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舞台神聖祝典劇パルジファル

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第一幕その六


第一幕その六

「聖杯騎士の仲間になることを求めどれだけ務めようともそれはできなかった」
「それは何故でしょうか」
「一体」
「まず異教徒だった」
 それが理由の最初だった。
「そして心に邪なものが強かったのだ」
「邪なものがですか」
「それが」
「そうだ。それが強い為にだ」
 こう話していくのであった。
「彼はその異教徒達の間で罪を犯し過ぎたのだ」
「そしてその結果ですか」
「モンサルヴァートに入られなかった」
「遂にはあの山の向こうの谷間に移り住む様になり」
 今そのクリングゾルについての話であった。
「そこで懺悔を心掛け聖者になろうとした」
「それでもなのですね」
「結局は」
「己が身に宿る罪を絶つ力がない故に」
 語るグルネマンツの顔が歪んだ。
「罪深い手を我と我が身に加えて在任となったのだ」
「何と・・・・・・」
「その様なことを」
「何をしたかはわかるな」
 グルネマンツはあらためて周りの者達に問うた。
「あの男が何をしたかは」
「はい、よく」
「それは」
「その通りだ。そのうえで聖杯グラールを欲したのだ」
「恐ろしいことです」
「罪を犯しながら」
「しかし先王は」
 ティートゥレルがどうしたかであった。
「それをはねつけられた。あの男はそれに怒りあの場所でだ」
「あの場所を作ったのですか」
「堕落と退廃のあの場所を」
「その通りだ。そうして今に至るのだ」
 こう話すのであった。
「邪悪な魔力を生かすべき方策を巡らし遂にその邪な考えを見出したのだ」
「あの園はそのうえで出来上がったのでしたか」
「あの男のそうした経緯のうえで」
「魔性の美女達が多くいて」
 今度はそこがどういった場所かの話であった。
「クリングゾルはそこで聖杯の騎士達を待ち」
「我等を」
「そうして」
「邪悪な快楽と地獄の恐怖の中へ騎士達を引き込もうとした」
 彼等にとって恐ろしい話はさらに続く。
「誘惑された騎士達は既に数多い」
「嘆かわしいことに」
「それは」
「戻って来ることもなくだ」
 そこに留まっているというのである。
「先王は御高齢故にアムフォルタス王に譲位されていた」
「そして王が」
「あの男に対して」
「魔の禍根を断ち切ろうとされたが」
「槍があの男の手に」
「そういう次第だったのですか」
「そうだ。あの男は槍を手に入れてしまった」
 聖槍をだ。持っているのであった。
「そうして今に至るのだ」
「では何としても」
「あの槍を」
「聖槍を奪われ孤影悄然たる聖杯の前で」
 グルネマンツの話がここで変わった。
「王は熱心な祈りを捧げながら慄く御心で救いの験を切願された」
「そうして」
「何があったのでしょうか」
「その時のことだ」
 また語るグルネマンツであった。
「天の光が聖杯から出たかと思うと」
「そして」
「何が」
「神聖な夢幻のお姿が浮かび出て」
「主の」
「それがなのですね」
「その通りだ」 
 まさにその主が出て告げたというのである。
 
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