限られることもあって、地上における主な移動手段を「歩行」に限られざるを得なかった。
一年戦争時におけるザク・シリーズの歩行速度は時速70~80km程度が限界で、これが部隊の展開速度をのうえんさせる大きな理由であったことは間違いない。
後にホバー走行が一般化し、地上でも時速100km以上の巡航速度を獲得したが、MS自体の推進剤を使用することと、地上部隊がホバー走行を行うMSに随伴できないため、戦闘速度はともかく長距離の移動速度や展開速度が大きく伸びることはなかった。
そこでジオン公国軍は、MSの機動性と行動半径の拡大を目的として、MS搭載用航空機の開発をスタートした。
このMS搭載用航空機は、要撃爆撃機として開発されていたド・ダイYSがベースとされた。大推力の熱核ジェット・エンジンを搭載する本機はMS搭載用航空機に適していると考えられ、構造の変化やMS用ステップなどの増設が行われ、ド・ダイYSはMS搭載用航空機として完成した。このド・ダイYSこそが後にサブ・フライト・システム(以下SFS)と呼ばれるMS用航空・航宙機の始祖である。
ド・ダイYSの出現によってMSの行動範囲は飛躍的に拡大したが、ド・ダイYS自体は元が要撃爆撃機として設計されていたため、運動性が低く、戦闘任務に適していなかった。更に全備重量70tを超すMSを搭載することで運動性でなく、航続距離も低下するという問題が生じた。また、1機のMSしか搭載できない点や、ド・ダイYS側にもパイロット、コ・パイロットが必要な点も問題とされた。
このため、同時期に開発されていたMS-09(ドム)のホバー走行システムの方がコスト面で優れると判断され、一部地域以外では使用されることはなかった。
これは一年戦争時の技術限界によるところが大きかったと考えられる。しかし、戦後、連邦軍はド・ダイYSの発想に着目し、より強力なSFSの開発を行った。
その結果、熱核ジェット・エンジンの小型化、高出力化などの技術革新がなされ、ド・ダイ改やベース・ジャバーなどが生み出された。この2機種は、2機のMSを搭載可能なほか、SFS側のパイロットを不要とした革新的なマシンであった。
その後、航続距離の拡大に重点を絞った宇宙用SFSも開発されるに至り、SFSはさらなる普及と進化を続けることとなった。
補足事項
——SFSと航空機、TMSとの性能比較——
MSⅡ飛行能力を付与するとともに、戦闘行動半径を拡大させるという点で、SFSと可変機はよく比較される。しかし、実際の性能や仕様には大きな違いがある。
それが最も顕著に表れている点が空中戦能力で、航続距離を除く大半の空戦能力において可変機がSFSを大きく上回っているほか、カタログスペックも優秀な場合が多い。SFSとTMSに対し、航空機はコストの面で優れるのみで、他の性能は低いレベルにとどまっていることが分かる。
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