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未来の為に

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第三章

「我々でだ」
「テロリストを止めるのですね」
「そしてピラミッドの爆破を防ぐのですね」
「そうだ、テロリストについてはだ」
 肝心のこの者はどうするかというと。
「射殺の許可が降りている」
「つまりどうしてもですね」
「ピラミッドの爆破は止めろというのですね」
「万難を排してな」
 何としてもだというのだ。
「止めろと言われた」
「ではすぐに」
「ピラミッドに入り」
「しかしだ、我々が来ることは相手もわかっている」
 そのテロリストもだというのだ。
「それもな」
「ではですね」
「大勢で潜入してもですか」
「気付かれれば終わりだ」 
 難しい顔で部下達に告げる。
「それでな」
「ではここは少人数、若しくは単独で潜入して」
「そうしてですね」
「爆破を阻止する、幸い人質はいない」
 テロリストが自爆を宣言した時ピラミッドの中には多くの観光客やガイド、警備員といった者達がいた、しかしテロリストは彼等は関係ないとしてピラミッドの中にいた者全員を出させたのだ。そこは良心だろうか。
「それならだ」
「本当に後はですね」
「自爆を阻止するだけですね」
「しかし見つかっては元も子もない」
 また言うフザイファだった。
「本当に少人数か単独で行くべきだ」
「単独で行きましょう」
 ここでカッザーンがフザイファに提案してきた、丁度フザイファの席の正面に立っている。
「そうしましょう」
「単独か」
「私が行きます」
 彼は自分から名乗り出た。
「そうさせて下さい」
「君が行くのか」
「駄目でしょうか」
「困難な任務だぞ」 
 フザイファはそのカッザーンを鋭い目で見て告げた。
「これは」
「わかっています」
「相手はピラミッドの中の何処にいるかわからない」
 流石に今は罠は動かないが迷宮にもなっているその中にだというのだ。
「しかも気付かれればだ」
「自爆されますね」
「君は射殺されたうえでな」
「そうですね、ですが」
「それでも行くか」
「やらせて下さい」
 カッザーンは強い声で願い出た、その声を受けて。
 フザイファも腹を括った、それでこう彼に告げた。
「わかった」
「行っていいんですね」
「今回は君に任せる」
 カッザーンに対してこうまで告げた。
「ピラミッドを、そしてこの国の未来も救ってくれ」
「わかりました」
「ただしだ」 
 ここでフザイファは鋭い目になった、そして言うことは。
「生きて帰って来い」
「絶対にですね」
「テロリスト相手に命は落とすな」
 何故こう言うかというと。
「あんな連中の為に死ぬなんて馬鹿馬鹿しい」
「馬鹿馬鹿しいですか」
「そうだ、イスラムの信仰をまともに理解していない連中だからな、この国の未来も人類のこともわかっていない」
 視野が狭い故にそうなっている、そんな連中の為にだというのだ。
「死ぬことはないからな」
「だからですね」
「ああ、死ぬな」 
 カッザーンに対して念を押す。 
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