パンデミック
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第二十話「第三者の乱入」
ーーー作戦開始から2時間
ーーー【"エリア48" 噴水広場 作戦本部】
作戦が開始されてから既に2時間が経過し、次々と無線機に報告が届く。
死亡報告、不確定要素との遭遇報告、突然変異種の捕獲報告など………
タガートは、突然変異種の足を掴んで引き摺ってきた。
「帰還しました、ヴェールマン司令」
この言葉を合図に、気絶した突然変異種の足を乱暴に手放した。
「おい、あれ………」
「マジかよ…タガートさん、あの筋肉ゴリラを一人で……」
「さすがベテラン……」
周りにいた兵士達から、称賛の声が上がった。
ヴェールマンはタガートの帰還に、特に驚きもせずに迎えた。
「あぁ、戻ったかタガート」
「俺が持ってきたコイツを合わせれば、突然変異種は計4体捕獲されたことになります」
クラウソラスのメンバーが2体、ベテランの兵士が1体、タガートが1体。
合計で4体の突然変異種が捕獲された。
科学班は捕獲した突然変異種から、血液のサンプル採取を始めている。
ふと、タガートは辺りを見回した。
ソレンスは?オルテガは?ユニは?フィンは?
アイツ等はまだここに来ていないのか?
「………無事であれば良いが……」
ーーー【"エリア48" 時計台通り】
レックスは、切り落としたマンティコアの右腕を蹴り飛ばし、頭を掻く。
鞘に収まった日本刀を片手に、欠伸している。
「くあ~………ダルいなぁ、ホントに」
オルテガは、ただ呆然と突っ立っていた。
あんなに苦戦を強いられた化け物を、一瞬で殺した人間。
ただのベテランにも見えない。コイツは一体……
「あんた、何者だ?よくあんな化け物を一瞬で……」
「ん?あぁ~そうだったね、自己紹介してなかったね」
「俺はレックス。"クラウソラス"のメンバーの一人だよ」
あぁ、殲滅特化部隊か。それなら、あの強さも不思議ではない。
「"クラウソラス"って、殲滅特化部隊の?」
「そう、それ」
レックスは、ポリポリと頭を掻きながら答えた。
「おいおい、派手にやってくれたなぁ」
どこからか、声が聞こえてきた。
裏路地から誰かが来た。その誰かを見たレックスは、日本刀を持つ力を強めた。
明らかに警戒している。
「あんたは誰だよ?兵士ってわけではないよね?」
あくまでも口調はいつも通りだが、警戒を緩めてはいない。
質問された人物は、軽い調子で答える。
「あぁ~……俺様は、コードネーム"レオ"。決まった名前はないから、呼び方はそれで」
レオ、と名乗った人物は、マンティコアの切断された頭を捏ね回していた。
「へえーやるなぁ。コイツそれなりに強いと思ったんだけどなぁ~」
「? あんた、その化け物の知り合いか何か?」
レックスの質問に、レオは答えない。
レオはそのままマンティコアの頭を持ってぶつぶつ何かを呟いている。
「まぁいいや。コイツはこっちで回収しとくから………」
「あんた等は、ここで肉片にでもなっててくれ」
直後、レオはレックスの真正面に1秒もしないうちに到達した。
レックスが居合いの構えをとり、レオを斬ろうとする。
しかし遅かった。
レックスはレオの掌底をまともに食らい、派手に吹っ飛んだ。
「ごあ………ぐふ!!」
壁にぶつかり、口から多量の血を吐き出した。
オルテガも武器を構え、レオに斬りかかろうとする。
オルテガが降り下ろしたナイフは、素手で受け止められた。
「う~ん、いい線いってるけど俺様を殺すには、まだ足りない」
そう言うと、レオはナイフごとオルテガを片手でぶん投げた。
オルテガが宙を舞い、背中からドサッと落下した。
背中への衝撃から、立ち上がることができない。
「ガハッ、ゴホッ、ゲホッ!!」
痛みで肺から酸素が絞り出された。
ソレンス、ユニ、フィン、タガートのおっさん……
今度こそ俺、死ぬかもしれない………
オルテガは、兵士として死を覚悟した。
後書き
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