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吉良の奇妙な生活

作者:そうん
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第一部「吉良吉影は眠れない」
  第二話「スタンド使い」

 
前書き
今回から、あとがきに新生、吉良の体験談を語りたいと思います。よければそちらのほうも見てってください。感想やコメントもいただけたらなおさら嬉しいですね。 

 
第二話「スタンド使い」

私は今、新入生として、1年B組に所属することになった。そして今、私は席に着いている。周りのバカ共は相変わらず騒ぐばかり…イライラする。ここには誰一人として私のように大人しくしてられないのか?

「…。」

今すぐにでも爆殺したいところだが、いけない。そうなれば私は殺人罪に問われ、永遠に私の求める平穏な生活は訪れなくなる。このキラークイーンを持ってしても他の奴らが束になれば、私はなすすべもなくやられてしまいかねない。一対一の対人戦ならばなんとかなりそうだが…。とにかく私はリスクの少ない方を選択するつもりだ。危ない橋を渡るほど命知らずではない。それが私だ。

「おーい。吉影ー。」

やかましい奴が来た。先ほど私が許した柄の悪い不良生徒。虹村…有伍と言ったか?彼もどうやら私と同じような能力を使うらしい。スタンドと言ったかな?まぁ彼との戦闘を通して、私は、「失せろ」と言ったはずだが…何故か、私につきまとうようになった。

「なんだ、ユウゴ?だったか?それともユーレイ君だったかな?」

「おいおい、そりゃーないだろー。俺の名は有伍だ!ユーレイとかそんな変な名前じゃ…」

「知っている。わかったから黙ってくれ。目障りだ。」

「お前、またバカ呼ばわりしたな!?」

何を言っているのかわからない。こいつは一体なんなのだ。どうして私に関わろうとする?私はただ目立たず、平穏な日常を過ごしたいだけだ。友人?そんなものはいらない。私には亀一郎がいる。他には何もいらない。

「いいから黙ってろ。なら今すぐにでもこのスイッチを押すぞ?」

「お前、そりゃーねぇだろうがよぉ〜。少しくらい、俺の話に乗ってくれよぉ〜。乗ってくれればいいんだよぉ〜。」

しつこい。今すぐにも吹き飛ばしてやりたい。こんな面倒な奴の相手なんてごめんだ。しかし、殺人をしては私に平穏は訪れなくなる。どうする?このまま流すか?いや、こいつに限ってはしつこすぎて私の身が持たない。

「いいだろう。ただし、一言だけだ。早く言え。」

「ぇー。そんなあんまりな。もうちょっと話聞いてくれよ。」

「うるさい。一言終わったぞ。さぁ、さっさとあっちへ行け。しっし。」

私は追い払うように、有伍を退ける。しかし彼も強情だ…。私にすがりつこうとする。とても嫌な気分だ。

「いやー、だからよぉ〜?話聞いてくれよぉ〜。そんなこと言わずにさぁ〜。」

「ふざけるな‼私を舐めているのか!?やめろ‼近寄るな‼」

近寄る有伍に対し、私は後ずさってしまう。みっともない。しかも、私に後はない。なぜなら、私が窓際の席だからだ。外の眺めは最高だ。だがしかし・・・私がこんな面倒ごとに関わることになるなんて…。

「やめろ‼貴様‼本当にスイッチを押すぞ‼いいのか?」

「ちょ…危ない‼」

「は?何が危ないのだ?自分の命がそんなに惜しいのか?なら近寄るな‼」

「ち、違う‼」

瞬間、私は窓から落下する。ここは四階…落ちたら間違いなく即死。私の人生はこうもあっけなく…散ってしまうのか?

パシッ…。

「あぶねぇじゃんかよぉ〜。吉影ェー。マジに俺の事が嫌いなのかよ〜?」

落下する直前、有伍はガッチリと私の手を掴んでいた。助かった。こんな事になるなんて…。

「すまないな。手を借りるなんてマネ…私はしたくはないが、一つ借りだ。仕方ない…話を聞いてやろう。」

「そうこなくっちゃな‼んじゃ引き上げるぞ。」

私は引き上げられた。周りからの視線はかなり痛いものだった。初日から私は認識されてしまったようだ。…クソがッ‼なんで私がこんな目に合わねばならんのだ。醜態を晒すとは…私らしくない。

「むぅ…。」

「どうした?吉影?」

「イライラする。さぁ早く済ませてくれ。」

「ぁー。そうだな。あのな、最近の話なんだけどな、スタンド使いが急に増えてきてるっての知ってるか?」

「何!?」

そんなバカな。私とこいつだけじゃないのか?
スタンド使いは…他にもいるのか?どのくらい?数人か?数十人か?それとも何百人といるのか?私の平穏を乱す可能性のある奴らが他にもいるというのか?

「どうだ?なかなか面白いだろぉ〜?」

「腹立たしいな。」

「おい、なんでだよぉ〜。お前も俺もスタンド使いじゃんかよぉ〜。」

有伍はハッキリと私と彼がスタンド使いであると言った。マヌケめ‼これでクラス中が私たちに目を向けるようになる。そんなことをしては私はどうなる?

「ん、スタンド?」

「気のせいじゃないの?譲介君。」

ほらみろ…感づいてくる奴がいる。こいつら、もしやスタンド使いなのか?いや…わからないな。勝手な決めつけは良くない。返って私が怪しまれる。かと言ってそうでないとは言い切れない。

「おぃ、有伍。少し黙れ。後で話は聞いてやる。」

「ぁ?お、おぅ。」

周りからは変な風に見られていたものの、なんとか初日はやり過ごせた。しかし、このバカは私の近くには置いてやれない。むしろ邪魔だ。消えてもらっても構わない。しかし…

「なぁ、吉影〜。聞いてくれるって言ったよなぁ?」

「誰がそんな事を言った?」

「いや、お前が言ったんじゃんかよぉ〜。いい加減聞く気になってくれよぉ〜。」

「知らん。私は何も、いつ聞いてやるとまでは言ってはいない。だから今は聞かない。」

遠ざかろうとする私に、有伍は私の襟を掴み、寄せてきた。

「な、何をする!?」

「なぁ…ちょっとそりゃ酷いんじゃないの?俺が何したって言うんだよぉ〜。」

いや、登校中に私に喧嘩をふっかけているよ。君は…。

「…。はぁ…。さっさと言え。」

「ぇ?いいのぉ?」

「ぁぁ…。早くしろ。私の気が変わらないうちにな。」

今すぐにでもお前から解放されたい。それで解放されるなら私は決行する。平穏な生活さえできればそれでいい。

「そのスタンド使いの件なんだけどよぉ〜。どうやら増やしている奴がこの杜王町に潜んでいるらしいぜ。」

「…。増やす?どうやってだ?」

「へ?お前知らんの?てかお前もそうじゃないのぉ〜?」

私がそうだって?何がだ?心当たりは何一つない。生まれついてできたものだと思うが…。一応だ。念のため聞いておくとしよう。

「何がだ?さっさと説明しろ。」

「ぇ?おぅ。んと、詳しくは俺も知らねぇ。
ただ、そのスタンド使いを増やしている奴は弓と矢を使っていたそうだ。」

「弓と矢…。つまりそれを回収すれば増えなくて済むということか。」

「まぁそういうことよぉ〜。んで、お前さん、本当にやる気なのか?」

さっきまでふざけた口調で話を進める有伍は打って変わって、ドスの効いた声で私に問う。

「なんだ?まだ何かあるのか?」

「それがな…今、お前さんは弓と矢を回収とかなんとか言ってたけどよぉ〜。それがな…つい最近破壊されて発見されたんだとよ。それでもまだ増えている一方…もしかしたら関連なんてないかもしれねぇな。」

「何!?破壊…だと?」

確かにそれはおかしい。不自然すぎる。弓と矢が疑問視されている中、破壊され、それでもまだ増え続ける。明らかにその弓と矢に何かがあるように見えなくもない。

「有伍、他に何かあるのか?」

「ぉーおー。やっと話を聞くようになったかぁー。そうかそうかぁ〜。」

「うるさい。早く言え。」

「そう急かすなってw」

私はふざけた態度を取る有伍に向けて、スタンドを発現させる。
いい加減つまらない戯言は聞き飽きたところだ。そろそろうっとおしくなってきた。

「おいおい、マジかよ。な、なぁ?落ち着こう?落ち着こうかぁ〜。」

「君は私をイラつかせるのが得意のようだな。まぁ、いざとなれば、私は君を始末するが?」

「な、なぁ?落ち着こう?そんな物騒な事いわずにさぁ〜。」

とても気分が悪い。気が変わった。やはりこのバカの相手をするというのがアホらしい。こんなマヌケに構っていられるか。

「フンッ…まぁいい。私一人でも見つけ出し、木っ端微塵に吹き飛ばしてやる。」

「おぃおぃ…そんな怒るなって!」

「うるさい、お前はもう用済みだ。消えろ。消えないなら私が君を消す。」

有伍は観念したのか、私に背を向け、しょんぼりと帰っていく。私を友人として見ているのか?なら尚更バカバカしい。友人がいることに何の意味があるのだ?私には到底理解などできない。平穏、それが全てだからだ。私にはそれを行使する権利があり、私はそれを使命としているからだ。
後はそれからだ。 
 

 
後書き
オマケ 第一話「吉良のネクタイ」


「ふっふふーん♪」

今日は待ちに待った日だ。先日、新発売のドクロ柄のネクタイを予約し、ついに今日・・・私の元へと届く。とても楽しみだ。
発売日当日に私の手元へ来るように私は前もって半年前から予約に踏み切っていた。
なぜそこまでするかって?
フフフ…。いいだろう特別に話そう。

それは1年前、私はファッション雑誌を読むようになってからだ。14回目のクリスマスの時、両親、親戚からもらったプレゼントはすべて、そういう類の雑誌ばかりだった。正直、周りのやつらが羨ましかった。ゲームにケータイとあらゆる類の電化製品を手にいれる。一般人の子なら憎むだろう。しかし私は違う。皆とは生活が異なりすぎているからだ。羨ましいとは思うものの、欲しいとは一切思わなかった。もらえるものならもらう。なんでもよかったのだ。
しかし、この年頃の男の子に雑誌など渡されても誰しもが困るだろうな、だが・・・なんと私はハマってしまったんだ。どうでもいいとさえ思っていたものの、いざ読んでみると面白いし、興味がわいた。特にネクタイ。あれは紳士たるもの神器と呼ぶにふさわしい代物だ。絶対に手に入れなければならない。こうして私はネクタイを集めたり、試着することが趣味の一貫になった。
それからだ。私の退屈すぎるどうでもいい人生はバラ色に染まった。ファッションというすばらしき世界に出会えた。それがなにより私が平穏を望む上での必須となった。

それが今ある私、そして未来もあるべき自分だと私は思っている。




ピーンポーン。

「宅急便でーす。」

お?どうやら私のブツが届いたようだ。しかもそれは数量限定品だ。通常の額よりははるかに高価だが、私としては手に入れなければならない品。手放したくはないのだ。

「はい、えっと、吉良・・・吉廣様ですね?」

なんだと・・・親父・・・だと!?
 
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