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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第五十話 戦場は宇宙へ

 
前書き
とうとう不定期更新に仕事が来たのかな……間に合わなくなってきたよ。ついでに言うと主戦場が宇宙に変わるから更新がさらに遅くなるかも……宇宙での成績ってあんまり良くないのよね、私(笑) 

 
核が実際に存在していたことがザフト軍の手によって証明されたことで、戦闘は終了する事となった。本来ならば、核を止めた時点で再び戦闘を再開することになるのだろうが、強硬策に出たセントへレンズの艦長の失態を含め、タリアとグラスゴー二人がこれ以上の戦闘継続は無意味だと発言したことから、撤退の信号弾が放たれ、戦闘は終了したのだ。

「しかし、艦長!これは彼らにまた新しい勲章が必要になりそうですね!もしかしたら彼らの為にネビュラ勲章以上の新しい勲章が作られたりなんて!」

アーサーは天然なのか、それともロゴスを逃したという悪い空気を払拭するためにわざとしているのか。核を止めた三人の事で場を盛り上げようと歓喜を表すが、タリアはどちらかといえば疲れの方が大きかった。オーブ戦に現れた所属不明機、ロゴスを脱出させてしまった事、核爆発の緊張―――これらの要因が原因で頭痛になりそうだ。
元々、核爆発の規模そのものだけなら威力にもよるが、ザフトにとって被害は軽微で済んだだろう。だが、核による爆発が起きれば、同規模の爆発兵器やEMP攻撃よりも危険度が高い。現在ザフトは世論では支持され、正当性を認められているわけだが、だからといってこちらが侵略国であることに変わりはない。
そんな中で、もし仮に核が爆発していたなら、まず第一にロゴスが批判に挙げられるが、ザフトだって元凶となった侵略国として悪役に仕立て上げられてもおかしくないのだ。地上での核爆発が与える影響は宇宙で放たれる核などとは比べるまでもない。オーブという島国の位置を考え見るに、核による汚染の被害は甚大なものとなる。貿易風や複雑な海流によって流され、様々な国に影響を及ぼすだろう。無限希釈によって薄まるだろうか?それでも影響は甚大であることに変わりはない。近くに別の国もあることから国際的にも大きな被害となる事は確かだ。
そんなギリギリの綱渡りだったことなども理解できず、セントへレンズの艦長は戦闘を続行させようとしたのだ。無能、というわけではないのだろうが視野が狭いとは思わざる得ない。

『心中お察しするよ。私も同じ気持ちだろうからね』

ラー・カイラムの艦長であるグラスゴーからの通信を聞き、タリアは同意してしまう。これから議長への報告を含めて、多くの厄介ごとばかりだと―――そう思ってタリアは深い溜息をつくのだった。







核を仕掛けたのはロゴス。オーブへと逃げ込んで攻撃のための正当な理由を作ったのもロゴス。そして、それらの危機を救ったのはザフトだ。これ以上ない正義の味方(・・・・・)という奴だ。今頃デュランダル議長は喜々としてこの状況を利用しようと画策していることだろう。尤も、オーブを落とせなかったのは本人にとって誤算なのかもしれないが。まあ元々オーブ軍は厄介だという事も理解していただろうし、当然次善策はあるのだろう。

「さて、どうするべきかな?」

今回のオーブ戦で受けた被害は意外と大きい。ハイネのデスティニーとアレックのガルバルディαが中破、マーレのゲルググC型、ルドルフのギャンは大破だ。他にも小破や多少の損害を含めるならかなりの数が増えることになる。

「デスティニーの修理はともかく、アレックの機体は――――――」

アレックはガルバルディαを乗機としていたわけだが、クラウが一時的に乗っていたガルバルディβの存在もある。あれの修理も後回しにし続けていたわけだが、同程度の損傷ならば、性能の高いガルバルディβの方が良いのではないか?そう思いつつも修理は面倒だなと考える。

「まあ、βの方で良いだろうけど、問題はこの二機か……」

マーレのゲルググとルドルフのギャン。どちらも修理するには無理がある。だからといって同じ機体を受領するのは不可能なのだ。マーレのゲルググC型はただの量産機ではなく、多くの改良を施した機体だ。同じものを造れと言われても、そうやすやすと造れるものではないし、また造ってもおそらくあまり意味はない。

「マーレの方に機体が追い付けなくなり始めてるからな―――」

マーレのNTとしての覚醒。キラ・ヤマトを相手に対等の戦いが出来た辺り、彼の素質が芽生えている証拠だろう。そんな状況では、以前のゲルググと同じものを用意したところで結果は同じことになってしまう。つまり、今のフリーダム相手に勝つことは出来ない。
一方でルドルフのギャンの方が用意できない理由はもっと単純だ。ギャンは試作機であるため一機しか存在していないのだ。ギャン、ガルバルディα、ガルバルディβの三機はそのスペックの特性を測るために造られた試作機であり、量産の採用は規格の問題や適性パイロットの問題で三機とも一機ずつしか造られていない。別段ザフトでは不思議なことではない。前大戦の核動力機、セカンドシリーズなどの機体はプロトタイプこそいたりするが、ほぼワンオフの機体だ。そう考えればこの三機が一機ずつしかいないのも納得できることだろう。

「そうなると、別の機体を用意することになるわけだけど、彼がそれを認めるかな?」

そう思い、そういった事は本人に尋ねるべきだと聞いてみたのだが―――

「僕に相応しい機体を用意してくれるというなら一向に構わんさ。例え貧弱な機体であろうとも、それに乗り、不利を悟りながらも戦場を駆け抜ける!ああ、美しいではないか!」

聞くだけ無駄だった。撃墜された時に怪我をしたためか、いたるところに包帯が巻かれていたりしたが、正直言って心配して損した。どうやら馬鹿は死なないと治らないらしい。一方でマーレも普通に受け答えしてくれる。

「機体の反応が追い付かなくなってるのは事実だな。それと、最近はこう―――先読みっていうわけじゃないが機体を先に認識した場所に置く様に移動してると、あっさりと敵を撃ち落としたりできる。どうせならそういった事に対応出来る機体の方が良い」

思った以上にマーレの方の機体の要求値が高い。普通に要求してきたスペックがデスティニーやレジェンドと同レベルだという事にマーレ自身は気付いているのだろうか?

「ま、そんな事もあろうかと、っていう風に用意するのが技術者の仕事なんだけど」

流石にそう都合よく用意は出来ていない。だが、プラントでなら、それを用意することは出来る。

「ならマーレ、一足先に宇宙に上がってプラントに行ってくれない?そこで君の機体を用意してるはずだから」

「ならば、この僕も行くぞ!僕に相応しい機体は僕自身が選ぶからこそ価値がある!」

「……こいつも連れていくのか?」

マーレが面倒そうに顔を顰めながらこちらに尋ねてくる。残念ながルドルフの愛機も失われているから彼自身の希望を邪魔立てすることは出来ない。なので一緒に連れて行ってやってくれ。そう言うと溜息をつきながら仕方ないとシャトルに乗る為の準備を整えるように行動する。
色々と忙しくなりそうだと、実質そういった意味では損したようにしか感じない―――そう思うような結果となったオーブ戦であった。







「オーブに……キラが来ていたのか―――だとしたらカガリも?」

アスランは自室に戻ってからクラウやマーレが交戦したという未確認機(Unknown)の映像を見てそう呟く。形こそ違っているが、その原型はフリーダムであることに違いない。そしてシン達が戦った相手にはかつて自分が乗っていた愛機であろうジャスティスを改良したものまで存在していた。

「クッ、今更戻って何が出来るっていうんだッ!」

吐き捨てるようにそう言わざるえない。オーブを守るために動いていく。彼らの取った道はその為になら自らが汚名を被ろうとも国を守るために戦ったという事だ。アスランは彼らの行動に思わず声を荒げながら文句を言う。怒りが、葛藤が、悩みが、そして悲しみがあるのだ。
それは何に対してなのか?自分に対してか、キラ達に対してか、それとも両方―――分からない。アスランにはどの道が正しくて、どの道が間違っているのかもわからない。

割り切れとハイネは言った―――討てるのかとマーレは問いかけた―――己の信じる正しい道を歩んでくれと議長は信頼を預けた。

「クソッ!!」

鏡に写っていた自分を殴りつける。鏡は割れ、拳から血が流れるが痛みすらも気にならない。今の自分が間違っているとは思えない。だが、正しいとも感じられないのだ。
核を止めることは自分にとって正しい事だった。ロゴスを捕らえるという議長の考えだって正しいとも思える。しかし、一方で失っていったものも数多くあるのだ。

「頭を冷やさないとな……」

手から流れる血が結果的に頭を冷やしたのかもしれないと考えながら一旦落ち付くことにする。どちらにしても、今更引けない。既に世界は進み始めている。それも確実に平和に向かって―――だから、たとえ自分にとって間違いなのだとしても、目を瞑って進むしかないのだ。今は、それしか出来ないのだから……







オーブでの戦いが終わり、色々と情勢が狂い、様々な人間が思惑を画策していたその頃、プラントの方角に向かい移動する廃棄コロニーが一つ、そして全く別方向に向かい動いていたもう一つの廃棄コロニーあった。前者は真ん中が空洞となり内部にビーム屈曲装置を取り付けたものが直接プラントの方角に向けて接近をしている。
後者は一方の方とは違い、構造が正面の穴以外完全に密閉されており、それ単体が照射を可能にしたまさにコロニーレーザーと呼ばれるものだった。そちらはかなり離れた位置に移動しているものの、宇宙に存在するプラントの施設の大半を狙える射角位置に移動していた。

「流石に壮観というべきなのかね?これだけの戦力を揃えてここまで入念な準備をしているなんてさ」

アルザッヘル基地で待機しているロゴスが母体であるファントムペインの部隊は、直接指示を行っていたジブリールが死んだことによってすることが無い状況となっていた。誰も自分たちから厄介な連中を引き受けたくないのだろう。殆ど宙ぶらりんな状態で放置されているのが現状だ。それに大いに不満を持っているのがアウルとエミリオであり、逆にこの状態を享受しているのはネオとダナであった。
そんな中でネオは映されているレクイエムの中継ステーションとコロニーレーザーの映像を眺めながら、感嘆を口にする。中継ステーションこそ自分たちで設置したものもあるが、やはり大部隊で護衛しながら動く様子は違う。自分たちが移動させていたのは発見させないようにする為に、推進剤を出来る限り使わず慣性で動かしていたことも原因の一つだろう。
そしてもう一方のコロニーレーザーなどは見るからに壮観というべきものだ。あれが単体で砲撃を放つ―――まるでザフトのジェネシスのようである。尤も、サイズがジェネシスよりも大きい分、射角の調整も難しいものだろうが。

「―――あんなものまで用意してるなんてな……この戦争、連合が勝って終わった先に人類の未来なんてものが残されてるのかね?」

小声でそう呟くネオ。あんな大量虐殺兵器があれば地上の人間だって脅せる。そして、人は武器を持つと使いたくなり、使い始めると際限がなくなるものだ。あれがプラントだけではなく、地上に残ったザフトやロゴスの最後の生き残りであるブルーノ・アズラエルにとって厄介な相手を狙わないとは限らない。

「そうなって地上に撃った時が、人類の終わりなのかもな……」

ネオはせめてそうならないことを祈るとばかりに視線をコロニーレーザーから離さずに見ていた。







以前の三種の駒がいたチェス盤を眺めながらデュランダルは駒に触れる。透明な駒は既にほとんど失われている。キングは転げ落ち、隣にいたビジョップは踊らされるように黒の目の前に差し出すかのような位置にいる。その隣には二つのルーク。
盤面が埋め尽くすのは黒ばかりだ。白の駒もないわけではないが数だけで見れば黒の方が多い。特に、白は彼らにとって最も重要であろうクイーンが完全に孤立している。

「しかし、あの時落とせなかったのは誤算というべきかね―――或いは、これもまた予測できたことか?」

笑みを崩すことなく、黒の駒を動かす。連合を指し示す片方の透明なルークは白のクイーンの目の前にいる。それが指し示すのは一体何か?

「出来れば、私に可能性を見せて欲しいのだがね。それもなく、お別れとなることを祈ってもいるよ」

そして、そう言って盤面の白のクイーンの傍に居なかった方の透明なルークを動かし、少したった後―――レクイエムが発射され、プラントの一角が崩壊したことを告げられた。だが、デュランダルは表向きこそ焦った様子を見せるが、内心では思惑通りに事が運んだことにほくそ笑む。この戦いでプラントにも被害が及んだという事実、これが彼にとっては必要だったからだ。地上に住む人間にとってはプラントの戦力がそのまま残っているというのは恐怖でしかなく、世論はロゴスを討った所でしばらくすればプラントを敵だと祭り上げるだろう。
その前にデスティニープランの実行によってそれを封鎖する気ではあるが、傷ついた者どおしだからこそ手を取り合える。一方的な支配では意味をなさない。だからこそ、この被害は必要だった。

「すぐにでもその大型兵器を止めるぞ!休んでいるだろうミネルバには悪いが、彼らにも発進を伝えてくれたまえ!」

そうして、総ては彼の思惑通りに事が運ぶ。
 
 

 
後書き
さあ、レクイエムとコロニーレーザーの登場だ!オーブに関しては次話か、次々話で書く予定です。ノンプロットの弊害だな……オーブをどうするか決めかねてるよ、作者は。
そして、ついにマーレの専用機の出番だ。今までカスタムしただけのゲルググでよくやったというべきか?どんな機体にしようかな~
友人A( ´_ゝ`)つフラッグorブレイヴ←え? 
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