転生者拾いました。
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ノルン火山
いざ
前書き
なんだかんだで50話目です。
さて、シルバがオレに一向に危害を加える様子がないので一応我がパーティーの一員とした。
優秀な術師であり剣士でもある彼女は主にオレと同列で戦う前衛として活動する。
これにより魔術メインの剣士だったセリナはエリザとともに後衛にする。
バニッシュデーモンにも迎え入れられて、晴れてオレの仲間となった。
「ダンナ、着きましたぜ。」
「ありがとう。」
シルバがオレの所に現れた翌朝、伝令がノルン火山に出現したとの報告が入ったため、急遽バニッシュデーモンを連れて急行した。
「シルバ、わかるか?」
「……いる。山の上。かなり多い。」
シルバは自身の鏡のように磨かれた鎧を見つめている。
恐らく鏡面魔法を用いて偵察しているのだろう。
「A班は東側から。C班は南側から、D班は西だ。B班はオレについてこい。」
大々的に海賊船を乗っ取ってノルン火山島に乗り込み、それぞれ班分けしてから散らばらせる。
潅木すら生えていないノルン火山は活発な火山島で巨石は八合目付近にある。転移魔法を使われても術者の意識をそらせれば発動を抑えることが出来るようにバニッシュデーモンを巨石を包囲するように配置した。
「ところでダンナ。」
「ん?」
B班のリーダーが嫌な笑顔で近づいてきた。
「あの白い娘はだれですか?」
「彼女はシルバだ。白光教会の幹部級の脱走兵だ。」
「幹部級!?」
あの夜の情事に発展しかけた数分後に自己紹介を行って知ったことだ。
その後も何度もシルバが襲いかかりよく眠れていない。なのにシルバはピンピンしている。なぜだ……。
「そんな大物が……。」
「けどボス、いつの間に部屋に連れ込んだんですか?俺、歩哨してましたけど見てませんよ。」
ニヤニヤしながら取り巻きの一人が言う。
「剣から出てきた。鏡面魔法と言うらしいがオレも詳しくわからん。」
言い訳しても仕方ないのでありのまま伝える。
仕組とかも詳しく教えてもらってないし。
「で?どうだったんですか?」
「は?」
「セリナさんにエリザさん、シルバちゃんを囲ってたんでしょ?一人分けてくださいよ。」
こいつ等は何を勘違いしているんだ。
「おまえら、あの壁が完全防音でないというなら何があったかは聞こえていたはずだ。」
「ボス、城内の壁は全て完全防音です。」
「ですからぁ、なにしたんですかぁ?」
こいつ等……、遊んでやがる。
気持ち悪い笑顔を浮かべて胡麻擂りしながらジワジワ近づけてくる。
「あんなこt、ぎゃぁぁぁあ!?」
突然取り巻きの一人が断末魔を上げて倒れた。
敵襲かと思って戦闘配置を命じようとする直前、棘のある声が聞こえた。
「なんてデリカシーのない人かしら。」
「ホント。バカみたい。」
「ワタシ達は死神の物ではありますが、あなたがたのモノになるつもりはありません。」
後方を歩いていた女性陣の攻撃だった。
オレたちが合流する以前にも女性兵士は居たが、数は絶対的に少なかった。オレに近しいセリナやエリザのお陰で彼女たちの発言力が強くなっている。
ノルン火山島に着くまでの船旅の最中では彼女たちの猛アタックにあって大変疲れた。どこまでオレと関係を持ちたい。
「……そういうことだ、紳士諸君。」
「サー、イエス、サー……。」
久しぶりに怖いモノを見た。今も嫌な汗がだらだらと背中を伝わっている。
「ボ、ボス。山が……。」
緊迫した様子の取り巻きが山の中腹を指さす。見れば白い光が上っている。
「封印がとかれた──。龍が蘇る。」
「なんだと!?」
いつもの調子で言っているがその声には緊張が見られる。
「急がないと手遅れになる。」
「わかった。全軍に通達、急いで目標地点に走れ!」
通信魔法で各リーダーに命令して山を駆け上る。
後書き
龍を捕らえた天使は唄歌い
悪魔を蹂躙す
次回 猛火龍
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