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ロザリオとバンパイア〜Another story〜

作者:じーくw
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第17話 少女達との出会い






























亞愛は更に警戒を強める…

そして、向こう側…背後の茂みの方を見て。

それは嘗て無いほどの緊迫感だった。

初めて暗殺業をしていた頃よりも……。



「……誰?そこにいるのは。」


意を決するように亞愛は睨みつけた。

その場所に、さっきまで 全く気配を感じなかったのにいつの間にか かなり近くに誰かがきていたのを感じたからだ。

この自分が、今の今まで…感じられなかった…

(……この私が これほどの接近を赦した? ……只者じゃない。)

だからこそ…亞愛は再び戦闘態勢に入った。

何より…最愛の妹を守るために……。

亜愛は 戦闘態勢に戻った。

そして、その後直ぐに≪それ≫は来た。




“………パチパチパチ”





背後の茂みから…手をたたく音が聞こえてくる…。

そしてその直ぐ後にその正体不明の気配が姿を現した。


『これは驚いた…… ≪崩月次元刀≫……か… 誰に教わったんだい?可愛らしいお嬢さん。』


男……だ。

赤みがかかった茶髪……そして長身。

恐らく自分の頭1,2つ分程上の身長。

纏っているオーラの様なものも……。

ゆっくりとした 足取りで 亞愛に近づいていった。


「……誰?貴方?貴方も私に恨みを持つ連中の一人かしら…?」


亞愛は、質問には答えず警戒を更に強めた。

なぜならば、崩月次元刀の事を…言っているからだ。

あれは世界最強の刃と称されているが、使い手は自分が知る限り祖であり冥王である東方不敗ただ1人。

故に知っている人物も数少ないはず……なのだ。


(次元刀のことを知っている… この術を知ってるなんて… ますます 只者じゃない 何者?この男 隙が全く無い…)


亞愛は次元刀を使おうと構えた……が、迂闊に動けない。

自分の力は全て知られている……そう考えて間違いない。

…この男は次元刀の事、それを知っているからだ。

それに加え…あの戦いを、惨劇と言っても良い場面を見ていたのに。



まるで、大人が、子供を褒めるように、自分を見ていた。



…この秘術を知っていて…尚且つその秘術を使える。

その使い手が東方不敗以外にもいる。

本来ならばそれ自体でも驚愕するだけのものなのに。



それらの状況からか。



亞愛は…背中に 冷たい汗を感じ…

相手の出方を伺っていた。

だが…亞愛には後退すると言う選択肢は無い。



(…後ろには…モカがいる… 必ず護らなきゃ 私の大切な妹を…)



そう…ここで、臆すわけにはいかないのだ。

臆する…そんな経験ほとんどないというのに…

それでも!

……一瞬モカの方に振り返り、見つめ決意を強めた。



緊迫した空気だったんだ。

だからジャックは慌てて。

『…あ…ああ、ゴメン。警戒しなくても大丈夫だ…。俺は敵じゃない。君は、「恨みを持つものか?」と聞いていたけど、君のことも知らないからな…持ちようがないさ。俺は彼女に…アカーシャに会いに来ただけなんだ。彼女は館かい?』

明らかに警戒している…亞愛にそういっていた。

本当に、警戒する必要は無いんだ。

自分は敵じゃないし、敵対などするつもりは毛頭無いのだから。










モカ side





モカは、亞愛の後ろで、じっと、彼を…ジャックを見ていた。

そして、その目を介して感じていること。

それは…亞愛とは全く逆の印象だった。


(なんだろう……この人 何か温かい感じがする……。初めて会ったのに……。)


そう、 安心するそういった感じだ。

初めて…会うのにそう感じた。

だからこそ…。



(亜愛姉さん この人は大丈夫だよ きっと)



亞愛にそういったのだ。





モカ side out








亞愛は、モカの言葉を聞き。

「ううん… ホントにそうかな? でも モカがいうなら…」

亞愛は少し安心できた。

さっきまで…妹は…

モカは…襲われていた。

普通ならば…そんな状況にいれば…

どんなものでも…疑い深くなるものだ。

赤の他人ならなおさらの事。

なのに、

…警戒深い状態になっている妹(モカ)が気を赦す…と言うのなら…

亞愛は、しばらくモカの目を見ていた…。

その時!




“ヒュッ!!”




振り返ったとき、男はその場所にいなかった。

ジャックは一瞬で間合いを詰め モカの前に移動した。

「……ッ!」

一瞬の出来事に驚いて モカそのまま動けなかった。

「モカ!!」

そして、対照的に亞愛はすぐに動く!



油断した!!



そのことだけが頭に残る。

だから…今回は迷わない!


「ッ!!」


すぐさま、次元の刃…それを手に纏う!!

そして…





“ズバッッ!!!!!”





男を…切った!!

それは…間違いなく。

間合い・タイミング・そして 男を次元刀で切り裂くはずだった…

タイミング…間合い…どれを見ても…



だが……亞愛は、不可解なものを見た。

自身の刃が……、空間を越えた次元の刃が男の……。

体まで届かなかったのだ。

なぜなら…





“ガキィィィィィ………!!!”





辺りに、衝撃波が飛ぶ。

その衝撃波は森の木々に辺りを切り裂いた。



モカにあたってないのが幸いだ。



そう男に、目の前の男に……。

止められたのだ。

それもこちらを見る事無く。



「……なっ!全てを切り裂く次元刀を……」



亞愛とジャックの間でまだ、不穏な気配が立ち込める。

……主に亞愛だけがまだ緊張している。

ジャックは、別の意味で本当に驚きを隠せずほんの数秒思考が停止してしまっていた。

そして……。


『…ッ!あ…ああ!いや ごめんごめん!このコ…モカちゃんだっけ? この子を見てちょっと驚いて……。』


ジャックは、慌てて手を下げた。

そしてモカを見る。

「え…?わ わたし…?」

モカは…まだ少し萎縮していた。

自分自身呼ばれて、少し驚いていたようだ。

ジャックはモカを見て、穏やかな表情になる。

『……そうだよ。 君は… ひょっとして君 アカーシャの…アカーシャのコ…なのかな?』

……一目見たときからジャックは解っていた。

この子が……アカーシャの子供なのだと。

けれど……モカ本人から聞きたかったんだ。

帰ってきた言葉は……。



「…あ! …ああ! そうだ 」



モカは、隠すことなく即座に答えた。

(……隠しても意味はないから問題ないな。それにこの人は母さんに会いに来たって言ってたし。)

モカはそう判断したようだ。

……温かい感じがするんだ。

話をしてみてそれは確信した。



ジャックは、モカからそれを聞いたその時。

はじけたように、ジャックは動いた。

考えた行動じゃない。

ただ……頭の中が真っ白になったんだ。





“ギュッ…………”





ジャックは、モカに抱きついてしまったのだ。


「…ッッ!!」


モカは、いきなり抱きつかれたことに驚いてしまって固まっていた。


そして、重度のシスコン…である?亞愛は…


「こらーーー!!あなた!いきなり、モカに何するのよっ!」


亞愛は、いきなりモカに抱きついてきた男を罵倒した。


ジャックはそんな亞愛の言葉を聞いて“はっ”と我に返り。

『あ……はははは ごめんごめん! その……うれしくてね…… モカ… モカちゃんか いい名…だ。』

ジャックは謝罪をして……再びモカも目を見た。


『……約束を…… 果たせた…』


そう一言、言っていた……

亜愛は怒っていたが 男の言葉で 少し怒りを納めた……

それは、なぜか…?

なぜなら…心なしか 男の目には涙が溜まってるように見えたからだ。

そして。

「…約束?」

亞愛はわからない事だったから聞いていた。

『……ああ アカーシャ……アカーシャさんとは 随分前に約束してたことがあって…ね …必ず 必ず、 また会いにくるって 君の子供に会うのを楽しみにしてるって…な。』

ジャックは、答える。

モカのこの感じは、アカーシャに本当によく似ているんだ。



「ううん く くるしい………。」


モカは、抱きしめられているから、身動きが取れなかった。

バンパイアとは言え、まだまだ子供。

ジャックは、結構な力でモカを抱きしめているからだ。

しかも男の人に……。


(男に抱きしめられたのって 初めてだ…… この人 やっぱりさっき感じた通りだ……。凄く温かい感じがする… 嫌じゃ…ないんだ…… って!わ 私何を考えて……)


抱きしめられて、改めてモカは思った…。

この人は、最初に自分が直感で感じた印象そのままだったからだ。

そして…

ぷるぷる顔を振り 惚けた顔を戻した。

『あ……ごめんごめん。 うれしくてついつい強く抱きしめちゃったね… 悪いんだけど アカーシャさんに会わせてくれないかい? ……もうひとつの方の約束も果たさないといけないから……ね。』

抱きしめていたモカを開放し ジャックは彼女達に頼んだ。

……こっちも大切な本当の目的だから。


「ふう…… いいぞ。 いいよな? 亜愛姉さん」


モカは…迷うことなく頷く。

そして、先ほどまで妬いていた亞愛も。

「ええ 彼が 敵じゃないってことは はっきりしたしね?」

そして、ジャックを見てにやりと笑う。

「アカーシャさんに驚かせてあげようよ!モカ」

そう言って笑っていた。

……正直まだ、亞愛はジャックに完全に気を赦したわけじゃない。

だが、ひとまず警戒を解いた。

それは、亞愛も温かい感じをモカのように感じた為でもあった。

「ははは 亜愛姉さんはもう……」

モカは…いつも通りの姉に戻ったことを…うれしく思い笑顔になる。

『はは… どうもありがとう…2人とも。』

笑って…そういってくれた2人に…

ジャックはお礼を言う。

そして…3人は朱染城に向かって歩き出した。






 
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