【完結】剣製の魔法少女戦記
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第五章 StrikerS編
第百三十四話 『機動六課の休日』
前書き
戦闘の前の休日の回です。
Side シホ・E・S・高町
今頃、スバルとティアナは二人で遊んでいて、ライトニングもデート。
セイバーズの二人も久しぶりの休みを堪能していることだろう。
今日は朝の訓練後にフォワードのみんなには休みを与えて私達も久しぶりに手を休めているところだ。
それで私は久しぶりにヴァイスと一緒になってガラクタいじりをしていたりする。
「…しかし、シホさん。
せっかくの休日だっていうのにこんな泥臭いところで暇を潰してていいんすか…?」
「ええ。アルトリアもヴィータと一緒に108部隊の教導についていっちゃったから手が空いていることだし、壊れているものを修理するのもいいかなと思ったわけだし」
「なら、久しぶりにシホさんの料理を食いたいんですけどダメっすかね?」
「私の…? 別に構わないけど」
それで私とヴァイスは食堂へと向かいキャスターと会話を楽しんでいる士郎へと一声かける。
「どうした、シホ? 仕事はいいのか?」
「ええ。今は特にこれといって忙しい事はないしね。それよりキッチン借りていい?」
「いいが、どうしたんだ?」
「いや、なんかヴァイスが久しぶりに私の料理を食べたいとかいうんで、どうせだからみんなの昼食も作ろうかなって」
「そうか…。ヴァイス、まさかお前…」
それで士郎が少し思案顔になりながらヴァイスを見るけどどうしたのだろう?
「いやいや、士郎の旦那。そんな変なことは考えてないっすよ」
「そうか? ならばいいのだが…シホを悲しませたら切り捨てるぞ?」
「ははー…肝に銘じておきます」
なんの話をしているのだろう?
「士郎、それどういう意味…?」
「いや、シホは知らなくていい。お前はそのままでいてくれ」
「そう…?」
「それとヴァイス、この件に関してはすずか嬢とフィアット嬢には話すのだけはやめておけ。裏で消されるぞ?」
「怖いっすね…」
どうしてここですずかとフィアットが出てくるのかわからないけど私が関わってもロクな事はないだろうと思い保留にしておいた。
それから私は有り合わせだけどみんなに食事を作りお菓子とかも作って隊舎にいる隊長陣のみんなを呼んだ。
「シホちゃん、料理とお菓子を作ったって聞いたけど」
「久しぶりのシホの料理だね」
「ふむ、アルトリアはこんな時に出かけているとは運のないやつよの。奏者の料理が食べれるというのに…」
「シホの嬢ちゃんの料理か。作ってもらえるなら食わせてもらうとするか」
「…ところでお姉様はどうして急に料理なんて作ろうと?」
フィアがそう聞いてきたので素直に、
「いや、ヴァイスが久しぶりに私の料理が食べたいとか言うから、どうせならみんなの分もねって思ったのよ」
それでみんなは一斉にヴァイスの方へと向いて「へ~…?」と言う視線を向ける。
フィアは一段と険しくなっているし。
それでなぜかヴァイスがタジタジになっていたけどどうしたのだろうか?
はやてがヴァイスの肩を叩き、
「ヴァイス君。シホちゃんは落とすのは並大抵の努力じゃ無理やよ…?」
「い、いえだから別にそんなやましい気持ちはないっすから!」
「おめーもなかなかやるもんだな、ヴァイス。見直したぜ!」
ランサーが豪快に笑いながらバンバンとヴァイスの背中を叩いている。
「しかし、シホは手ごわいですよ? 私達全員が認める鈍感なのですから」
なにか、オリヴィエ陛下に失礼なことを言われている気分。
「それに、すずかがそれを知ったら後ろから刺されますよ?」
「何度か聞きますけどすずかさんって魔術事件対策課の魔術師の人っすよね?」
「ええ。すずかはそこで魔術式デバイス開発も行っているからマリーさんの弟子みたいな間柄ね。
ランとレンの初期のデバイス制作もすずかが担当したのよ」
「へ~…もしかしてそのすずかさんってシホさんと出来ているんすか…? そんな噂も聞きますし…」
「で、出来てるって言えば出来てるのかしらね? 将来の約束もフィアと三人でしているし。でも、健全な仲だからね」
そう言って私が照れながら笑うとなぜか全員が頬を赤くした。
「これは…シホさんの噂は本当だったんっすね」
「ま、ヴァイス。諦めるこったな。後で一緒に酒でも飲もうぜ?」
「はい、ランサーの旦那…」
ヴァイスがそれでなにか落ち込んでいたけど、本当にどうしたのだろう…?
「シホちゃんは気にせんでもええよ。人知れず一つの淡い想いが終わっただけやから」
「? そ、そう…?」
「私もすずかもなんとか頑張って将来の約束をするまでに漕ぎ着けたんですから、今更他の人が入る余地なんてありません!」
「さすがだね、フィアちゃん。それじゃ将来、シホちゃんとすずかちゃんはユーノ君の妹になるのかな…?」
「そうなるね、なのは」
なんか、なのは達が恥ずかしい事を言っている。
そ、それはそうだけど今はまだ予定なんだからそう持ち上げないで!
そ、それは今はいいとして、
「それよりみんな。せっかく作った料理やお菓子が冷めちゃうから食べて食べて!」
私がそう声をかけるとみんなはすぐに食べだした。
「さすが奏者だ。まだまだ余は追いつけないな」
「そうですね、ネロ。とてもおいしいです」
「さすがだぜ。美味しいな。この魚の焼き加減も絶品だ」
サーヴァントの三人がまず褒めてくれた。
「さすがシホちゃん。私達の料理の腕が霞むよ…」
「そうだね。なのは…」
「私ももっと努力せな!」
なのは達がそう褒めてくれる。や、あなた達もかなり料理が得意よね?
「うぅー…うまいぜ。これをいつまでも作って欲しいくらいに…」
「ヴァイス陸曹。きっとこれからいい事はありますよ」
「はいです! 元気出してくださいです」
ヴァイスがなぜか涙を流しながら食事をしていてシャーリーとリインが慰めている。
うむ、なかなか好評ね。作った甲斐があったわ。
◆◇―――――――――◇◆
…とあるアジトで、
「………」
ナンバーズ13のトレディは街にもハッキングして入手している映像などを眺めていた。
そこにふとランとレンの二人が映ったのを見て、
「………私も、出かけてみましょう。まずは普段着の入手でしょうか?」
それでスカリエッティに外出の許可申請を出していたという。
◆◇―――――――――◇◆
Side ラン・ブルックランズ
今、私とレンは二人で街を歩いている。
「姉さん、待ってよ」
「もう、レン。男の子なんだからしっかりとしなさいよ。
シホさんにももっと男の子なんだからしっかりしなさいって言われているでしょう?」
「だ、だけど…」
「あー、もう。そんなところが情けないのよ。もっと仕事や訓練の時のようにしっかりしなさい。あんたはやれば出来る子なんだから」
「う、うん。頑張る」
「ならいいけどね」
それでレンと一緒に散策していると、目の前に私達と同じ年頃の黒髪のショートカットの女の子が歩いてきた。
その子は私達、特に言えばレンの事をじっと見つめていた。
なんだろう…。不穏な気配がする。
「………私はトレディと申します。突然で申し訳ございませんが、あなたのお名前を教えていただけませんでしょうか…?」
「え? え? 僕…? れ、レン・ブルックランズだよ? それとこちらが僕の姉のラン姉さん」
「………はい、レンさんにランさんですね」
流されるように私の名前まで教えちゃったし。
それでレンは突然の状況に追いついていないようである。
まぁ、当然だけどね。
まさか逆ナン…?
「すみません、うちの弟になにをちょっかいかけようとしているんですか?」
「………申し訳ございません。ですが、私はあなたの事が…レンさんの事が知りたいのです」
「はぁっ!?」
「な、なんで!?」
「………レンさんを画面越しで一目見た時から胸の動悸が治まらないのです。
………私は、この気持ちがなんなのか知りたいのです」
画面越しで、って…まさか、ストーカー? 盗撮犯?
「れ、レン! この子、ちょっと危ないわよ。さっさと行きましょう!」
「………あっ」
トレディという女の子が声を上げているが構わずレンの腕を引っ張ってその場を後にしようと思ったんだけど、私が引っ張ったのにレンはその場から動こうとしない。
「レン…?」
それで思わず振り向くと、レンはなにやら真剣な表情で、
「ラン姉さん、逃げちゃいけないような気がするんだ…」
「で、でもなにかおかしいよ、この子…」
「シホさんに教えてもらったんだ。
困っている子がいたら親身になって接してあげなさいって…それが女の子ならなおさらだって」
「うっ…」
いつも弱気なレンの癖になぜかいつもと迫力が違う。
そんな顔されちゃ私が悪者みたいじゃない…。
「あ~、もうわかったわよ! あんたの好きにしなさい! でも私もついていくからね!?」
「うん…ありがとう、ラン姉さん」
それでレンは笑顔を浮かべてトレディという女の子に話しかける。
「君は、トレディって名前なんだよね?」
「………はい」
「どうして僕の事が気になるの…?」
「………わかりません。
ですが、先程も述べましたようにレンさんを見た途端に胸が締め付けられるような、そんな変な気分にさせられたのです…」
「そっか。うーん…僕もわからないなぁ…」
「………そうですか」
それでレンは「あはは…」と笑い、トレディは無表情のままシュンと落ち込む仕草を見せる。
不思議な子ね…。
感情の色があまり見えないからどこか機械的だけど、でもしっかりと自己出張をしている。
でも、私はレンのように鈍感じゃないからこの子の思いとやらの正体はなんなのかはなんとなく理解できるかも。
それで思い切って言ってみることにする。
「…それってさ、恋なんじゃない?」
「………恋?………恋とは、一体なんなのですか?」
「え? そんな事も知らないの…?」
「………申し訳ございません」
またシュンとなった。
っていうか恋も知らないとかどこの箱入り娘なの、この子?
それで仕方がなく私はトレディに恋についてレクチャーしてやった。
レン…? あの子はトレディの仕草に見とれていたらしくて話は聞いていなかったみたいだから放っておいた。
「あのね、トレディさん」
「………はい」
「恋っていうのはね?」
それから私はトレディに、恋とは人のことを好きになるや、好きな相手を自分のものにしたいと思う愛情などとかを教えてやった。
「………自分のものにしたいという想い、ですか」
そこで初めてトレディの表情に感情の波が見えた気がした。
「………承知いたしました。ご教授感謝いたします、ランさん」
「いや、この程度なら感謝なんて…」
「………レンさん」
「は、はい…!」
「………いつか、あなたを私のものにします。
それまで、待っていてください。
それではまたどこかで…」
聞きようによっては物騒な事を言うだけ言うと、トレディは私達から離れていき人ごみの中に消えていってしまった。
「ふ、不思議系な女の子だったね。ラン姉さん…」
「そうね。でも、なぜか知らないけど変なフラグ立てに協力してしまったような気がする…」
でも、これ以降私とレンはトレディと衝撃の再会を果たす事になるのだが、今はまだ先の話である。
◆◇―――――――――◇◆
それから気を取り直して街を歩いていると目の前にアイスを頬張っているスバルさん達が見えた。
「あ、ランとレンだ!」
「え? 本当だ。二人も街を散策中?」
「はい。お二人もですか?」
「う、うん…」
「レンは相変わらず態度が弱いね~」
「そうなんですよ。訓練や仕事中、事件の時はしっかりとなるのにやっぱり普段はどこか弱気で…」
「まぁレンはランに似て女顔だからね」
「それはひどいですよ、ティアさん…」
こうして普通にみんなで話せるのはできるんだからレンももっと強気でいけばいいのよ。
ま、こんな弱気な性格になっちゃったのには原因があるんだけどね。
やっぱりあの時の魔術事件のせいで消極的になっちゃったんだよね。
今ではこうして少し弱気に見えるくらいだけど当時はひどかった。
私達は親を失って心の支えを失った。
私は弟のレンを守ってやらないとって弱い心を奮い立たせてきたけどやっぱり泣きそうだった。
そんな時に私達の前に現れたのがシホさんだった。
聞けばシホさんが魔術事件の魔術師を倒して捕まえて災害を抑えたっていう。
でも、何度も会う機会があってシホさんは、
『事件が起きてからすぐに助けることができずにごめんなさいね…』
と、言って私達を抱きしめてくれた。
そのシホさんの気持ちだけでどれだけ嬉しかったか分からない。
だから私達にも魔導の才能以外に魔術の才能があると聞かされた時は嬉しかった。
私たちでもシホさんの役に立てるという思いだから。
そしてシホさん達がミッドチルダに移住してきて私達を保護してくれてからはシホさんには魔術と武術を、アルトリアさん、ネロさんからは剣術を学んでいた。
三人ともレベルが高くてすぐに私とレンは覚えていった。
そして役に立ちたいという思いでレンと一緒に管理局に入局して魔導も学んだ。
それで私とレンには魔力変換資質『氷結』があることが分かり喜んだ。
そして様々な技能を取得しこうして今はシホさんの部下として過ごしている。
これからも頑張るんだ!
閑話休題
「それじゃあたし達と街を回ろうか!」
「そうですね」
スバルさんの提案で四人で街を回ることになった。
「レン? せっかく男一人女三人なんだから喜びなさい?」
ティアさんがそう言う。
そういえばそうね。
それでレンは顔を赤くして小さく「は、はい…」と答えていた。
うーん…やっぱり女々しいわね。
さっきのトレディの時は少し男らしかったのに。
それから四人でゲームセンターに行ったり昼食を食べたりして楽しんでいる時に、
「あ、エリオとキャロの二人に連絡入れてみようか? あっちも二人で楽しんでいるだろうし」
「そうね」
それでエリオ達に連絡を入れてみる。
『はい、こちらライトニング3』
「はーい。こちらスターズ3、そちらの休日はどう?」
「ちゃんと楽しんでる?」
「楽しんでるかな?」
「エリオ君、キャロちゃん、楽しんでるかな?」
『はい。まだ始めたばかりですけどなんとか楽しんでいます』
「そっか。何か困った事とかないかなって思ってね」
『ふふ、ありがとうございます!』
『おかげさまでありません』
「そっちはどんな感じ…? こっちはランとレンと合流して四人で楽しんでいるところなんだけど」
ティアさんがそう聞く。
『えっと…予定通り公園で散歩して、これからデパートを見て回って…って、感じです』
『その後、食事をして映画を見て夕方には海岸線の夕日を眺めるってプランをシャーリーさんに作ってもらっていますので』
「「「「はぁ…?」」」」
それで思わず私達はなんのこっちゃという感じで反応する。
なんだろう? その、なんていうかどこぞの定番のカップルみたいな計画は。
『ちゃんと順番にクリアしていきます』
「クリアって、あの子達は…訓練じゃないんだから」
「あはは…まぁ、健全だ」
「そうですね」
「うん」
それで通信越しでエリオとキャロはなにかおかしなことがあっただろうか?という顔になっているけどまだ若いから分からないのだろう。
「いや、こっちの話だから気にしないでね、二人共」
「それじゃなにか困ったことがあったらいつでもこっちに連絡してね? 助けに行くから」
「街中での遊びもあたし達の方が先輩だから任せなさい」
『はい!』
『ありがとうございます!』
「じゃーねー」
それでエリオ達と通信を切った。
「でも、シャーリーさんも二人に任せればいいのにね」
「ま、まだお子様だから不安なんでしょう?」
「フェイトさんの困った顔が想像できるね」
それから四人で街を巡っていて、お店で買ったたこ焼きを頬張っている時に、
「でも、こんなにのんびりと過ごすのは久しぶりね」
「だね」
「はい」
「うん」
「事件とか事故とか何も起きていないといいんだけど…」
「そうねぇ…」
そうだね。それだとせっかくの休日がおじゃんになっちゃうから。
でも、すぐ近くで事件が起こっていることにまだ私達は気づいていなかった。
◆◇―――――――――◇◆
Side キャロ・ル・ルシエ
スバルさん達との通信を切った後、エリオ君と一緒に街を回っているところでした。
するとどこからか喧騒が聞こえてきて、
「エリオ君…!」
「うん、キャロ。行ってみよう!」
それでエリオ君と一緒に向かってみるとそこには右頬に傷跡を持っていて、どこかエリオ君に似た髪型だけど灰色の髪に黒い瞳の男の子が涙目で震えている少女を庇うように仁王立ちしていた。
そして仁王立ちしている男の子はガラの悪そうな8人の不良の人達を威嚇するように睨んでいた。
「おいおい坊主、オレたちはそこのお譲ちゃんにすこーし金を借りるだけなんだから邪魔しないでくれるか?」
「その金欲しさにいい年した大人がよってたかってカツアゲかよ。情けねぇ…!
しかも女一人に対してこの人数…てめぇ等は群れなきゃなにも出来ない野良犬か?」
男の子は言葉は悪いけど女の子の事を守っているように感じた。
「このガキ! だまって聞いてりゃ…!」
「痛い目に合いたいみたいだな!」
「たかが野良犬が“狼”に勝てると思っているのか?」
この男の子の言葉についにキレタ不良さん達は一斉に襲いかけられてしまいました。
それで私は思わず目を瞑りそうになった。
けど、男の子はその直前に不良さん達の顎や鳩尾に拳や蹴りを叩き込み、不良さん達全員を沈ませた。
強い…!
「こんな所で遊んでるヒマがあるなら少しは鍛錬すんだなこのチンピラ!」
男の子はそう言って女の子を連れてその場から離れていこうとしていました。
でも、その後ろで倒された不良さん達の1人がすぐに起き上がり持っていたナイフで彼を突き刺そうとしていました!
「うるせえ…っ! この、クソガキがぁ…っ!!」
「ッ!……やべっ!」
男の子は焦りの表情で振り向いています。
でもそこで隣にいたエリオ君が、
《Sonic Move.》
ソニックムーブを使って移動し、手刀で不良さんの首筋に当て、気絶させていました。
エリオ君、かっこいい…!
それでエリオ君はその後、すぐに管理局に連絡を入れること数分して局員が駆けつけてきて、不良さん達を全員拘束して連行していきました。
エリオ君も一仕事が済んだとばかりに息をついていると、そこに先ほどの男の子が近づいてきました。
「さっきはありがとな。お前がいなきゃ、やられてたよ」
「いえ、ぼくはそんな…」
「謙遜するなって。っと、そういえばまだ名乗ってなかったな。俺は“ロボ”、“ロボ・バルコム”だ」
「僕はエリオ、エリオ・モンディアル」
「私はキャロ・ル・ルシエです」
「エリオにキャロか。よろしくな!」
それからロボ君とは少しだけ他愛のない会話をして楽しんだ。
年も私達と同じようでエリオ君ともすぐに仲良くなっていた。
だけど楽しい時間はすぐに終わりみたいで、
「…あ、もう約束の時間だ。俺はもういくけどまたどこかで会おうな。二人とも!」
それで私達は握手を交わし、ロボ君はどこかへと行ってしまいました。
「ロボ君か…。気があったしまた会いたいね、キャロ」
「うん、エリオ君!」
それで私達はまたシャーリーさんの立ててくれたコースを回る道に戻っていったのだった。
◆◇―――――――――◇◆
…ところ変わってスバルの姉、ギンガはトレーラーの横転事故現場に立ち会っていた。
「陸士108部隊。ギンガ・ナカジマ陸曹です。検証のお手伝いに来ました」
「ありがとうございます。わざわざ来てもらい…事故の状況は分かっていますか?」
「はい。横転事故とだけ聞きましたが…」
それで聞く。
どうも事故の状況が奇妙で運転手は怯えていて証言では何者かに襲われて、荷物が勝手に爆発したという。
ギンガは爆発…? と思案顔になり、荷物を調べてみるがどれも食料や飲料というものくらいしかなかった。
だが、一際目立つものをギンガは発見する。
(ガジェットの残骸!? それに割れた生体ポット!)
ギンガは直感的にこれは少しやばい事件だと感じた。
◆◇―――――――――◇◆
そしてスカリエッティのアジトでも、スカリエッティはウーノから報告を受けていた。
『レリック反応を追跡していたドローン一型がすべて破壊されました』
「なるほど…。破壊したのは局の魔導師か、それとも当たりを引いたか、おそらく後者だな」
『はい。確定はできませんがドクターのおっしゃるとおり後者だと思われます』
「すばらしいね。さっそく追跡をかけるとしようか」
スカリエッティがウーノとそう話しているとそこに赤い髪の少女がやってきて、
「ならドクター。あたしもそれに出たいんだけど…」
「ノーヴェ。君か」
『ダメよ、ノーヴェ。あなたの武装はまだ調整中なんだし』
「今回出てきたのが本当に当たりなら自分の目で確認したい。トレディにも外出許可を与えたんだからいいだろ?」
「焦らずともあれはいずれここにやってくるだろう。
ま、どちらかといえば保険に過ぎないがね…」
スカリエッティが保険といった。
その意味はまだ知られることはない。
それでノーヴェは素直に従いその場を離れていった。
『ドローンを出すのは様子を見てからにしましょう。妹達の中から適任者を選び行かせます』
「ああ。後は愛すべき友人にも頼んでおくとしよう。
優しいルーテシア、聞こえるかい?
レリック絡みだ。少し手伝ってくれるかい?」
『わかった。ドクター…』
そしてスカリエッティは笑みを浮かべた。
◆◇―――――――――◇◆
Side エリオ・モンディアル
「!」
なにか物音を感じた。
それで僕はその場で足を止めた。
「エリオ君…? どうしたの?」
「キャロ。今、なにか聞こえなかった?」
「何か?」
「ゴトっというか、ゴリっというか…」
それで物音が聞こえた路地裏に僕とキャロは駆けていく。
すると排水口の蓋が開かれてそこから一人の女の子が這い上がってくる。
それで僕はキャロにみんなに連絡を入れるように頼む。
「こちらライトニング4。緊急事態につき、現場状況を報告します。
サードアヴェニューF23の路地裏にてレリックとおもしきケースを発見。
それとレリックのケースを持っていたらしい女の子が一人」
「女の子は意識不明です」
「指示をお願いします!」
それを通信で聞いていたなのはさん達は、
『スバル、ティアナ、ラン、レン。ごめん、お休みは一旦中断』
『はい』
『大丈夫です』
『任せてください』
『が、頑張ります!』
『救急の手配はこっちでする。二人はそのまま少女とケースを保護。応急手当をしてあげて』
「「はい!」」
フェイトさんの指示で応急手当を開始する僕達。
なにか、大きな事件が起こりそうな、そんな不安を僕達は感じるのだった。
後書き
ランレンにはトレディが初接触。
物騒なことを言って顔出しだけして去っていきました。
エリキャロにはとある筋からのオリキャラを接触させました。
謎の少女(バレバレですが…)の登場によってやっと話が進みます。
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