ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―
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戦闘校舎のフェニックス
第19話
前書き
修行2日目から終了までです。
魔法については14巻で言われていることを踏まえて独自に設定しています。
是非見ていってください。
二日目の午前中は勉強会だ。
悪魔とその周りの情勢などをイッセーとアーシアに教えている。俺は基礎的なものは把握済みだ。
アーシアも聖女と言われたシスターだっただけに把握していることも多かった。
逆にオカルト側とは無縁だったイッセーは覚えることが多すぎてついて行くのに必死だ。
一通り教えたところで祐斗がイッセーに問題を出す。
「それじゃ、教会の天使の最高位の名とそのメンバーは?」
「『熾天使』でメンバーは、ミカエル、ガブリエル、ラファエル・・・う、ウリエルだ」
「正解。じゃあ、次は僕たち悪魔のトップの『魔王』さま方、四大魔王さまの名前をいってもらおうかな」
「それなら大丈夫だ。ルシファー様、ベルゼブブ様、アスモデウス様、そしてレヴィアタン様だ」
天使の方は危うかったがこっちは問題なさそうだ。さすがに自分のトップが分からないというのは問題があるしな。
「それじゃ次はイッセー君が苦手な堕天使の組織の名とそのトップ、幹部のメンバーを言ってもらうよ」
「う・・・中枢組織を『神の子を見張る者』で総督がアザゼル、副総督がシェムハザ。ここまでは大丈夫だ。後は・・・えっと・・・アルマジロ、バラキエル、ベヒモス、タミフル・・・・コ、コカイン?」
バラキエルはあっているがそれ以外の間違え方が絶妙だな。
「アルマロス、バラキエル、タミエル、ベネムエ、コカビエル、そしてサハリエルだよ。この辺りは常識だからしっかりと覚えておいてね」
◇◆◇
次は元シスターのアーシアが『悪魔祓い』について説明をしてくれる。
「では、僭越ながら私、アーシア・アルジェントが『悪魔祓い』について説明します」
イッセーが拍手を送り、それに赤面している。
「コホン、えっと、私が以前所属していた悪魔祓い組織には二種類の悪魔祓いが居ました」
「二種類?」
「はい、一つはテレビなどで見る『表』の悪魔祓いです。聖書を読み、聖水を使い人々に入り込んだ悪魔を払う悪魔祓いです。そしてもう一つの『裏』の悪魔祓いが悪魔にとって脅威となります」
アーシアは説明を続ける。
「イッセーさんも会ったことがあります。主の加護、もしくは堕天使の加護を得た悪魔祓いです。受けた加護の力を使い、驚異的な身体能力と光を駆使して悪魔を滅ぼしてしまいます」
真っ先に思い浮かぶのがあの神父、フリードだ。アイツは俺と祐斗に固執しているからいつか現れるだろう。前は、祐斗と二対一で戦ったおかげで勝てたが、タイマンだと如何なっていたか。次現れるまでに力をつけておかないといけない。
「次に聖水と聖書の特徴をお教えします。まずは聖水ですが、悪魔の方が触ると大変なことになります」
「そうね。アーシアも触っちゃだめよ。お肌が大変なことになるわ」
「そうでした・・・もう、触れません」
聖水も悪魔にとっては毒、光と同じなのだろう。ただ、光ほど毒性が強いわけではなさそうだ。俺なら問題ないから今回の戦いで使えそうなら使ってみようかと思ったが微妙なとこか。
「制法も後でお教えしますね。いくつかありますから」
そういうと次に本を取り出した。
「次は聖書です。小さいころからずっと読んでいたのですが今では一説でも読むと頭痛がして困っています」
「悪魔だもの」
「悪魔ですから」
「悪魔だからね」
「・・・悪魔」
「悪魔だからな」
イッセーを除く全員から総ツッコミが入り、涙目になった。
「ううう、でもこの一説はすごく好きな部分なんです。・・・ああ、主よ。聖書を読めなくなった私をお許し・・・あう」
神に祈りを捧げようとして頭を押さえた。
◇◆◇
アーシアの説明も済み次の勉強に移る。
「次は朔夜。お願いね」
「わかりました」
俺による魔法についての講義だ。
「では、まずは俺の使う魔法と、みんなが使う魔力の違いから説明します。
皆の使う魔力はイメージさせたものを発生させます。そのため創造力や想像力が必要になります。また、使用者のイメージがもとになるので同じモノをイメージしても違いが生まれます。
対する魔法は術式から結果をだし発生させる。そのため、知識や頭の回転、計算力が必要になり、同じ術式ならある程度は同じ結果となります」
技量の差で違いは出るが、計算式の答えが一定であるように結果は同じになる。
「要するに、魔法は『どうしてそうなるか』を理解していないと基本的に扱えません」
どうして火が燃えているのか。どうして雷が起きるのかを理解し計算すれば発生させることが出来るのが魔法だ。
「つまり、化学的な知識が必要って事か?」
イッセーが質問をしてきた。
「そういうわけじゃない。科学的解釈で魔法を起こすこともできるがその辺は術者次第だ。結果が同じ魔法でも過程が違う場合がある。
火の例を挙げると、五行思想と四大元素だな。考え方は違うがちゃんとしていればいいんだ。
それに転移とか化学じゃ不可能だぞ」
「俺にもできるのか?」
「やってみないとわからないが、魔法の動力は法力や魔力だ。それを考えると無理じゃないか?当面は魔力を扱っておけ」
簡単なものならできるかもしれないが、魔力量が残念な現状試すこともできない。
「そういえば、法力と魔力ってどう違うんだ?」
説明してなかったか。
「魔力は悪魔が持つ力。法力は人間が持つ力。魔法を魔力で動かすことが出来るが、イメージしたものを直接法力で変換させることはできない。法力でできることは大抵魔力でできるとおもっていい」
使用者の技量にもよるが大抵はできると思う。そもそも魔法の成り立ちが悪魔や天使の真似だったんだ。
「似たもので、天使や堕天使が使うのを聖力なんて言うが、一般的には総じて魔力と言う」
この辺りは細かく分類するときりがない。悪魔の魔力だって一族によって特別な力が宿っていたりするんだ。
「次に魔法使いの道具ですね。とは言っても使用してる魔法や個人で結構変わってくるのでオーソドックスなものを」
魔法を使うのに絶対的に必要なものは特にない。術等によって必要なモノがあったりするが後は個人の趣味だったり適正で変わってくる。俺のアンコールとかまさしくそうだろう。
「まずは杖ですね。法力を流せればいいので杖無しでも使用可能ですが使っている場合は増幅器だったり個人に合わせて術式が仕込まれていると思います。俺のアゾット剣は俺に合わせて作られているのでそう言った感じですね」
「あれは剣じゃないのか?」
「剣でもあり杖でもある。アゾット剣と言う名は剣と杖が一緒になったモノの総称だ」
ロングソードだろうと、レイピアだろうと杖として仕込まれていればアゾット剣と呼ばれることになる。
「次は本です。魔導書とか魔術書とか一般では言われますが、これはおおまかに三種類に分けれます。
一つ目は魔術書。一般的に出回ってるもので指南書だったりするのがこう呼ばれます。これは中身に意味があるものです」
魔法についての教科書や悪魔の召喚方法が載っている物だったりするものだ。後は魔法使いの研究成果を記したものだったりする。
「次に魔導書。これは本に術式が仕込まれている物で、その術式に法力を込めれば魔法が発動するものです。相応の力が必要になりますが。魔法陣を書く必要がある魔法を使う時に各作業を短縮するのにつかったりします」
著者が万人向けに作っているのならだれでも扱うことが出来ることになる。ただ自分で術式を制御するわけではないので技量が必要だ。
「最後に魔法書。これは本自体が力を持っている物です。これなら法力が無くとも発動することが出来ます。
例えるなら悪魔のチラシ。あれを本にしたようなモノでしょうか」
あのチラシは願いに反応して魔法陣を起動させる。イメージとしてはあっているはずだ。
「あなたはそれらを持っているの?」
「魔術書と魔導書ならありますね。最も扱えないものが多いですが」
ここで説明がひと段落する。
「いろいろあるんだな」
「ああ、俺が知っているのはその一部でしかない。世界各地に独自の魔法があるだ。俺が把握できるわけがない」
北欧魔術、呪術、錬金術、陰陽術などなどいろいろある。
その辺りも説明したかったがイッセーの頭から湯気が出てきたので勉強会は終了となった。
◇◆◇
修行を初めて一週間がたった。
俺の成果は上々と言ったところだ。神器や魔法の制御を向上させ、新魔法の習得、祐斗たちとの戦闘で強くなったと実感できる。
だが、問題はイッセーだろう。アイツはやればやるほど自分の弱さを実感していっている。
祐斗とやればその技術に、朱乃さんとやればその偉大さに、アーシアと共にいればその成長の速さに。
俺とだってそうだ。経験がない同士で始めた修行だが、経験不足を補ったことで俺は成長できたと感じれる。
それはイッセーにとって重荷になってるだろう。アイツ自身も強くなっているのは確かだがそれをアイツが実感できていない。
結果、あいつが弱気になってしまっている。
どうにかして自信をつけてやりたいが、どうしたものか。
「朔夜、いいか?」
そんなことを考えているとイッセーが来た。
「いいぞ」
そういうとイッセーが入ってきた。
「何をやってるんだ?」
「レーティングゲームのルールを見てるところだ」
今俺は部長に頼んで用意してもらったレーティングゲームのルールブックを読んでいる。
ゲームでありスポーツのようなものためちゃんとルールがある。それを把握しておく必要があるだろうと思い部長に頼んだ。
読んでみると結構面白かったりする。チェスを元にしたルールだと思ったがそれだけではなく、色々ルールが存在し、その都度特別ルールが設けられる場合もある。
普通に王を落とすオーソドックスなルールの他に、駒価値を利用した『ダイス・フィギュア』。旗を取り合う『スクランブル・フラッグ』等。
だが今回はこの辺りの特殊ルールは無視していいだろう。特別ルールも設けられないと思う。
理由は部長がゲーム初心者どころか初陣で、ライザーが経験者だからだ。
公式だったなら特殊ルールも有りえたが、今回は非公式で圧倒的に部長に不利なゲーム。そこにさらに特殊ルールをすることはさすがにないと読んでいる。
「・・・さすがだな、朔夜は」
「何がだ?」
「頭良いしさ。今回の合宿でどんどん強くなって。何でもできるだろ」
「・・・」
「今だってゲームのために勉強してさ。その点俺は・・・」
ここで俺が励ましても意味がないだろう。こいつが欲しい自信を与えることはできない。
「俺は頭を使うタイプだからな。知識をつけて、経験を付けてそこから考えて動く。
だがお前はそうじゃない。馬鹿正直に突っ走るのがお前だろ」
だから進む力を与える。自信がなくても進める力を。
「馬鹿が下手に悩んだって答えは出ないんだ。下手な考え休むに似たり。なら動け。お前はいつもそうしてきただろうが。考えるのは俺の役目だ。
お前は何も考えずに、何も気にせずに、相手が誰だろうと、なんだろうとただやりたいように突き進む。それがイッセーだろ?」
言葉にして並べるとひどいものだ。だがこれがイッセー。あれこれ悩むなんて正直こいつらしくない。
「・・・そうだな。悩むなんて俺らしくないか」
「ああ、らしくない。雪でも降るんじゃないか?」
「おま!それは言いすぎだろ!」
「お、調子戻ったか?それに事実だ。言われたくなかったらもう少し考えて自重を・・・」
「やめろ!ここで小言なんて聞きたくない!」
「それでこそイッセーだ」
「何処で判断されてんだ。・・・ちょっと外行ってくるわ」
「わかった。明日もあるんだ無理するなよ」
「おう。・・・サンキュー、朔夜」
そしてイッセーは部屋を出て行った。
とりあえず、これでいいだろう。
だが、根本の解決にはなってない。
手が無いわけではないが、部長の許可が必要だ
明日、部長に相談してみよう。
◇◆◇
翌朝、部長に相談してみたところ、部長の方も同じことを考えていたらしい。
どうやら、あの後部長とイッセーで会話をしたようだ。
イッセーに自信をつけるために、今日のメニューを始める前にイッセー対祐斗で模擬戦をやることになった。
「イッセー、ブーステッド・ギアを使いなさい」
部長からそう指示が入る。
この合宿中、イッセーはブーステッド・ギアの使用を禁止されていた。
「ブーステッド・ギアを発動させて、二分後、戦闘開始よ」
「わかりました。ブーステッド・ギア!!!」
「『Boost!!』」
イッセーがブーステッド・ギアを発動させ、倍加を始める。
その間、ブーステッド・ギアから出る音声のみが流れていた。
二分後。
「『Boost!!』」
13回目の倍加が終わる。
「ブーステッド・ギアの力を解放させなさい!」
「はい!」
「『Explosion!!』」
イッセーが倍加の力を解放させた。
この状態になると一定時間倍加を保ったまま戦える。
逆に倍加の途中だと力が不安定でその状態で戦うと倍加がリセットされる場合があるらしい。
そのため、倍加をしている時は逃げるか隠れるかをしていた方がいい。
そして解放状態は解放中のイッセーの動きや残り体力で時間が変わる。
動けば動くほど時間が短くなるようだ。
「それじゃあ、始め!」
部長の開始の合図とともに祐斗がすぐさま動いた。
神速を持ってイッセーに迫る。
カンッ!
祐斗の上段からの攻撃を籠手で防ぐ。
「っ!?」
今の一撃で決めるつもりだったのだろう。だが、決まらなかったことに驚き動きが止まった。
止まった隙にイッセーは右から拳を放つ。
スッ。
当たる直前で祐斗が躱す。
あの至近距離から高速で動いたためイッセーは祐斗を見失ったようだ。
左右前後と確認し、見当たらなかったのですぐさま上を見上げると丁度祐斗が木刀を振り下ろす瞬間だった。
ゴッ!
その木刀はイッセーの頭に直撃し鈍い音を立てた。
「痛ぇ・・・!!」
だが、それでもイッセーは沈まず、祐斗に蹴りを放つ。
それを下がって躱し、二人の距離は広がった。
「イッセー、魔力の一撃を撃ちなさい」
イッセーは戸惑いながらも部長の指示に従い魔力を集め手に集中させる。
そして、米粒大の大きさの魔力が出現する。
見た目こそすごく小さいがあれはまずい。
「祐斗!受けるな!避けろ!」
その言葉と同時にイッセーが魔力を放つ。
イッセーから離れた魔力の塊は米粒ほどの大きさから巨大な砲撃へと姿を変えて祐斗に向かっていく。
祐斗はすぐさま回避行動をとり砲撃を躱す。
イッセーの砲撃は目標を失い直進し、隣の山に直撃する。
ドゴオォォォンン!!
轟音と突風が吹き荒れ、砂埃も舞っている。
砂埃が晴れるとそこに有ったはずの山が消えてなくなっている。
「『Reset!!』」
その音声と共にイッセーは力が抜けたようだ。
「そこまでよ」
部長が終了を告げ、祐斗は木刀を下し、イッセーは倒れるように座った。
正直、ここまでとは考えていなかった。
仮に俺がイッセーの相手だった場合最後の一撃を防ぐ手段は持ち合わせていない。
あれは俺の防御を安々と砕き、俺を消し去るだろう。
まさに『神滅具』。神を消滅させることのできる力だ。
魔力の才能が全くないイッセーで山一つを消し飛ばしたんだ。訓練をし、使いこなせれば強大な力となる。
「さて、祐斗。どうだったかしら?」
「正直、最初の一撃で終わらせるつもりでした。ですが、イッセー君の防御を突破できませんでした。
二撃目も直撃させたのに、打倒せませんでした」
そういいながら祐斗は木刀を振り上げ、重力に任せて振り下ろす。
すると木刀は折れてしまった。
「魔力で覆って強化していたんですけど、イッセー君の硬い防御に耐えられませんでした。あのまま、続けていれば僕は獲物を無くして逃げ回るしかなかったです」
「ありがとう。そういうことらしいわ。イッセー。あなたは『自分が一番弱く、才能もない』って言ったわね?」
「はい」
「それは半分正解。ブーステッド・ギアを使わないあなたは一番弱いわ。でも、籠手の力を使えば次元が変わる」
部長は消し飛んでいる山を指さした。
「基礎を鍛えたあなたの力は莫大に増加していく神器の力の受け皿となった。前までのあなたなら13回の倍加には耐えられなかったはずよ」
ブーステッド・ギアは際限無く力を増加させることが出来るが、所有者の肉体がその増加に耐えられなくなる。そのため、増加に耐えられるように体を作っておく必要がある。
「ブーステッド・ギアは持ち主の力を10秒ごとに倍加させる。一分間力を溜めれば100倍を超え、今のは13回の倍加だから8000倍を超えているんだ。お前の力が1だったとしても二分間で8000を超えることになる」
「そして、始まりの数字が大きければ大きいほど増大する力も大きくなる。源の力を1から2にするだけでもあなたにとっては大きな成長になるわ」
俺と部長が説明を続ける。
「あなたはゲームの要よ。あなたの攻撃力を戦況を大きく左右するわ。あなたが倍加をしている最中狙われる恐れもある」
「だが、勝負はチーム戦。お前が倍加をしている最中は俺たちでフォローをするし、お前の一撃を決めれるようにしてやる」
そして部長が締めくくる。
「あなたを馬鹿にしたものに見せつけてあげなさい。あなたの力を。相手が何だろうと関係ないわ。リアス・グレモリーと眷属悪魔の力がどれほど強力なのか彼らに思い知らせてやりましょう!!」
「「「「「はい!!」」」」」
全員が力強く返事をした。
イッセーも自信をつけたようだ。
これでもう、大丈夫だろう。
そして、修行は進み、決戦当日を迎えた。
◇◆◇
「時に部長、俺、眷属に数えられてませんか?」
「さて、みんな、修行を初めて頂戴!」
後書き
ブーステッド・ギアの倍加ですが、倍加開始を1回目として計算しています。
すなわち数式にするとt秒経過で2 倍になります。
よって、一分間(7回)で128倍、二分間(13回)で8192倍です。
こうして計算するとすごいですね。ブーステッド・ギアって。
原作でライザーの『戦車』のイザベラの時で15回の倍加なんで32768倍してることになるんですよね。それだけ素のイッセーとの力量差が空いているという事でもあるんですが。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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