環の理
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鋼の錬金術師
地下
前書き
久々の更新です!
異動してから仕事はめっきり減った。前もそんなになかったがこうもなると暇でしょうがない。なので中央の地下を探索しているの。グリードの記憶から大体は覚えてるから迷子になる事はない。
「……ん?」
誰もいない筈の地下に子供が歩いている。迷子……ではないでしょうね。そんな奴いたらすぐに合成獣に食い殺されてるわ。
「傲慢か怠惰か?」
“お父様”と愉快な仲間達は七つの大罪を模して造られている。色欲は死亡、強欲は私、嫉妬と暴食と憤怒は認識がある。となると残りは傲慢と怠惰しかいない。
「おや?あなたは……」
子供が此方に気付く。小学生ぐらいの体躯に高そうな服を身に纏っている。それにどこかで見た事あるような顔だ。
「そうですか。あなたが今のグリードですね」
「ああ……」
「私はプライドです」
プライド……傲慢か。随分と名と外見が合ってない気がするわ。
「怠惰はどこにいるの?」
「まだ仕事をしてますよ。名に冠して所々でサボってるみたいですが」
仕事か……国土錬成陣の為の仕事なんだろうが居場所を捕捉する事は出来ないでしょうね。
「お父様は?」
「就寝中の様です」
「へぇ……(“お父様”も寝る事が出来るのね)」
どうでもいい事を考えながら私は探索を続けた。しかし……あの子はどこかで見た事がある気がするのよね。公人の息子なのかしら?
~~~~~~
暇が出来る度に地下の探索を続けている。“お父様”はこの行動を警邏と見ているらしく、特に咎められたりはしなかった。
「合成獣も襲って来ないからいいけど、もっと楽しい暇潰しはないかしらね……」
これは暇潰しの為に続けているからであって、何日もやれば飽きてくるのは当然。
「……!」
……一瞬だけいつもとは違う気配を感じたわ。合成獣に似てるけど人間に近い気配……一体何なのかしら?
「探してみようかしら」
侵入者排除も軍の僕の仕事ってね。あー嫌になるわ。
~~~~~~
探し始めて五分後、違和感の正体を見つけた。人間みたいな二足歩行に蜥蜴みたいな尻尾、間違いなく合成獣ね。接触してみようかしら。
「貴方が侵入者ね?」
「!」
「それにしても合成獣にしては人間に近いわね。それに……きゃっ!」
いたたた……管ばかりで足元が覚束ないわね。私は埃を払って立ち上がる。
「あー……私もここには来た事ないから知らなかったけど妙な施設ね」
周りには気色悪い人間みたいなものばかり。魂のない容器……かしら?ますます軍がブラックだって事を思い知らされる一品ね。
「あ、あのー……」
「何よ?今私は忙しいの」
「俺はどうされるの?」
「さあ?死にたくなければここを出る事ね」
「迷子なんだよ!」
迷子?情けねえ奴ねおい。
「出口はあっちよ。分からなくなったら同じ合成獣に聞けばいいわ」
「あ、ありがとう?」
「グラトニーが来る前に逃げ切れるといいわね。奴が来ると喰われてしまうから」
「……(ゾオーッ)」
合成獣の顔が青くなって来てる。想像力は豊富の様ね。
「じゃあ俺は逃げるぜ!」
「はいはい」
どうせ外に出てもこの場所はばれないだろう。合成獣のいう事なんて誰も信じないだろうし、騒げば軍に始末されるのがオチだ。態々私が手を下す必要はない。
「だけどこの人間擬きは……」
魂を入れれば痛みも疑問も抱かない最高の兵士が出来上がるのだろう。その入れる魂はどこから?
「……そうか」
戦場だ。今も続く国境戦や将来するであろう侵攻戦で死ぬ人間から魂を調達する。敵軍の兵士を強制的に味方に出来る、味方が死んでも死なない兵士に生まれ変わる、なんとも効率のいい方法だろうか。
「……チッ」
胸糞悪い話だよ全く。これを動かす装置に細工でもして帰りましょう。きっと近い内にこれを動かす事になるのだから。
~~~~~~
探索も終え、家に帰る。扉を開けるといつもの風景……の筈だった。
「やア」
私はゆっくりとドアを閉めた。再度、ドアを開ける。見間違いじゃなく、リン・ヤオがいた。
「閉めるだなんて酷いじゃないカ!」
「……何故ここにいるの?」
「ちょっと聞きたい事があってネ」
それだけの為に不法侵入するのは如何の事かと思う。この時代のセキュリティは低いと改めて認識させられてしまった。
「聞きたい事って何よ?」
「エドはどこにいル?」
「確かブリッグズ……北に行った筈。ただ……」
「たダ?」
「今は行方不明だと」
バズクールの坑道が崩れて以来、見つからないというのが現状だ。
「困ったナ……」
「まあアイツの事だ。しぶとく生きてるに違いない」
「……そうだナ」
「今は一人なのか?」
「あア。ランファンとフーは機械鎧技師を探してル」
……一応王族の端くれなんだから一人で行動するのは危険だろう。
「エルリックの事だが……」
「何か手がかりがあるのカ?」
「中央に戻って来る事は間違いないわ。それで見つかりにくい場所で思いつくのはあの廃屋かしら」
「その心得ハ?」
「女の勘よ」
「……それを出されちゃ反論できないネ」
女の第六感というのは実に恐ろしいものだ。実際女の身になった私もそれ日々感じている。
「これ持っていきなさい」
「これハ?」
「紙幣よ。あなた空腹で不法入国がばれたそうね」
「うグ……」
「三日分ならそれで賄えるでしょ」
「すまなイ。さっきまで腹が減ってしょうがなかったヨ」
……ん?さっきまで?
「そろそろ失礼すル。色々と迷惑かけてすまなイ」
「お、おう」
風の様に去ったリン。また逮捕されない事を祈るわ
「さて、小腹がすいたから何か作ろう……か、しら」
冷蔵庫を開けた瞬間、私は固まった。
「あいつ……!」
冷蔵庫の中身全部喰いやがったなーーーーーー!!
後書き
うーん……ISの出来が良くない。
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