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パンデミック

作者:マチェテ
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第十八話「オルテガ vs マンティコア」

ーーー【"エリア48" 時計台通り】


マンティコアとオルテガの戦闘が始まった。
両者は共に、にらみ合いを続ける。どちらも相手の動きを探っている。
最初の動向が、戦いのカギになる。

「オオォ………」

最初に動き出したのは、マンティコアの方だった。
ゆったりとした動作で長い左腕を上に持ち上げた。その速度はあまりに遅い。

「お前、やる気があ…………」

バゴンッ!!

凄まじい衝撃音。粉々に粉砕された地面。
左腕が降り下ろされる直前に、オルテガの第六感が都合よく働いた。
咄嗟に後ろに飛び退いていなかったら、間違いなく潰れて死んでた。

「ハズレタァ……デモ………ツギハ、ナイ……」

仮面の奥の眼光が鋭くなり、口元がニタリと緩む。

この図体で、このスピード?もはや反則だろ。
相手は3m級の化け物。図体がデカイってだけで厄介なのに……
スピード以外に厄介なのが、リーチの長さ。

動き出すのを見てから動いたんじゃ、間に合わない。

マンティコアの動きに目を凝らす。次にどんな攻撃がくるのかを予測する。
すると、マンティコアの右肩が僅かに下がった。オルテガはこの"予備動作"を見逃さなかった。
来る……!
オルテガは咄嗟に、マンティコアの懐にスライディングで潜り込んだ。
オルテガの頭上を、ラリアットに近い右フックが通過した。

「あっぶねぇ!!」

しかし、危機はまだ去っていない。
マンティコアが振り向き、左腕を思い切り降り下ろしてきた。
オルテガは、スライディングの体勢から身体を捻り、ギリギリで回避した。

「うわっ、ととと……!」

体勢を崩しながらも、マンティコアから距離をとる。

「ヤベェな……避けれたはいいが、反撃のチャンスがねぇな……」

回避しているだけでは、いずれ体力が尽きて潰される。
しかし、攻撃に転じようとしても、逆に攻撃されて牽制される。
どうする……!どうすればいい……!?









ーーその時








「あら………よっと!!」



建物の屋上から、人が降ってきた。
同時に、マンティコアの左腕が肘から切り落とされた。
マンティコアは一瞬の出来事に呆然としている。

その人物の手には、日本刀が握られていた。
日本刀を持った兵士が、ゆっくりとオルテガの元に歩み寄ってきた。

「よーし、よく頑張ったな新兵。あとは任せろ」

「えっと……あんたは、一体……」


「オレはレックス。"クラウソラス"のメンバーの一人だ」



"クラウソラス"!?
一人で100人単位殺せるっていう、殲滅特化部隊の……

オルテガは心から歓喜した。そんな奴が来てくれたんなら百人力だ!
この化け物にだって、勝てる!
オルテガは武器を構え直した。ナイフを真っ直ぐマンティコアに向ける。

「任せろっつったのにな」

「……こいつには、沢山仲間を殺されてる。仇を討ちたい」

「まぁ…好きにしなよ。オレはオレで、こいつを刻む」


斬られた左腕など気にもせず、マンティコアは二人の兵士を睨む。
口と両目から蒸気を発し始めた。蒸気の隙間から赤い眼光が光る。

「ハラァ、ヘッタ……ギギギ……コロス……喰ッテヤル、ガガガギ………」


「おやおや?獲物を喰い逃してイライラしているみたいだな」

「ふざけやがって、化け物が……」













ーーー【"エリア48" 時計台内部】

「お~、スコーピオ、見てみろよ」

「……マンティコアが暴走状態に入ったか……」

「見てる分には面白ぇが……回収すんの俺らだろ?面倒くさッ」

「仕事しろ、クソ野郎………」









勝つのは、二人の人間か……異形の怪物か…… 
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