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パンデミック

作者:マチェテ
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第四話「白髪の兵士」

 
前書き
ついに姿を現す感染者。
感染者を倒すべく武器を手に取るオルテガとフィン。
そして………姿を現した白髪の兵士。 

 
………こいつが……感染者か……

目の前には、元々は人間だった化物が一体。
その化物に対する怒りを抑えながら武器を構えるオルテガ。
そんな状況下でも余裕の笑顔を放つフィン。

感染者はユラユラとこちらに歩み寄ってくる。

「グルルォォォ……」

唸り声を放ちながら、確実に近寄ってくる。
ーーすると突然

「オオォオォォオオォ!!」

唸りが叫びに変わり、オルテガに向かって突っ込んでくる。

「なっ!速ぇ!」

あまりにも突然な攻撃に、対応が一瞬遅れた。
防御が間に合わない!
焦りが余計に対応を遅らせる。

「手間ぁかけさせんなよぉ」

ーーそれはまさに早業だった。

オルテガは一瞬の出来事に気づかなかった。
気づけば、感染者の上顎が吹っ飛んでいた。
答えは単純だった。
フィンがオルテガの気づかないうちに感染者を斬り殺したのだ。

「ダメだろぉ?油断しちゃよぉ」

「あ、あぁ。悪いな。助かった」

……こいつは一体………
フィンの実力に未だ驚いている。
普段の態度がへらへらしているから全く分からない。
どれだけの強さを隠してるんだ?こいつは……

へらへらしながら、フィンが周りを見た。



「あ~…アッハッハ♪ こういうのを絶体絶命、て言うのかぁ?」

オルテガが周りを見ると……

「……囲まれた」

まさにその言葉通りだった。
いつの間にか、周りには15体の感染者。

「オオォオオォオ………」

「グウゥゥウウウゥウ…………」

唸りながら、徐々に距離を狭めてくる感染者の群れ。
さすがのフィンでも、15体全てを相手にするのは無茶だ。
その証拠に、彼のいつものにやけ顔も少し曇っている。


「畜生………」

戦うための覚悟が諦めに変わってしまったオルテガ。
ここで……終わるのか………
全てを諦めるように両膝から崩れるオルテガ。

………その時だった。

ザンッ ドシャッ

肉を斬る音と、何かが落ちる音。




感染者三体の首が一斉に落ちた。

「なっ!?」

「へえぇ……やるなぁ♪」

オルテガとフィンの視線の先には、一人の兵士。
顔のキズと白髪が特徴的な青年だった。

「………大丈夫か?」

「あんたは…一体……」

「自己紹介は後だ。今はこいつらを駆逐する方を優先する」










白髪の青年は反則とも言える位、強かった。

最初に突っ込んできた感染者の脚を斬り、怯ませてからの強烈な蹴り。
頭蓋骨は粉砕し、感染者は即死した。
噛みつこうとしてきた感染者の頭を掴み、瓦礫にぶん投げた。
感染者の首から、骨が砕ける音が響いた。
それだけに留まらず、武器を使わない左フックで、感染者の首が普通
ではあり得ない方向に曲がる。

とてもじゃないが、人間とは思えない強さだった。





「あんた随分強いんだな」

ビルのエントランスホールを抜け出し、しばらくしてオルテガが
口を開く。

「俺もそこそこだし、フィンもかなり強いけど……あんたには勝てないな」

その言葉に、白髪の青年は独り言のように呟く。

「…………その方がいい。」

その言葉の意味は理解できなかった。

「あんた、名前なんていうんだ?」




「……………ブランク。」 
 

 
後書き
とうとう登場しましたねぇ、主人公!
さて、ここからレッドゾーンは地獄になります。
二話以降出ていないソレンスやユニの行方も明らかになります。

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