緋弾のアリア 一般高校での戦い
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第5話 帰り道
前書き
三日連続投稿です。まさか出来ると思わなかった。
放課後になり、萌とクラスの男子と女子の数人にカラオケに誘われ、かなめがカラオケに行ったことがないと言ったら、ぜひとも行こうということになった。
爺ちゃんと婆ちゃんを待たしちゃ悪いから、一時間だけだけどな。
しかし……かなめが転校してきてくれて助かったかもな。
俺だけだったらクラスの連中とこうして話もできずに、もしかしたら疲れてこのカラオケも断っていたかもしれん。
かなめは見た目はとても可愛いから、男子もだが女子もだんだん休み時間になるにつれて話しかける人が増えてきた。……昼休みは上手く撒いたが。
けれどもかなめは男子が苦手なこともあり、上手く俺の話せそうな話題で俺に話を渡し。
逆に俺が女子に話しかけられたら上手く話を拾う。
そうやってかなめに凄く助けられてだが、クラスの人たちとも話せるようになった。
その内、かなめに助けられなくても話せるようのに頑張ろう。
クラスの連中と校門を出ると、良く知った顔の女子がポケーっと俺を待っていた。
通学鞄には、普通の女子がヌイグルミを垂らすように……狙撃銃から外したスコープをつけているが……まあ素人目には分からんからいいか。
横には狛犬みたいなポーズで、ハイマキもおすわりしてる。
どうも持ってきてはいたらしいヘッドホンをかけたレキは、このカラオケを企画した為、隣で話していた萌と当然のごとく隣にいるかなめに、チラッとガンを飛ばしてから――かなめもガンを飛ばし返していたが――微妙に非難する目線で俺を見てきた。なんだそれ?
そして俺の前に歩いて来る。クラスの連中も「なんだ?」とか言って、少し困っている。
「キンジさんはこれからクラスの方々と、どこかお出掛けなさるんですか?」
「ああ。これからカラオケに行くんだ」
「なら、私も行きます」
俺がこれからどこへ行くと答えると、即答でそう返してきた。
まあレキに俺の実家に一人で行かせるわけにはいかないよな。
「なあ、萌。こいつもカラオケに連れて行っていいか?」
「え……う、うん。いいよ……」
受け答えをする際に、なぜか残念そうな顔をしたが萌は了解してくれた。他の人たちも文句はないそうだ。
「よかったな、レキ。みんないいってよ」
「……ありがとうございます」
一応、俺のクラスメイトにお礼を言うレキ。
ちゃんとお礼が言えるんだな。……いや、これはレキに失礼か。
それから俺たちはカラオケに行ったんだが……レキの奴、知ってる歌が全然無いとかで一回も歌わなかった。……今度来る時までには数曲聞かせよう。
……次はいつ行くかわからんけどな。
かなめも歌う曲が、好みが似ているせいか俺が見ていた映画やドラマの主題歌だから、ほとんど俺と歌う曲が一緒だった。
それに……やっぱりこの人数で一時間じゃぜんぜん歌えなかったな。
あと、クラスの奴らが俺とレキをチラチラ見ながらこそこそ喋ってたんだが……何かヘンな所でもあったんだろうか?
分からんことだらけだな。一般校の世界は。
カラオケを終えて、レキとかなめに左右に挟まれながら帰っている途中、三人ともなぜか黙っていた空気の中――ついにレキが口を開いた。
「――キンジさんは手が早いですね。さすがです」
「……なんの話だ?」
「先ほどの女性の事です」
「もしかして……萌のことか?」
レキはカラオケの最中も、萌のガン見してたからな。それ以外思いつかん。
「そうだよねー。さすがお兄ちゃんだよ」
レキの言葉にかなめまで乗ってきた。
「だから、それはどういう意味で言ってるんだお前たちは……」
理由を尋ねると、二人ともノーリアクション。
ホント、なんなんだこいつら。
仕方ない。ここは俺も無視して話題を変えよう。
俺は先ほどレキがコインロッカーから取り出したトランクに指を何回か当てた。
「それより、レキ。お前……こんな物あんな所に置くなよ。あとハイマキも連れてくるな。家に置いておけ。誰かにかみついたりしたら一大事だし。銃剣も持ってくるなよ? 校則違反なんだから」
クラスのみんながハイマキを見て怖がってたし。
カラオケに入れたかったから、外でおすわりしてるハイマキを見て帰った客もいるかもしれない。
なのでハイマキを連れてくることを止めさせ、念には念を入れて銃剣も注意しておく。
「分かりました。ですが……」
「ですが何だ」
「警戒して下さい。風に関わる者の存在を感じます。全くの偶然と思われますが、遠くはない」
出た。『風』。まだそれ、レキの中で生きてたのか。
だが俺はさっきのお返しで、自分に都合の悪い話は聞かなかったことに……
「ふーん……よく分からないけど、敵が来るかもしてないんだったら、お兄ちゃん『オロチ』だけでも学校に持っていけば? あれなら校則違反にもならないし、ポケットにしまってられるよ」
横から会話に割り込んできたかなめのせいで出来なかった。
「いや……確かに校則違反してないかもしれないが……」
実際の所は分からないが、どうなのだろう。
まあ、それくらいなら持っていっても良いか……いや、でも……
「お兄ちゃんは悩み過ぎだよ。それくらいの武器――というか武装したって大丈夫だよ。いきなり一般人になるのは、ムリがあるからね」
なるほど。かなめは今日の俺の様子を見て、いきなり全武装を解除させないほうが良いと思ったのか。
確かに武偵高でいつも着ていた防弾制服がなくなって、落ち着きがなかったのかもしれない。
「……まあ、オロチくらいならいいか……」
オロチがあれば少なからず、この浮ついた気持ちが落ち着くかもしれないからな。
レキがスコープやハイマキを連れてきたのにも、俺と同じように多少は落ち着かなかったからかもしれない。
そう思うと、俺だけだと不公平な気がしてきた。
「えーと……レキ。お前も校則違反にならない程度の物だったら持って行っていいからな」
「はい。分かりました」
「それよりも、かなめ。お前よく俺の『オロチ』のこと知ってたな」
かなめに――オープンフィンガーグローブである『オロチ』は、見せたことはあっても、名前を教えたことはなかったはずだ。
まあかなめのことだから、調べたのだろうということは分かるが――なら、どういう風にオロチの名前を調べたのかが気になった。
どう調べたかはあまり聞くもんじゃないと思うから、これ以上は追及はしないが。
「あー、それはね。……武偵高を出る数日前に、クラスの子たちから『迷子の子を見つけるの手伝って! 手当たり次第に探したいの!』って、任務を頼まれちゃって――」
「だから俺が武偵高出る時にほとんどいなかったのか」
「うん。――そうしたら調べてみると本当は誘拐事件だったらしくてね。頑張った結果、子供はちゃんと助けることは出来たんだけど……銃を持った仲間がいて、子供を狙ってたから――屋内だったから電気推進繊盾(P・ファイバー)も使えなかったし――とっさに助ける為に新しく思いついた技を試して使ったんだよね」
「新しい技……!」
こうしてかなめは平然に話しているが、俺は驚きを隠せなかった。
人をかばう為、あるいは自分が助かる為にとっさに思いついた新技を使うことで、俺は何度も危ない橋を渡ってきた。
そうか……お前もそうやって人を助ける為に新技を創ったのか……
――さすがは俺の妹だな。
「それで、これからもその技を使おう思って、平賀文に頼んでお兄ちゃんと同じようなグローブを作ってもらうことにしたんだ。使ったときは防刃ネクタイをとっさに手に巻いて使ったけど、やっぱりグローブの方が良いしね」
「平賀さんか……」
そういえば武偵高を出る前の金を返しに行った時、なんか編んでたな。あれ、かなめのだったのか。
「ついでに、頼む時に平賀文が『とーやまくんのオロチとほとんど同じグローブなら、編み方を覚えてるから、すぐですのだ!』って言ってたんだよ。まあ大きさや形は少し変えてもらったけどね」
平賀さんのマネをしながらそう言うかなめ。
結構、似てるかもしれない。
そのあとに『ふはふははっ』と笑っている姿が目に浮かぶ。
「できたらお爺ちゃんの家に配達で来るようにしてきたから、あと数日で届くと思う」
「そうか。良かったな」
なんでか分からないが、かなめがそうやって人を助けたことがなぜだか嬉しく、ついかなめの頭を撫でてしまった。
「えっ!?」
「あっ……わ、悪い」
だか、かなめが驚いた顔をしたので、とっさに手を引っ込めようとしたら――手首をかなめ掴まれ、
「いきなりだから驚いただけだよ。お兄ちゃんから頭撫でてもらえることなんて滅多にないもん。――もっと撫でて撫でてー」
「ちょっ、かなめ!?」
と、右腕に抱き付いてきて、猫が甘えるように言われてしまった。
(うぉッ……!)
抱き付いてきたことで、かなめの柔らかいゴム毬のような胸の感触が……!
まあしかし、頭を撫で始めたのは俺だしな……もう少しくらい我慢して撫でてやるか――
……じぃーー……
――と思ったのだか、隣のレキの視線があまりに冷たく、そしてキツイものになっていたので、かなめに伸びていた手を戻す。
冷静に考えたら、レキや道行く人が見てるのに俺は何をやっているんだろうか。
「いや……これはだな、レキ。違うんだ――!」
「いえ。大丈夫です。私はキンジさんが犯罪者になっても忘れませんから」
全然大丈夫じゃねぇ! むしろすげぇ勘違いだよ!
「いやだから、これはだな……」
それから爺ちゃんの家に着くまでレキを納得と誤解を解くために全力を尽くした。
あと、人が話してる途中に横からかなめが挑発的に事をレキ言って、バトルになりそうなのを止めるのも大変だった。
マジで俺、この二人と暮らしていけるのか?
後書き
感想や間違いの指摘待ってます! 書くのが乗ってきてるので、もしかしたら明日も更新出来るかもです。……やる気が明日まで続いてればですけどね。
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