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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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一つ目の鬼

一輝は散歩の途中で山を見つけたので登ることにした。
ちなみに、歩き始めてから既に三時間が経過しているので、昼食は既に済ませている。

「ここ、なんか面白いものあるかな~。」

一輝は呑気なことをいいながら進んでいるが、進んでいるのはかなり急な道なので、つらいはずなのだが・・・それに好奇心が勝っている。

「毒蛇とか熊とかは・・・さすがに」
「Gyaaaaaaaaaa!」

いないか、と続けようとしたところで何かの雄叫びが聞こえてきた。

「・・・行くか。」

さすがに、これを聞かなかったことにはしないようで、雄叫びが聞こえたほうに向かう。
意外と近くだったようで、そこにはすぐにたどり着いた。

「い、嫌!こないで!」

そこには、腰を抜かしたのか、立てずにいる女性とそれに向かい、ゆっくりと近寄っていく一つ目の鬼がいた。
一つ目の鬼は、食欲しか持たない妖怪なので、捕まえて食べるつもりなのだろう。

「Gyaaaaaaa!」

そろそろ鬼が襲い掛かりそうだ、というときに一輝は行動を開始した。

「式神展開!“防”! 人を襲わんとする鬼をとどめたまえ!」

一輝の命令に従い、式神が鬼を相手取る。
命令は『倒せ』ではないので、式神は攻撃をしない。

「大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます。」

見た感じ、年齢は一輝と同じくらいだろう。

「あれはどこにいた?」

一輝は鬼をさして問う。

「解りません。歩いていたら急に飛び出してきて・・・」
「腹が減って食い物を探してたってとこか。」
「あのう・・・あなたは陰陽師ですか?」
「その卵。でも、あの程度なら問題ないから安心して。」

一輝は手を水で濡らしながら式神のほうを向き、命令を変える。

「今ここに在りし無力なる者を守りたまえ!」

式神はすぐに女性を守る位置に来て、命令を遂行する。
そして、相手がいなくなった鬼は、

「Gyaaaaaa!」

標的を一輝に変え、走ってくる。
一輝はあわてずにその動きを見て、攻撃をかわすと、胴に両手をあてる。

「はあ!」

そして、手についた水を撃ちだし、鬼の体を一瞬で貫く。
本来、鬼の体は硬く、刃物は効かないのだが、ダイヤモンドすら切り裂く水の刃は守れなかったようだ。

「・・・・・・」
「イッテー!」

鬼は今の攻撃が致命傷だったため、何も言わず、一輝は頭痛に悲鳴を上げる。
そう、このころの一輝はまだ、代償の頭痛には慣れておらず、ほんの一瞬でも気を抜くと気絶してしまいそうになる。

そして、鬼が完全に死ぬと、その体から光の玉が出てきて、一輝の中に入る。
一輝の一族はこうして自分の中に妖怪の魂を封印することができ、封印した妖怪を自らの力として使ってきた。
だからこそ、わざわざ瓶づめにして封印した先祖のことを一輝は“バカ”だといったのだ。

「鬼は退治できた。検査のため、近くの神社まで運ばせるね。」

妖怪による汚染がないか、それを確認しないと終わらない。妖怪と人との垣根は、意外と低いのだ。
一輝は痛む頭を押さえながら、式神に命令を下す。

「汝が守りし者を神の社に運びたまえ!」

一輝は式神をもう一体追加し、式神たちは一輝が倉庫から出した担架に女性を乗せ、運ぶ準備をする。

「陰陽師さん、ありがとうございました。お名前を聞いてもいいですか?」

その最中に女性が尋ねてきたので、一輝は近づいていき、答える。

「一輝。この辺に住んでないから、次に会うことはないと思う。」

一輝は、外道と怖がれる可能性があるので、名前だけを名乗る。
最近ではかなり減ったが、一輝の一族を外道と否定する人や恐怖する人はいる。

「私は心花(このか)っていいます。また会うときがあったら声ぐらいはかけてくださいね、一輝さん。」
「解った。お大事に、心花。」

そこで、式神たちは心花を連れて行った。
そして・・・

「イテー!!」

そこには、頭を抱えて 転がる一輝が残った。
 
 

 
後書き
次回から、時間がバラバラになります。


では、感想、意見、誤字脱字待ってます。 
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