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聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士

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第八話 対決!二人のボクサー


五老峰

「・・・・・」

その日影道総帥は秘境・五老峰を訪ねていた。

五老峰の大滝に座する笠を被った老体の姿があった。

「老師・・・お久しぶりです」

「ふぉ?総帥か?はやてを預けて以来じゃの」

老師が振り返ると影道総帥も礼儀正しく礼をすると久方ぶりの会話を交わした。

「老師・・・そのようなお姿でこの世に留まっているとは・・・」

「ふぉふぉふぉ・・・流石総帥・・・さよう・・・今のわしは小宇宙の集合体・・・少し理由があっての・・・それよりも疾風の指南感謝する」

「いえ・・・彼の精進があればこそ」

すると影道総帥はある事を老師に告げた。

「ふぉ?虎座の聖衣とな?」

「はい・・・老師の話を聞く限り・・・虎座という物に心当たりはありません・・・特別な星座なのでしょうか?」

「ふぉふぉふぉ・・・もしかしたら何かが作り出した星座なのかの?」

老師の言葉に影道総帥も大河の聖衣について考え始めた。




第八話 対決!二人のボクサー




漁が盛んな雰囲気の港町、そこに大河の姿があった。

「ふぅ~・・・」

船から魚が積まれた箱を持って港に降りる大河。

何故こんな事をしているかというと長旅の為の旅費を稼ぐためだ。澪を連れて野宿を繰り返してきたが、町に着いたときくらいせめて一夜の宿くらいはと日雇いのバイトで稼ぐことにしたのだ。

だが問題は食費だった。

ある晴れた日のどっかその辺の野宿の図

「おかわり!!」

思いっきり茶碗を澪に指しだす大河だが・・・

「無い」

「ええ!少ないんじゃないの!?ケチケチすんなよ~」

「一升食ってて何言うか貴様!!」

思いっきり空っぽになったお櫃を大河に見せる澪。

大河の物凄い食費に旅費が追いつかなくなったのである。

そうこうしている内に荷物を運び終わりタオルで汗を拭うと背中から声がした。

「おうおう~精が出ますね~だんな~」

「ん?」

大河が振り返ると小柄で右目に傷のある少年の姿があった。

「ん?君は?」

「俺か?俺は岩鉄!鉄って呼んでくれ!」

そう言って強引に大河と握手する岩鉄。

すると何かを感じ取った大河。

(何だ?・・・この人何かを感じる)

大河が岩鉄から何かを感じ取ると後ろから声が響いた。

「虎!もう上がりよ!」

経理担当のバイトをしていた澪に呼び止められ大河が岩鉄に挨拶をして帰ると岩鉄はニヤリとして大河を見送った。

その夜の宿

宿泊費の安い素泊まりの宿で食事をとる大河と澪。尚、料理は澪が担当している。

「美味いな~澪の飯は~」

「合理的に計算すればこれくらいの味は出せるわよ」

ボリボリとたくあん食べている澪に大河は冷や汗を流した。

「相変わらずそういう事言うのね・・・」

すると

「おかわり!」

「無い」

「えぇ~またぁ~」

「だから一升食ってまだ食うか!それでもあんたボクサーか!?」

大河に激怒しながら夕食を食べ終え床に付こうとすると澪が何やら赤いケースにパソコンの配線を繋ぎ何やらキーをカタカタと打っていた。

「ミヨ~何それ?」

「ミオだっつうの・・・それあたしの開発中のスチール聖衣・・・」

「へぇ・・・スチール聖衣ってなんだ?」

「メカニックの聖衣・・・聖衣には限りが有るからね・・・」

「じゃぁお前もそれ着れば強くなるのか?」

「あのね・・・何の訓練も受けてないあたしが着てもただの鉄板でしかないの」

キーボードカタカタ打ちながらぶっきら棒に答える澪。

「で?何でそんなの作ってんの?」

「あんたの聖衣が万が一壊れたら直すまでの予備が必要でしょ・・・」

「成程・・・」

大河が寝ようとした時、窓から石ころが投げ入れられた。

「何だ?」

石には手紙が括り付けられており大河がそれを開くと手紙の内容を読んだ。

「果たし状・・・俺と勝負しろ・・・港で待つ」

「また挑戦状?」

澪がまた微妙な雰囲気を感じ取ると大河は手紙を胸にしまい準備を始めた。

「行くの?」

「ああ・・・闇闘士かもしれねえしな」

荷物を纏めて大河が宿から出ると入れ替わりにドアがノックされ、澪が確認するとドアの下に手紙が差し込まれていた。






夜・何やら不穏な空気が漂う港を大河が歩くと昼間の倉庫街に訪れていた。

「ここは・・・あれは?」

大河が周囲を見回すと見つけたのはどう見ても四角いリングだった。

マットは無くただ棒で囲われただけのリング。

手紙の場所がここを指しているのを確認すると大河がリングに上がった。

そして

「虎座の大河だ!俺に何のようだ!」

大河が叫ぶと何やら情熱的な小宇宙があたり一面に轟いた、

「誰だ!?」

「とぉ!!」

大河がその小宇宙の気配の方へ向くと一人の男が舞い降りた。

金色の鎧を身に纏ったその人物は先程出逢った少年だった。

「お前は・・・」

「よぉ」

「鉄!?」

金色の鎧に身を纏った男は岩鉄だった。

「鉄!お前いったい?」

「へぇ・・・俺はな海闘士・・・海龍の岩鉄だ!」

「海闘士!?」

海王ポセイドンの海闘士の話は澪から聞いている。

その海闘士が自分に何の用か気になる大河が聖衣を纏おうとすると・・・

「おおっと・・・慌てなさんな・・・」

大河が聖衣を着る前に岩鉄が鱗衣を解除した。

生身になる岩鉄に大河は尋ねた。

「お前・・・一体・・・」

「俺は確かに海闘士だが・・・俺にはもう一つの名がある・・・俺の名は香取!香取岩鉄だ!」

「香取・・・まさか!」

「おうよ!俺は香取石松の甥!香取岩鉄よ!なぁ!高嶺竜児の息子さんや!」

「!?」

目の前の海闘士が竜児の真友・香取石松の甥である事に驚く大河。

「お前が・・・石松さんの甥?」

「ああ・・・証拠を見せてやるぜ・・・!!」

証拠を見せると言って天高く飛び上がる岩鉄。それはただの跳躍ではなく・・・あのフィニッシュブローの体制だ!

それは・・・

「ハリケーン!ボルト!!」

岩鉄の一撃が地面を砕いた。それは大河の物とは比べ物にならないほどの威力を秘めていた。

「これは・・・石松さんの必殺ブロー!」

「へ!俺は石松叔父さんの試合のテープを擦り切れるまで見たんだ・・・俺はボクシングを独学でやって叔父さんのハリケーンボルトを習得した・・・おめえの聖闘士ファイトのハリケーンボルトより!俺のハリケーンボルトの方が本物だ!!それを証明するために!おめえに決闘を申し込む!!」

岩鉄の心を聞いた大河は避けることが出来ない事と思いリングに立った。

お互いにボクシンググローブを装着し向かい合った。

「吠え面かくんじゃねえぞ!」

「わかったよ・・・鉄!」

その言葉がゴングとなり二人の戦いが始まった。

かつての石松のような型にとらわれない戦い方をする岩鉄に翻弄される大河。

大河がジャブを繰り出すが岩鉄は跳んで避けると大河に飛び掛かる岩鉄。

今まで聖闘士としての真剣勝負を繰り返してきた大河にとっては初めてのボクサーとしての戦い。

何処かでこの試合を楽しんでいるような大河でもあった。

「行くぜ!ブーメラン!フック!!」

「!!」

大河のブーメランフックが飛び掛かる岩鉄に炸裂すると吹き飛ばされる岩鉄だが身軽な体格を生かして体勢を立て直す岩鉄。

「へ!へへ・・・そう来なくっちゃな!行くぜ!!」

大河に向かって跳躍する岩鉄。

「受けて立ってやる!」

岩鉄に向かって拳を構える大河。

「ハリケーン!ボルト!!」

岩鉄の拳が大河に向かって

「ブーメラン!フック!!」

大河の拳が岩鉄に向かって

放たれた瞬間

凄まじい爆発を起こしリングを吹き飛ばした。

衝撃に打ちのめされる大河と岩鉄だがお互いに膝をつかなかった。

「へ・・・へへ・・・やるじゃねえか」

「おめえもな」

お互いの健闘を称え合うかのような大河と岩鉄の言葉。

「けどな・・・最後まで・・・立ってた奴が・・・勝つんだぜ」

岩鉄が大河に向かって飛ぼうとした瞬間。

「それまで!」

突然現れた澪が割って入った。

「ミヨ!?」

「誰だ?」

大河と岩鉄が澪に向かって振り返ると澪は目もくれずに大河の元へ歩み寄った。

「ミヨ・・・どうして」

「ちょっとそこの海闘士さん・・・今ここでこいつを倒されたら迷惑なの」

「どういう事だ?」

岩鉄の問いかけに澪は大河に手紙を見せた。

「これは?」

「あんたが出てった後に入った読んでみ・・・」

大河が読み上げると・・・

「闇闘士トーナメント開催・・・補欠込みで6人まで参加可・・・優勝賞品はカイザーナックル?」

闇闘士からのトーナメントの招待状、都合の良いことに優勝賞品は大河達が探し求めているカイザーナックルだった。

「馬鹿な・・・カイザーナックルは既に闇闘士の手の中に」

「あたしらをおびき出す罠って可能性もある・・・それならそれで乗ってやろうじゃないの?」

澪の提案に覚悟を決める大河。

「わかった?・・・今こいつを倒されたら困るの」

「えええ!」

決着がつかない事に不満そうな岩鉄。

一方・大雪原

「ん?」

吹雪が吹き荒れる中何やら不穏な気配を感じ取りシグが吹雪から何かを感じ取っていた。

「この風・・・大河に何かあったのか?」

己の目的の邪魔される気配を感じ取り極寒の地を歩み始めるシグ。


五老峰

「・・・・・・」

影道総帥と老師が何やら邪悪なる気配を感じ取った。

「フォ?・・・これは闇闘士が動き出したようじゃの・・・」

「そのようですね」

老師は一呼吸すると己の弟子を呼び寄せた。

「疾風・・・疾風はおるか?」

「はいここに・・・」

老師の元へ現れる新たなる弟子、竜崎疾風。

「疾風よ・・・何やら不穏な空気を感じる・・・虎座の大河とやらを手助けしてくれ」

「わかりました・・・老師」

老師に拳を合わせる疾風はもう一人の師ともいえる影道総帥にも礼をし見ず知らずの大河の元へ向かった。


 
 

 
後書き
カイザーナックル争奪戦。俺以外は全員闇闘士だ。六人までなら誰が参加してもいいと言う条件だが俺は一人で参加を決めた!

次回!聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士 カイザーナックル争奪!トーナメント開催!
 
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