【IS】例えばこんな生活は。
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
例えばこんな名前で生きるのって正直つらかったんだろ
5月24日
ついにこの日が来た。この日にて俺が終わり、この日より俺は再誕する。
≪主文 申立人の名を「悟衛門」と変更することを許可する。≫
戸籍改名、通ったぁぁあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁAAAAAAAA!!!!
(以下、暫く改名できたことに対する感嘆文で埋め尽くされている)
・・・え?そんなに改名したかったのかって?貴様にはわかるまい!学校で消しゴムとか小物がなくなるたびに「ゴエモンの仕業だー!」「ドロボーめ、お前が盗んだんだろ!」と謂れのない疑いをかけられた俺の気持ちが!!・・・気が付いたらもう泥棒呼ばわりしてくるような精神年齢の奴いなくなってたから単純に名前書くとき楽になっただけだけど。
しかし改名の通知なんて通らないこともザラにあるし人によっては5,6年かかるって聞いてたからこんなに早く通るとは思わなかった。これも男性IS操縦者ゆえだろうか。日本の法曹も権力には勝てなかったのか。三権分立とはいったい・・・うごごご!
本当はゴエモン以外の名に変えたかったのだが、母さんがあまりに悲しそうな顔をするので縮めてゴエモンになるようこの名前で提出したのが2年前。半ばあきらめかけていた希望だった。
とにかくだ。俺は今日この日をもって悟朗左衛門から悟衛門になったのだ!
・・・ということをヤマヤマ先生に熱く伝えたところ、ヤマヤマ先生も感動したのか自分の事のように喜んでくれた。本当にいい人だ・・・あ、ちょ、抱き着かないで顔が埋まる!谷間に埋もれて溺死する!!
5月26日
今日の俺は最高に上機嫌なのでみんなの部屋を回って名前が変わったことを改めて報告して回った。
そこでおりむーに「名前変えるなんて親が反対しなかったのか?」と聞かれたんでうちの家庭をちょっと説明することに。
我が家は元々母子家庭であり、俺の名前は多分母さんではなく母さんの家族がつけたんじゃないかと思う。誰の子とも知れない俺を生んだことがきっかけで絶縁状態になったので顔も名前も知らないが。1度結婚して父親が出来たものの死んでしまい、現在我が家は俺、母親、そして父の死後に妊娠が発覚して現在は2歳になる俺の弟の3人家族・・・だった。IS適正発覚で会えなくなったけど。
母さんと弟元気かな、って呟いたらおりむーが複雑そうな顔をしてた。聞いてみたら両親とのことを全然覚えてないらしい。ヴァイスも知らないなら俺にはわからんよ。あと箒ちゃんは家族の事(姉を除く)を思い出したのか寂しそうに泣いていた。まさか泣かれるとは思わなかったので慌てておりむーと一緒にあやそうとしたら「慌て過ぎだ」と笑われた。女の涙は兵器だね。
・・・よく考えたらセシリアも鈴ちゃんも家族が訳アリである。ちょっと自重してゼゼーナンを可愛がることにした。
5月27日
ついに篠ノ之博士から例のISコアお喋り用の出力装置の試作機が届いた。名前は「T(たばね)-リンカー」というらしい。外見はポケベルの進化版って感じ。
山田先生と一緒に掘り出したオウカのモニター出力用の言語変換プログラムをインストール!!完成!!!
早速山田先生愛用の教師用量産機・ラファールのコアちゃんに接続して会話する。
「こんにちわ!」
『初めまして、こんにちは。こうして直接的な意思の疎通を取るのは初めてで不思議な気分です』
「わぁっ・・・!本当にお話出来てる!!あ、あの!いきなりで不躾ですけど私の事をどう思ってますか!?」
『時々乱暴な操縦をするのがステキです。もっと乱暴に乗り回してください!』
「「えっ」」≪えっ≫
山田先生の所の子はドМだった。より正確には体を酷使されるのが好きで、相手からダメージを受けるのは好きじゃないらしい。Mからとってマリアと名付けた。山田先生は複雑そうな顔をしていたが、何か吹っ切れたらしい。
帰り際、オウカに≪私、貴方になら乱暴に乗り回されても・・・≫と言っていたので「いや俺IS動かせないから」とツッコんでおいた。すると≪ということは私が貴方を乱暴に////≫ボフンッ・・・熱暴走を起こしてる?
5月28日
T-リンカーは篠ノ之博士のハンドメイドらしく、内部構造はもはやブラックボックス一歩手前。しかもこいつも結局俺が近くにいないとあまり機能しないらしい。
具体的に言うと、この装置は文字を表示する画面に色がある。色は簡易的なISの機嫌を表しており、緑が普通、黄色は警戒、赤は苛立ち、青は憂鬱といった感じに色によってある程度大雑把な感情が分かるという機能があり、俺がいないとこの機能だけが作動することとなる。
なーんだたいして役に立たねえなと思ってたら簪ちゃんがこれを貸してほしいという。俺今日は箒ちゃんの練習に付き合うから会話できないよ?と伝えると何やら試したいことがあるから別にいいとのこと。なんに使うんだろう?
あれかな?一昔前に流行った犬の気持ちが分かるおもちゃ的なノリだろうか?よくわからない。
5月29日
T-リンカーの使い方ぁ!こうだっ!的な。
何とこのご機嫌チェック機能があればISのボディチェックや出力係数調整でどこに不具合があるかを発見する効率がウン十倍にアップするらしい。すげえ。不具合がある=IS不機嫌なので調整ミスに至ってはその場でわかるとか。超すげえ。
IS整備科の先輩方の土下座で量産を頼まれたのでリンカーをデチューンして感情理解機能だけのリンカーを作っていいか博士に打診。「設計図引くのがめんどいから自己責任で造って、どうぞ」とのこと。忙しいんっすか?と聞いたら箒ちゃん用の専用ISを開発中らしい。
取りあえず山田先生と共同でまずはT-リンカーを解析することになった。
・・・ジェーンさんが見てる。意味もなくこっちを見てる。折角なので手伝ってもらおう。
5月30日
ジェーンさんの背中に子泣き爺ならぬ子笑いのほほんがぶら下がっている。
聞いてみるとのほほんはジェーンさんと仲がいいらしい。その言葉を聞いた瞬間ジェーンさんは顔を顰めていたが、気のせいだと言われたので気のせいだったんだろう。(←だから人を疑え byジェーン)
5月ごろからちょくちょく話をするようになり、今ではこんな感じだとか。最近箒ちゃんと訓練に付き合ったり山田先生とリンカー用のデータ採取したりで忙しかったから気づかなかったが、言われてみれば一緒にいるところを何度か見たような気がする。
・・・パッと見には分からなかったがのほほんって意外と胸大きいな。あの谷間で窒息しそうになるかもしれないと思うと恐怖で体が震える。嫌な予感は予感で終わってほしいものである。
ん?どうしたオウカ?≪抱きしめられるの・・・イヤ?≫だって?違うよオウカ、抱きしめられて窒息しそうになるのが嫌なんだ。お前に包まれるのは全然嫌じゃないよ。
5月31日
量産型T-リンカー・・・通称GM-リンカー(GMはゴエモン、マヤの略)試作壱号機が完成した。構造が複雑すぎて解析不能かと思われたがよく見ると荷物と一緒に設計図が積めてあったからそもそも解析する必要なかった。
早速実機でテストだ。お、生徒会長だ。ちょうどいい、ミリアを借りてテストしてみよう。
事情を説明するのは面倒なので整備室に引っ張って連れてゆき、テスト開始!・・・結果は良好。バッテリーに改良の余地ありだが機能は予測通りの精度だ。
そしてGM-リンカーが何かをやまぴー先生から説明してもらった生徒会長は電球マークの描かれた扇子をぱんっ!と広げて含み笑いをしている。何をする気だろうか?
6月1日
朝起きたら半ば強制的にスーツを着せられてやまやまと会長に連行された。あ、ジェーンさんも後ろから付いてきてる。最近よくついてくるなぁ。彼女が俺を見る瞳に負の感情は含まれていない様だからきっと同室の好だろう。
そして謎の記者会見。
「真田君!この新開発のIS専用機材『G-リンカー』はあの篠ノ之博士との共同開発であるということですがいったいどのような機能を持っているんでしょうか!?」
何 が 起 き た し 。取りあえずカンペで乗り切った。
後書き
マリア・・・全身を酷使した先に訪れるマラソン的爽快感が忘れられなくなり、以降ずっとこんな感じ。山田先生は見た目によらず戦闘ではISを限界まで乗り回し気味なのですっかり気に入られている。
ページ上へ戻る