肯定された非現実
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第01話
前書き
新作でーす。
無謀にもISに手を出します!!
――何でこんなことになっているんだ……
IS学園第三アリーナの控え室で試合を前にし彼は独り内心愚痴る。これから一年間の行事をクラス内で取り仕切る1年1組のクラスの代表者を決める代表決定戦が彼を加える形で行われる。
控え室で独り愚痴っている彼も試合に出る一人、既に着替えおわりISスーツを身に纏い自分の試合が始まるのを待つだけだ。
彼、姫川鳴美(ひめかわ なるみ)はISを男でありながら扱える世界でたった二人の内の一人。
男だというのにひょんなことからISを動かしてしまい、本来は女性にしか反応せず扱うことができないので自然的に女子高と化したISを学ぶIS学園に政府により強制的に入学させられ、世の邪な欲望に満ちた男性たちから嫉妬にさらされることになった少年である。
◇
IS《インフィニット・ストラトス》
一人の〝天災〟によって世に生み出されたマルチフォーム・スーツ。宇宙空間での活動と安全を想定し開発されたそれは現存する現代兵器の全てを凌駕した性能と能力を備えていた。
しかし、学会で発表されたそれは世界の学者たちに何一つ評価されることなくまったく相手をされなかった、が。その後に起こった事件を切っ掛けとし手のひらを返したかのように変わる。
〝白騎士事件〟
天災がISを発表してから一ヶ月後に起きた世界を変えてしまう切っ掛けとなった事件。
日本を射程距離内とするミサイルの配備された世界全ての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射される。
その約半数を搭乗者不明のIS「白騎士」が迎撃した上、それを見て「白騎士」をミサイル撃墜の為に出動していた戦闘機や戦艦を世界各国は捕獲もしくは撃破しようと決定し「白騎士」に矛を向けさせるも、その軍事兵器の大半を無力化されてしまった事件。
この事件での死者は『皆無』だった。
この事件以降、ISはその驚異的な性能による戦闘能力に関心が高まることとなり、ISはマルチフォーム・スーツとしではなく開発者の天災の思考とは異なる形で、兵器として欠点を抱えながらも戦闘パワード・スーツといった兵器として世界に広まることになる。
兵器としての欠点。兵器として世界に広まりながらも男性には使えなく女性にしか使えない。兵器は大抵誰にも扱えなければ兵器としての定義に当てはまらない。ISはそんな矛盾を持ちながらも戦闘能力により世界最強の兵器として、他の兵器と兵士たちを過去の遺物かのよう蹴落とし重保され定着していった。
故に世界はIS操縦者となる女性を求め、自然と女性の待遇がよくなっていき、今までの男女のパワーバランスは崩れ女性に力が傾き社会的に女尊男卑が当たり前の時代になっていく。
ISが登場し女尊男卑の世になって10年。
時代が代わり安定した矢先に現れ世界に衝撃を与え今までの常識を覆したのが、男でありながらISを使える彼、姫川鳴美ともう一人の少年。
姫川がISを使えることが発覚する切っ掛けとなったのが、そのもう一人の少年なのであまり彼を良く思ってないのだが……まあいい。
織斑一夏(おりむら いちか)。それがもう一人の男性でISを使える少年の名で、彼が世界初のIS男性操縦者で姫川鳴美が二人目となる。
織斑一夏がISを反応させたことにより日本政府は「他にもISを使える男がいるのでは?」と考え、彼と年が近い男子中高生を中心にIS適性検査を実施。結果、検査に引っ掛かったのが中学を卒業し高校入学を待っていた姫川となる訳だ。なので興味の欠片もなかったISの学園に強制入学させらる切っ掛けとなった一夏を逆恨みに近い形で良く思ってない。
IS学園への強制入学が決まり残った春休みを利用し、今まではテレビのニュースでぐらいでしか知らなかったISの専門知識を無理矢理、頭に叩き込み入学初日から行われる授業に挑むも、甘くみてなかった訳でもないのだが見事に撃沈。
授業はISについて中学、早くて小学生から学んできた女子たちを基準とした物のため、ほぼ一夜漬けに近い姫川がついて行くには厳しかった。なお、一夏は何の予習もせずに授業に挑み姫川より酷い状態だった為クラスの担任であり実の姉に教育的指導を受けるはめに。
そんな中、姫川に更なる不幸が。授業中にクラス代表を決める流れとなり、自主推薦問わずの投票が始まったのだが当然ながら自主的に手を上げ立候補する者は居らず推薦となり姫川と一夏が主に男で珍しいからといった理由で推薦させられる結果になった。
が、そんな結果に不服な女子が一人。ブロンドのロングヘアーで巻髪と良いとこ育ちだと思われる上品な口調が特長的な女性、イギリスの代表候補生であるセシリア・オルコットが声を荒あげ待ったをかける。
代表候補生であり入試一位の自分が誰にも推薦されなかったことが不満で、珍しだけといっただけで男がクラス代表になることが反対らしく自ら立候補し、何故か一夏との口論となり決闘という流れになり姫川もそれに巻き込まれ、担任の鶴の一言によって一週間後にクラス代表決定戦をすることになった。
◇
そして、一週間がたちクラウ代表決定戦当日の今現在。先に行われている織斑一夏とセシリア・オルコットの試合が終わるのを控え室で待っている。
姫川の試合相手は勝った方になるのだが、どうもおかしい。織斑一夏の相手は男を見下す今の時代なら珍しくもらい女性でも代表候補生。国家によって決められたIS操縦者だ、弱いわけがない。姫川同様に素人である一夏との対戦だというのに一時間たっても誰も呼びにこない、素人相手にこうも長引くとはまったく予想していなかった。
1年1組の担任で元世界最強の織斑千冬(おりむら ちふゆ)が実の姉で、姉譲りの才能を持っていたとしても素人が代表候補生相手にこうも試合時間が長引くなんて……
ここで姫川に嫌な考えが頭に過る。
もし、織斑一夏がIS操縦者として才能豊な存在だとしたら。唯でさえ姉が元世界最強の〝ブリュンヒルデ〟で世界に対して影響力が強い。対して自分は普通に一般宅出の少年、後ろ楯などのような物が何一つ無い。
二人が学園を卒業したら高い確立で男で何故ISを扱えるかを調べる為の研究対称として各国政府に間違いなく狙われるだろう。しかし、このままの流れだと何一つ後ろ楯が無い姫川のみに被験体として注目の目が向けられてしまう。織斑一夏が碌に訓練もせずに代表候補生と良い試合を、もしくは倒してしまったっていうのなら尚更だ。
……まあ、姫川の不安を余所に試合が長引いている理由は、政府から織斑一夏に用意された専用機の搬入が試合開始直前まで遅れたのと、試合中ずっとオルコットの攻撃を避けていたため長引き、更に間抜けな敗けかたをしたため担任兼実姉から有難い説教を受けていたからなのだが、そんな事をしらない姫川はどんどんナーバスに。
ナーバスな彼の姿を数分後に姫川を呼びに来た副担任の山田真耶(やまだ まや)が見てかなり心配したのは余談である。
◇
そんなこんなでようやく姫川の試合だ、試合の相手は順当通りに代表候補生のセシリア・オルコット。織斑一夏は周囲の予想通りに、彼の身内の期待を裏切る形で間抜けに敗けた。
その敗け様を断片的に聞いた姫川は多少複雑な気分に。同じ男だというのに専用機を手にしたのは背景にある各思想が見えるのでまだ良い、が。しかし、パーソナライズ中で最適化されず第一形態に形態変化せずに20分近くもパーソナライズが終わるまで代表候補生からの攻撃を受けながらも避けきったというのは宜しくない。
しかも、彼のISには元世界最強の姉が現役時代に使用していた刀の名を受け付ぐブレードが初期武器が格納領域に収納されていたうえに、第一形態だというのに第二形態でないと発現しない稀少能力である単一仕様能力《ワンオフ・アビリティー》を姉が発現させた『零落白夜』をまったく同じ能力のまま発現させたそうではないか。
……うん。
このままだと結果を出さずに卒業をまたずといった形でIS委員会の息がかかった研究所に直行させられる可能性が大きく見える。織斑一夏の才能云々の前にかなり贔屓されてる。どう考えても期待とかを通り越しているでしょ、武器や第一形態発の単一仕様能力の発現とかが良い証拠じゃないか。
どうしても不条理な現実を前に気がどんどん沈んでいくなか、山田真耶の誘導に従いISに乗り込み装着する。
今回、姫川が使うISは学園にある二種類の訓練機のうちの一機。第2世代の量産機である『ラファール・リヴァイヴ』。
現在の量産機の中で世界的に使用されていてスペック的には第3世代機に張り合える性能を持ってはいるが、やはりそこは量産機。自分用に最適化したならまだしも、初心者が乗って熟練者である代表候補生に勝てる訳がない、勝てる要素は皆無と言ってしまってもいい。
――本当に、何でこんなことになったんだろうなぁ
また内心愚痴りながら溜め息を吐き遠い目をする姫川。そんな彼なのだがISを装着しているのはいいがどこかおかしい。
ショートだった髪が腰まで届くロングヘアーになり容姿が少しシャープに、少しだけ筋肉が付いている胸筋に豊なバストが実り多少割れた腹筋が細く括れた滑らかな胴に、括れた胴により際立つ形のいいヒップ。
「……へ?!」
「な!?」
姫川の変化に驚き変な声を出す一夏と声を荒上げた一夏のファースト幼馴染みでIS開発者の篠ノ之束の実妹である篠ノ之箒。
二人の目の前には普通より顔が整っていたISを纏う少年出はなくISを纏ったロングヘアーが似合うキリッとした目付きのモデルのような美女が。
まあ、要するに――
「ひ、姫川が、女にぃぃぃぃぃぃぃぃ?!!」
と、いう訳だ。
姫川鳴美は純粋な産まれながらの書類、遺伝子上もしっかりとした男だ。
しかし、彼はISを装着用すると何故か肉体、遺伝子的に女性になってしまう。しかも、176cmといった伸長のまま女性になるので伸長が高い胸が出て腰が括れて尻が出たスタイル抜群なモデルのような体型になってしまうのだ。街中を歩いたら間違いなく世の男性たちは必ず振り返っては二度見するであろう。
――マジでどうにかならないのかコレェ……
世の女性なら羨まい欲するような容姿と肉体であろうと姫川にとっては不要な産物。いくら一時的な物で元の男の身体に戻れるとしても勘弁してもらいたい。これも真っ先に研究対称にさせられてしまうだろう要因に含まれている。
「見るのは二度目でですけど、本当に不思議ですねー」
「まったくな。男でISを使えるだけでも異常だというのに肉体が変化してしまうとはな。非常識にも程がある」
形式上の入試試験で今の姫川が変化する様を一度見ている山田真耶と織斑千冬の教師二人はまるで他人事のように感想を述べる。確かに他人なのは事実なのだが仮にも担任、副担任と教え子の関係なのだから多少は感心を持ってもらいたい。
試合で使用する武装を格納領域に収納したのを確認し終わるといよいよ試合本番。
「よし。準備は整ったな、無理かもしれんがこれも経験だ。行ってこい」
「厳しいかもしれませんが頑張ってくださいね、姫川くん」
一名は怪しいが教師二人に激励されビットから風を切り裂きなから飛び立つ。飛び立つ先はセシリア・オルコットが準備を万全にし待ち構えているアリーナ中央。
この試合で己れのできしだいで評価が変わり価値が決まる。
後書き
そんな訳でいきなりクラス代表決定戦直前でした。
自己紹介からやると一話一話が短くなりそうだったのでぶっ飛ばしましたよ!?
そしてISを使うとTSしちゃう主人公。
転生や手術でTSしてずっと女のままっていうのは多いけど男に戻る作品は少ないだろってとこから思い付きました。
多分ですが一夏の鈍感や安直な所を指摘するのでアンチにになるんじゃないでしょうか?
ブログですが検索して探してもらうか私のページのホームページ覧からこれます。
まあ、掲載数はかなり少ないんですけどねww
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