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時雨

作者:石榴石
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狂い咲きの君へ。

 
前書き
花は咲いた。

桜は満ちた。
 

 
吹く風は冷たく、そこにあるのは孤独。

友達と呼べるものはそこには居ないかもしれない。



皆は姿を隠し、交わされる挨拶すら無いというのなら。

自分がそこに在ることさえ疑ってしまうかもしれない。



吹く風は冷たいのに、そこには自分はいない。

かつては友達と呼んだものがあったのかもしれない。



私は誰?

ここは夢の世界?




――本当に忘れてしまったの? 本当の自分がわからないの?

吹く風が冷たかろうと、孤独だろうと。


君はそこに在るのに。


君がそこに在るからなのに。



君は決して、狂い咲きなんかじゃない――誰が、そう決めたの?

今はただ、みんな隠れているだけ。



自分の姿は自分にはわからない。

確かにそうかもしれない。


でも、本当のあなたを見てほしい。

自分自信をもっと、見つめてほしいんだ。



君は決して、狂い咲きではない。

孤独の中に咲き誇る、君の姿は美しい。



君は、君の力で。そこに、
“今”そこに存在する意味を見つけるんだ。



見つけるんだ。いつか、きっと。


ゆっくりでいい。


どれだけ時間がかかっても、それでいい。




それまで君を、待ってるから。 
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