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連邦の朝

作者:連邦士官
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第三十六話 謀略

 
前書き
書けなかったら、勢いがなくなりスランプに… 

 
急速な発展を続けるトリステインは、大きな歪みを産み出していた。

トリステインの強大な経済は、他国の製品よりも安く質の良いものを輸出して、資源な買い占めや移民政策により、ガリアとロマリア以外を経済植民地にしていた。

ロマリアでは、マザリーニの台頭が数少ない教皇派を圧迫し、教皇の弱体化を見て息を潜めていた数多くの派閥が、雪解け水のように動き出した。

後にこの事件を“ロマリアの春”と名付けられた。

ガリアは、大きな影響を受けなかったかと言うとそうでもなく、トリステイン以上に国力を持ち富を持つ国で在ったが、ブリティッシュ商会のガリアを商会が赤字が出ても良いから叩き潰す行為をトリステイン側の北東部から、緩やかに続けて市場乗っ取りをしていた。

勿論、静観している商会は少なかったが、反抗しようにも大規模な擂り潰しと価格下落戦争が行われていた。

これにより多くの商会や商人は、失業したが、ブリティッシュ商会は、彼らに今まで以上の高収益を保障しロマリアや各国の国力を削ぐために専売である塩を安値で違法に売り捌かせたり、行商人として情報網に使っていた。

彼等が皆、直ぐには了承しはしなかったのだが、利と信用を示すと協力する者が大半だった。
その内の一つの商会であるガリア北部連合商会を旗印として、ガリアの目をトリステインから誤魔化す為に、孤児院から、ワイアットが命名した商人のジャック・クール代表として表向きは、ガリアの独立商会とした。

そんなこんなで、ガリア市場の西海岸から北東部までの殆んどの商業圏を手中に納めていた。

一方で、ガリアはと言うとトリステインに隠れてトリステインに大量の密偵を放ち、中身は本当の事だが、ロマリアの悪い噂を広め同時にロマリアにも大量の密偵を放ちトリステインの悪い噂を流し、両者が近づかない様に画策していた。

また別にトリステインとロマリアと貿易関係を強めてガリアは表面上は、友好関係を望む姿勢をとっていた。

ガリア上流貴族らは、利益を鑑みてトリステインとの交易を大規模化し、ガリアの技術をもってしてトリステインの輸出物を解析、ガリアの力で生産しトリステインを押し返すと言う考え方が蔓延していた。

一方で、ガリアの官僚達は北東部の現状から引き込むのは下の下の策として、トリステインとの交易を狭める姿勢を見せていた。

両者はお互いに譲らずに、攻め合いそこに継承争いの派閥の溝が更に事態を悪化させた。

勿論、トリステインの工作員の素敵な活動で激化しているとも知らずに…トリステインを手の内で転がしているはずが、トリステインにガリアが転がされていたのだ。

だからと言って全てが、トリステインひいてはワイアット率いる“会議委員”の思い通りの事態に、転がっては居なかった。

トリステインの急激な成長は上記の歪みを生んだだけではなく、恨み妬みや羨み等の様々な感情をハルケギニアにもたらしたのだ。

トリステインの民は末端のヒエラルキー最下層の人達ですら他国の中流階級以上の生活をし、トリステイン以外では服は高級品で、庶民の保有数は裕福な庶民ですら、一人につき2枚位だったりしたのだが、ワイアットが打ち立てた所得倍増生活向上戦略(富国強兵)の31%の成功から貧困層でも最低限の3~4程は服を保有していたそんな態になっていた。

残りの69%は、資金や工業力等の不足と海にいる化け物達を駆逐しないと実行出来ない。

一方で、各国のトリステインの評価は、ガリアが憎らしくまた厭らしい品の無い田舎者と筆頭貴族は思い、民衆の大半の人々はトリステインの急激な成長を羨ましく妬ましく、おこぼれに預かりたいと思っている人々や単純に凄いと思っている人々、国境を越えてトリステインに移住をする人々等が大半である。

ハルケギニアの国境事情について話をしよう。

現代から古代までハルケギニアの国境は、明確に決定はしていない。

元々、古来ブリミル時代は部族で行動しており、その部族が外敵である流入してきた者達に、勝って従えてその土地に土着した部族の一部が現代貴族の先祖である。

初めの部族は、個々に独立していた、だが治水や鍛冶技術に差が出始めて来ると豊かな地や隣の部族を襲ったり等していき、初歩的なクニの様なモノが出来てきた。

大きくなるにつれ、狩猟をしていた元部族達も此処に合流した。
その部族達は、狩猟を主にしていた為にクニと貴族化した部族より、強くその力を手に入れたクニが近くのクニを呑み込みやがてクニが国になった。

国になり、時間が過ぎると各国は正統性を求めトリステイン、ガリア、アルビオンの三国は部族の血をそのまま継いでいる為、ブリミルの名を正統化に使いロマリアはそれに乗じてブリミル教を創設し近くの都市国家群に正統性をくれてやる換わりに形上は従属させた。

ゲルマニアは、出遅れた上に元々流入してきた者達の末裔なので魔法を大部分の者は使えずに正統性を手に入れれなかった。

蛮族や亜人には、貴族は裏切らなかったが、国同士や有力貴族同士の争いに関しては別である。故有れば裏切るし、勝ち馬に付きたいがためにも裏切る。勿論、其なりの言い訳が有ればだが…。

これらに加え、契約社会が妙に発展していたハルケギニアでは、騎士や貴族は自身の裁量で二君に仕えたりも出来た。

二君に仕えてどちらかを裏切るとそれを大義名分に攻めこまれるので両君に対して中立だし、契約を結んでいる以上は両君から攻めこまないと言う明確な利益もあり、逆に君主は味方じゃないが敵も増えないと言う利益もある。

一君や一国に仕える貴族が居るのを国の領域として、大体の本当の国境は二君に仕える貴族達で固まっていた。その後方に左遷貴族や信用出来ない貴族、近くに信頼の置ける貴族を配置していた。

忠誠心の高いツェルプストー家(ゲルマニアにあれほど無下に打ちのめされ、その結果裏でトリステインにも忠義を誓っているが、戦争時にもゲルマニアに対しては弓を引かない契約をトリステインに通した。)やヴァリエール家等は珍しいのだ。

ワイアットは、その二君に仕えている本当の国境にいる貴族を引き込みたく、ブリティッシュ商会や国庫の金を工作や親善に回したり、工作員を使い印象操作をしたりと結構な動きをしていた。

これ対して黙って無いのがゲルマニアである。

「こうも面白い事をしてくれるとはな…」
資料を見て呟く男は、とある派閥の長であり、利益と保身の神様の様な男で人は彼をゲルマニアの大俗物と呼んでいた。

取り敢えずは、少量の情報を報告してどちらに着けば良いか考えていた。

ゲルマニアとトリステインは水面下で戦争一歩手前になった。


 
 

 
後書き
書けないと勢いを無くして、こうなるとは…前に啖呵を切ったのに、お恥ずかしい限りです
お読み頂いている皆様に申し訳がたちません。

 
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