八条学園怪異譚
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第四十三話 白蛇その一
第四十三話 白蛇
愛実と聖花は今は動物園の中の犬猫コーナーにいた、そこで今は普通の猫達の中に混ざっている猫又と話をしていた。
猫又は自分の前の箱にあるキャットフードを食べながらそのうえで二人の問いに答えていた。
「うわばみさんの普段はそうなんだよ」
「白蛇なのね」
「それになってるのね」
「そうだよ、流石に十メートルの大蛇の姿でいるとな」
「目立って仕方ないからね」
「それこそ」
「そうだよ、十メートルっていったらな」
一口に言ってもだというのだ。
「アナコンダでもそうはいないからな」
「アナコンダって二十メートル超えるのがいるって聞いたけれど」
聖花は猫又にこのことを話した。
「実際はどうなの?」
「おいらもアマゾンのことは知らないけれどな」
猫又は聖花の今の問いにはこう返した。
「アマゾンから来た連中が言うにはな」
「あっ、ナマケモノさんとかカイマンさんとかね」
「連中が言うにはいるらしいな」
その二十メートルを超えるアナコンダが、だというのだ。
「もう化物みたいらしいぜ」
「やっぱりいるのね」
「流石に滅多にいないらしいけれどな」
そこまで大きなアナコンダは、というのだ。
「それでもいるらしいな」
「そうなのね」
「アナコンダは半分水棲だろ?」
アマゾンの環境とその巨大さからそうなっている。アナコンダが陸上に全身をあげることはあまりないのだ。
「だからそれだけの大きさでもやっていけるんだよ」
「お水の中でも凄い大きさよね」
今度は愛実が眉を顰めさせて言った。
「殆ど怪物じゃない」
「だからアマゾンでも伝説になってるんだよ」
それこそ洒落にならないだけの多くの種類の生物がいる中でもだというのだ。
「あの中でもな」
「アマゾンでもなのね」
「アマゾンはな、おいらは行ったことがないけれどな」
アマゾンからこの動物園に聞いた生物達から聞いただけだというのだ、だがそれでも愛実に対してこう話す。
「緑の地獄っていってな」
「猛獣や毒蛇や毒虫が一杯いるのね」
「ああ、下手に入ったらな」
それだけでだというのだ。
「死ぬぜ」
「猛獣の餌?」
「川の中でもだよ」
アマゾン川、そこに入ればだというのだ。
「鰐にピラニアに大鯰にな」
「凄い世界ね、私もそれは聞いたけれど」
それでもだとだ、愛実も言う。
「そりゃ特撮ヒーローでもないと普通には生きていられないわね」
「ああ、リアルでそうした世界なんだよ」
「日本とは全然違うのね」
「あのウワバミの旦那よりもでかい蛇がいるかもしれないんだぜ」
またその巨大アナコンダの話になる。
「恐ろしいだろ」
「私達なんか即座に丸呑みよね」
「そうよね」
愛実も聖花も二十メートルを超えるアナコンダの口を想像して言った。
「それこそ」
「それも何人もね」
「あの旦那だって人間の一人や二人は丸呑みに出来るぜ」
猫又は右の前足を前に出しつつ二人に話した。
「けれどあの旦那は人とか獣は食わないからな」
「生きたままのは、よね」
「そうよね」
「ちゃんと料理したのを食うんだよ」
人間の様にだ、そうしているというのだ。
「鶏の唐揚げとか卵焼きとかさ、他は酒のつまみ全般が好きだな」
「けれど食べる量は多いわね」
「そうよね」
「身体が大きいからな」
本体である十メートルを超える大蛇の姿の話だ。
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